電動バイク・キックボード自賠責保険年数とバッテリー寿命分析

最近の電動バイクや電動キックボードなどEVモビリティで、初めて自賠責保険に加入しようとする人なら、最初に迷うのは契約年数をどうするかでしょう。

自分が使う年数だけ契約するのが正解とはいえ、誰しも未来のことは分かりません。

記事では、何年で契約するのが最もコスパが良いのかという客観的事実と、バッテリーの寿命、陳腐化速度、契約手続きの簡単さの実態を総合して、何年契約がベストなのかを「初めてなら2年」と結論づけています。

電動バイク・キックボード自賠責保険年数とバッテリー寿命分析
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自賠責年数コスパトップは2年

保険期間保険料1年あたり保険料割引率1%割引率獲得あたりコスト
1年7,070円7,070円0%N/A
2年8,850円4,425円37.4%47.59円
3年10,590円3,530円50.0%70.40円
4年12,300円3,075円56.5%92.56円
5年13,980円2,796円60.4%114.40円
契約保険期間は5年が最大。法定保険なので保険料は各社同じ

コストパフォーマンスの定義にもよりますが、ここではお得な割引を、お得なコストの範囲内で得られる年数をコスパトップとして提案します。

単純に一番たくさんの割引率を得られるのは、保険期間5年とした場合で、60.4%も割引になります。一方、2年の場合は37.4%に過ぎません。

ここで、割引を獲得するためのコストを考えてみたいと思います。1年の場合と比較して、2年で契約する場合は、37.4%の割引率を獲得するために、8,850ー7,070=1,920円の追加保険料を支払った計算になります。これは、割引1%あたり47.59円のコストで獲得した計算になります。

一方5年で契約する場合は、60.4%の割引率を獲得するために、13,980-7,070=6,910円の追加保険料を支払った計算になります。これは、割引1%あたり114.40円のコストで獲得した計算になります。

つまり、契約年数が長ければ長いほどお得とはいえ、そのお得度合いは2年を超えて長くなればなるほど低減していく、ということです。

電動バイクキックボードのバッテリー寿命目安は2年、陳腐化目安は4年

電動バイクキックボードのバッテリー寿命目安は2年、陳腐化目安は3年

バッテリー寿命は短い

バッテリーの寿命はみなさんご想像の通り極めて短いものです。寿命を過ぎてももちろん使えますが、持続力は落ちます。各社が公開しているバッテリー情報は以下の通り。

電動バイクキックボードバッテリー比較電動バイク
AIOON
電動バイク
BlazeSmartEV
電動キックボード
eXs1
電動キックボード
glafit lom
電動キックボード
ZERO9(T9)
電動キックボード
grande PLUS
サドル付電動キックボード
COSWHEEL
EVScooter
容量7.8Ah8.7Ah7.5Ah9.1Ah13Ah20Ah10Ah
電圧36V48V36V48V48V48V48V
重量1.7kg2.6kgN/AN/AN/AN/AN/A
公称寿命3年N/AN/AN/AN/AN/AN/A
充放電サイクル500回350回N/AN/A650回N/AN/A
保証期間1年1年6ヶ月1年6ヶ月6ヶ月又は6,000km1年又は
3,000km
保証期間は故障交換が対象です。使用に伴う劣化は保証されません

各メーカーは独自に自社のバッテリー情報を公開していますが、ここでいう公称寿命や充放電サイクルはあくまで各社独自の測定環境による自称なので、単純に比較することはできません。

容量が大きければ充電頻度が低くなって長持ちするかと思いきや、そういう車種はモーター出力がハイパワーで電力をたくさん食ったりするので一概に言えません。

こういう時は平均を取って推定します。どの会社も常識的にモーターの出力に合わせてバッテリーの容量も増やすでしょうし、同じリチウムイオン電池の性能に大差はないと思うので、充放電サイクルが実用的な回数に落ち着くよう設計するはずだからです。粗悪品をばら撒くようなメーカーでなければ。

よって、平均をとり、電動バイク・キックボードのバッテリー充放電サイクル寿命はだいたい500回程度が目安になるでしょう。

バッテリー寿命年数を試算する

バッテリー寿命年数を試算する

バッテリー寿命の目安は、多くの人のケースで2年前後になると推定されます。詳しくは以下の公式をご利用ください。

バッテリー寿命推定3STEP公式

STEP1:航続距離÷1日走行距離=A ※Aは小数以下端数切り捨て

STEP2:年間乗車日数÷A=B

STEP3:500÷B=バッテリー寿命推定年数

電動バイク
AIOON
電動バイク
BlazeSmartEV
電動キックボード
eXs1
電動キックボード
glafit lom
電動キックボード
ZERO9(T9)
電動キックボード
grande PLUS
サドル付電動キックボード
COSWHEEL
EVScooter
航続距離30km30km25kmN/A40km50km35km

バッテリー寿命は各自の状況に合わせて試算することで得られます。

例えば通勤通学に乗るなら、仮に片道10kmとして1日往復20km走行するとします。

仮にAIOONなら、あくまで目安ですが公称航続距離30kmなので、公式に当てはめ、

STEP1:30÷20=1.5 ・・・小数以下端数切り捨て、A=1

年間平日250日毎日乗ると仮定すると、

STEP2:250÷A(1)=250 ・・・B=250

最後に、

STEP3:500÷B(250)=2年

よって、この場合バッテリー寿命は2年と推定されます。多くの人はこの近辺に落ち着くでしょう。

何日に1回充電

公式で、小数を切り捨てたAの値は、あなたの場合で何日に1回充電する必要が生じるのかを示しています。この値がゼロになった人は、そのバイクでは航続距離が足りません。他の機種を選んだ方が良いです。

Aの値が1になった人は、乗った日ごとに毎日充電する必要が生じると考えられます。1日の終わりに残量は残りますが、明日また乗るために充電する必要に迫られるでしょう。

Aの値が2以上になった人は、その数字ぶんの日数ごとに充電すればそれで足りることを意味しています。かなり手間は楽になり、寿命も大幅に伸びます。

公式でBの値は、年間充放電回数を示しています。1年で何回充電することになるかの回数です。

バッテリー交換できる車種

計算した推定寿命年数が短すぎる結果になったと感じる場合は、バッテリー交換できる車種を選択しましょう。

ちなみに各社全てリチウムイオン電池を採用しており、その原理はスマホと同じです。つまり寿命を伸ばすには、充電器さしっぱなしでもバッテリー劣化を防ぐ格安簡単な方法【家電タイマー化】 の技術が役立ちます。

電動バイク・キックボードは陳腐化が早い

EVマイクロモビリティ全般はまだ過去の実例に乏しく、消耗部品寿命は未知数です。バッテリーを除いて何が最初に致命的に破綻するのか分かりません。ただ物理的な破綻よりも、乗り物自体の陳腐化が早く来ると予想されます。

陳腐化とは、新製品がどんどん出て進化していく過程で、旧モデルが比較的ショボく感じられてしまうようになる現象です。スマホなどがその最たる例です。

電動バイク・キックボードは陳腐化が早い

スマホの陳腐化速度を2年と定義すると、電動バイクキックボード類のそれはだいたい4年くらいです。

今買ったスマホを今後2回買い替えるとか、買い替えなくてもバッテリーも性能も限界だと感じ始める4年後、電動バイクキックボードも使用に不満を覚えるような状況になっている確率が高いと考えられます。

4年という短さの根拠として第一に、2021年現在でも都市部でキックボードの実証実験が行われているなど電動EVマイクロモビリティを取り巻く法制度がまだ安定していないことが挙げられます。

4年後には、キックボードがナンバーなし公道合法になっているかもしれないし、あるいはNGになっているかもしれません。そういう法的な陳腐化です。

第二に、定量的な根拠のない数字ですが、2021折り畳み電動EVバイク・キックボード比較一覧表 電車搭載で輪行通勤 の時に筆者自身がかなり徹底的に折り畳み電動EVを調査した時、現れては消える多くのモデルを観察した肌感です。

要するに電動バイクキックボード類の場合は、自賠責マックスの5年後は陳腐化している確率が現時点ではまだ高いと考えられます。自賠責が余るかもしれない。

持ち主が納得していれば陳腐化していたって全然構わないのですが、古いモデルに不満を感じたり効率のよい新型を好む傾向が自身にあると思う人は、目安として陳腐化速度を考慮した方が良いです。

ガソリン原付寿命目安は7年

乗り方やメンテにもよりますが、通常の新品ガソリン式原付の場合、プラグを除いてその寿命は走行距離2万km、1日に自宅ー駅間通勤往復合計10km乗る場合だと、年間平日250日乗車すると仮定し、寿命目安は8年と試算できます。

年間どれくらい乗るかで試算は変えてみてください。とはいえ原付で超長距離走る人もあまりいないと思うので、せいぜい逆算寿命は7年程度になると思います。

折り畳んで使わないのならば、普通に原付を買った方がほとんどの場合寿命にまつわるコストは電動バイクキックボードより有利になります。

保険手続きはスマホで5分

保険手続きはスマホで5分

自賠責保険の楽な加入方法は、i自賠というサイトで、スマホ5分で終わらせることです。他にも良いサイトはあるかも知れません。自賠責は法定保険なので、どの会社で契約しても保険料や補償金額は同じです。

契約に必要なのはナンバープレート取得時に役所からもらえる「標識交付証明書」に書かれた情報と、クレジットカードナンバーのみです。

契約の更新もスマホのみで数分でできます。つまり、短い年数で契約したからといって増える更新の手間は、非常に少ないものです。

なお電動バイク・キックボードを買い替えた場合は、モーター出力が一定以内であるなど条件を満たせば、保険期間そのままに変更できる場合もあります。しかし未来に自分がいつ、何に買い替えるかは予想がつかないと思うので、あまり考慮の重点を置かないほうが賢明です。

2021折り畳み電動EVバイク・キックボード比較一覧表 電車搭載で輪行通勤 や、AIOON動画から、AIOONを買ってここへ来た人は、役所でナンバープレート標識交付証明書を取得してください。

交付に必要な車台番号は車体ボディの裏面にでかく刻印してあります。これを撮影ないしメモしてから役所に赴いてください。でないと門前払いになります。

初めてなら2年、更新は5年を視野に

初めてなら2年、更新は5年を視野に

以上より、コスパ2年、バッテリー2年、陳腐化4年、更新手間は楽、という4点を総合すると、自賠責保険期間のお得な決め方としては、以下の中庸な結論を得ます。

  • 初めての電動バイク・キックボードなら2年が推奨
  • 更新なら自身の使用実感に合わせて、最長5年を検討して良い

じぶんや、予測しきれない周囲の状況変化によって、何年使うかはっきり読みきれない以上、最も割引コスパの高い2年間で試行し、2年後の試行結果をじぶんで分析してその後の更新に5年という選択肢を加えるのが、失敗のリスクを最小化できる方法として妥当でしょう。

おまけ:筆者所持電動バイク(自賠責2年)

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