ハザードマップより浸水ナビ 洪水が来る/引くまでの時間の調べ方

洪水 自宅に水が来るまで/引くまでの時間の調べ方と活用法

このページでは、豪雨による河川堤防決壊(越水)時の洪水について、あなたの自宅など任意の地点において水が来るまでの時間、あるいは水が引くまでの時間をネットで調べる方法を紹介します。

それには国土交通省によって提供されている「浸水ナビ」というサイトを使います。ここではその操作方法と活用の仕方、ハザードマップとの違いを紹介しています。

ハザードマップや浸水ナビを知らなくても、あなたの家の周りに起きうる洪水についてよく知り、予測し、避難や備蓄の計画を立てたいと考えている方に役立つよう編集しました。

どうぞこの情報をご参考になり、あなたの家の状況に合った独自の災害対策戦略を立てるための一助としてください。浸水ナビにはハザードマップにはない役立つ情報が満載です。

浸水ナビとハザードマップとの違い

浸水ナビとハザードマップとの違い

ハザードマップ(洪水ハザードマップ)とは、大雨などで河川堤防が決壊した際に、町の水位がどの程度上昇するのかを予測して地図上に色分け表示した資料です。2019年の台風被害の直後に、その存在を知った方も多いでしょう。

ハザードマップの欠点は、水が来るまでの時間が分からないことです。

堤防決壊(越水)のニュースからだいたい何分後に水位が何mになるのか、上がった水位が引くまでに何日くらいかかるのか、そして、あなたにとってどの河川のどの堤防の決壊ニュースをウォッチすればよいのか、そういうことが分からない点です。

これでは避難行動計画やとっさの判断、備蓄量を決める時に困ってしまいます。このような時は、ハザードマップではなく浸水ナビを見てみると良いです。

浸水ナビはインターネット上でだれでも閲覧することができますが、上記の情報を手短に知るには操作にコツがあります。さっそくやってみましょう。

浸水ナビの使い方

浸水ナビの使い方

まずは浸水ナビにアクセス>トップページから「地点別浸水シミュレーション検索システムを見る」をクリック>画面左上の「地点から」をクリック>地図をスクロール、拡大してあなたの自宅など調べたい土地を探してください。

地点から

地図が青く塗られていれば、堤防決壊による洪水の恐れがあります。※地図を拡大しすぎると青塗は消えてしまいます。少し縮小して確かめてください。

地図が青く塗られていれば、堤防決壊による洪水の恐れがあります

塗られていなければ、データがないか決壊(堤防越水)による洪水の恐れがない地域です。

データがないエリアではこのサイトの方法で水位を調べることはできませんので、念のため通常のハザードマップをご確認ください。

記事では、例として東京都足立区の西新井駅前あたりで見てみます。

地点を見つけたら、左上の「地図上で指定」ボタンを押したのち、地図上の地点をクリックします。

しばらく読み込みになるので、画面が次のように変わるのを待ちます。変わったら、「浸水深が最大の破堤点」と表示されている赤い丸をクリックし、バツ印に変えます。

浸水深が最大の破堤点

※まれに破堤点が2つ以上赤丸表示される場合がありますが、この場合はどちらを選択しても構いません。表示される内容はどちらを選択してもほとんど同じで、わずかな差しかありません。

クリックすると地図に赤系の色で水位が表示されますが、無視してそのまま左側の「浸水域シミュレーショングラフ表示」をクリックします。

ふたたび読み込み待ちになりますが、辛抱強く待ちましょう。

ポップアップの許可

しばらくすると、ポップアップウィンドウが表示されます。表示されない場合は、ブラウザやセキュリティソフトなどからポップアップの許可を求めるダイアログなどがどこかに出ている場合がありますので、許可を与えてください。

ポップアップウィンドウ

手順をやり直すには、左上の「地点から」をクリックしてください。

首尾よくポップアップウインドウを開けたら、内容を見てみましょう。

水が来るまでの時間と引くまでの時間の調べ方

地点別浸水シミュレーショングラフのポップアップウインドウでは、あなたが選んだ土地における、時間経過に伴う浸水高さの推移がグラフ表示されます。

地点別浸水シミュレーショングラフ

グラフの右上を見てください。「浸水開始時間」とは、さきほど選択した赤い丸の点において堤防決壊が起きてから、何時間後にあなたの指定した地点に水が来て浸水が始まるかを示しています。

今回の西新井駅前の例では、1時間52分後となっているのが分かります。

また、「最大浸水深発生時間」は11時間33分後となっているのが分かります。

最大浸水深が何mかを知るには、グラフで水位が最高の位置にある緑色の点にマウスで触れてください。ここでは浸水深4.05mと表示されました。

つまり、堤防決壊から1時間52分後に水位が上がり始め、上がり始めてから9時間41分間の間にみるみる水位は4.05mにまで到達するということが分かります。

さらにグラフを見ると、最大浸水深に到達した後は時間の経過とともに水が引き、決壊から60時間44分後にはほぼ水位ゼロに近い値に戻ることが分かります。

つまり、2日半で水は引くという予測が立ちます。

浸水ナビを使った避難計画、備蓄計画の立て方

浸水ナビを使った避難計画、備蓄計画の立て方

浸水時間の推移グラフを避難と備蓄にどう活かすか考えてみましょう。

例えば先ほどの西新井の例なら、自宅が3階よりも上の位置ならば数日分の備蓄をあらかじめ用意して自宅にとどまった方が、慌てて避難するより賢明かもしれません。

水は4mまでしか上がって来ず、その水も2日半で引くことが分かっているわけですから。

いっぽう自宅が2階以下なら、避難のタイミングを考えることになります。避難先がどこにあるかはハザードマップで調べ、そこまで徒歩で何分かかるか、避難を判断してから避難開始までの準備に自分なら何分かかるか検討してみましょう。

災害時は自分自身も周りも混乱することが考えられます。移動時間の他に、準備に2時間、移動中予想外の事態に備える余裕を3時間程度は見ておきましょう。今回の西新井の場合、仮に移動に1時間かかるとするなら、避難に合計6時間を要すると予測を立てます。

ところがグラフを見てみると、決壊から2時間後に水位がみるみる上がり始めて、4mにまで到達すると示されています。

こうした場合、堤防決壊(越水)のニュースが出てから避難を開始したのでは遅すぎることが分かります。あらかじめもっと早くに避難を開始しておくか、逃げ遅れた場合は近くの3階以上の建物に目星をつけておき、逃げ込むことが最善と事前に分かります。

何分後に堤防決壊(越水)しそうか予測する方法

何分後に堤防が決壊しそうか予測する方法

避難と備蓄の戦略を立てたら、つぎは災害が実際に起きた混乱のときに堤防決壊・越水のニュースをどう確保するか、あらかじめ予習しておきましょう。

災害時は情報が錯綜したり混乱が生じるので、何分後に越水しそうかの予測や、肝心の決壊ニュースを確実に得られる方法を予め知っておいた方が良いのです。

青い三角印

さきほどの浸水ナビの画面にもどり、ポップアップはいったんどけて、地図を眺めて先ほどの破堤点から一番近い川沿いにある青い三角印を探してください。

見つからない場合は、地図を縮小して破堤点のある川沿いにたどって探してください。

見つけたらクリックし、「現在の水位情報」のリンクをクリックしてください。現在の水位が直感的にわかる断面図に遷移します。

現在の水位情報

この断面では、赤い氾らん危険水位がおおむね先ほどの堤防越水時だと思っていてください。今回の例だと、7.70mです。

次に、上の方にある「河川の水位の時間変化」タブをクリックしてください。

河川の水位の時間変化

時間ごとの水位の変化が表示されます。平時は画像のように低い水位で安定しています。

豪雨によって堤防越水が予想されるときは、水位の上昇速度をグラフで良く見て予測を立ててみてください。水位の上昇速度は一定ではないのであくまで予測ですが、目安にはなります。

氾濫危険水位を超えたとき(=堤防越水したとき)、直ちに自宅に洪水が来るわけではありません。そのあと先ほどのシミュレーショングラフで見た時間に沿って自宅回りの水位が変化していくことになります。

最後に、同じ画面情報に表示されている観測所名と水系名、河川名を控えるなどしてよく覚えておいてください。

また、この水位の時間変化のページをブックマークしておいてください。

災害時の情報収集手段 GoogleキャッシュとNHKデータ放送

台風などで実際に豪雨災害が身近に迫ると、このような水位情報のサイトはアクセスが集中してサーバーダウンしてしまうことが多いです。

こういうとき、先ほどチェックした観測所名と水系、河川名があれば素早く代わりの情報にアクセスできます。

ひとつは、同じサイトのグーグルキャッシュを見る方法です。

さきほどブックマークしておいたアドレスを丸ごとコピーし、グーグルのホームページに移動してペーストし、検索結果ページへ移動します。

検索結果ページへ移動せず、直接さっきのページに移ってしまう場合は、アドレスバーなどに「Google検索」などと薄く表示されている方のアドレスを選択すれば移動できます。

Google検索

すると検索結果に目的のページがでますので、下向き▽マークのプルダウンメニューををクリックしてキャッシュを選択します。

下向き▽マークのプルダウンメニューををクリックしてキャッシュを選択

キャッシュには、グーグルが数時間ごとに自動バックアップしたデータが保存されています。運が良ければ、直近の過去データバックアップを閲覧できるでしょう。

キャッシュもダメな場合は、 警戒レベルとは何か 洪水ハザードマップ併用避難計画 のサイトに書いてある方法を参照し、NHKのデータ放送を視聴してください。

このとき、さきほどチェックした観測所名と水系、河川名を把握していれば、どのデータを見ればよいのか分かるはずです。

浸水ナビの注意点

役立つ情報満載の浸水ナビですが、弱点というか独特の注意点があります。

精度が細かすぎるため、クリックする地点がわずかにずれただけでも水位が異なる結果が表示されるという特徴です。

浸水ナビの注意点

このような場合、あなたの土地の周囲何点かで浸水域シミュレーショングラフを試し、それぞれのグラフの下部に表示される「指定地点の標高(T.P.)」に注目してください。

T.P.に大差ないグラフの中で、一番厳しい水位を参考にするようにしましょう。T.P.が周辺に比べて大きく異なる点は、近くの崖上や谷底の推移を表示しており、参考になりません。

また、浸水域シミュレーショングラフが予測できる範囲は、決壊(越水)から672時間後(28日間)までですので留意してください。

なお、今回の調べ方では、浸水深が最大の破堤点を調べたことになります。

時間があれば設定を変更し、浸水到達が最速の破堤点および浸水時間が最長の破堤点についても目を通し、多角的に予測を立てておけるとより良いでしょう。

浸水ナビとハザードマップの元は同じ?

最後に、レアケースですが同河川同条件下でも浸水ナビとハザードマップとで水位結果が異なるケースに当たった場合、どう考えればよいかお伝えしておきます。

筆者が浸水ナビやハザードマップを所轄する 国土交通省関東地方整備局に問い合わせたところ、浸水ナビとハザードマップとは、どちらも根拠とするデータは同じであること、浸水ナビの方が情報としては新しく、ハザードマップは追って更新しているという回答が得られました。

問い合わせたのは荒川の所轄なので、他の河川は違うかもしれませんが参考にはなるでしょう。心配ならば、水位が深い危険な側の情報を優先しておけば良いと思います。

浸水ナビで自宅に洪水が来るまでの時間を調べ避難備蓄計画を立てよう

浸水ナビで自宅に洪水が来るまでの時間を調べ避難備蓄計画を立てよう

洪水に対する対策を考える時、水位だけでなく水が来るまでの時間や水が引く時間、監視すべき河川がどこでどうすれば確認できるのかがあらかじめ分かっていれば、ずっと対策をイメージしやすくなることが伝わりましたでしょうか。

こうした情報の内容は当然に、調べる地点によって千差万別となるため、あなたがあなたの土地について自ら調べるより良い方法はありません。

慌てて備蓄品を買い集めるよりも先に、まずは情報を集め、観察することが無駄のない行動に肝要です。

要領よく最小の時間消費で国交省提供による的確な情報だけを集め、あなたの災害対策戦略を立てる際の一助として戴ければと思います。

なおその他、避難先の選定や細かい避難タイミングの予習には 警戒レベルとは何か 洪水ハザードマップ併用避難計画 をご参考ください。

ハザードマップの基本的な見方は 洪水ハザードマップとは何か? 内水氾濫も分かる調べ方 をご覧ください。

前もって自宅の土地選び時点からハザードマップを活用し、水害対策したい方は 無料ハザードマップ 家選びへの役立て方 を、それぞれご利用ください。