冷蔵庫を買う前にネットでよく調べ、こんな記事にまで辿り着く慎重な人は、性能にもコスパにも調査に余念がありません。もちろん、置き場や通路のサイズも確認するでしょう。
しかし筆者自身もそういう人間を自負して最近冷蔵庫を買ったのですが、見事に搬入サイズオーバーで失敗をしてしまいました。
それで分かったのですが、単に置き場と通路やエレベータ・ドアを測るだけでは足りないのです。その体験記をここに記します。

後半ではその失敗体験を活かし、現代最善の成功する冷蔵庫選びの手順について付録しました。ご利用ください。
冷蔵庫搬入の失敗体験記
筆者の場合、当日になって自宅へ配達に来た業者から、2、3分ばかり玄関を見ただけで運び込めないと断られました。廊下のクランクした部分が通せないからと。
あまりに即答で取り付く島もないので、ダメもとでトライしてくれないか、なんなら自分で運ぶからと頼んでみたところ、思わぬ答えが返ってきます。

開梱して搬入失敗した場合は業者が引き取る羽目になり、新古展示品扱いで下取りに出すことになって、責任を負っているから、それはいずれもできないと。
今まで使っていた古い冷蔵庫が壊れかかっている場合などは特に焦り、簡単に納得できない気持ちにもなりますが、損失を被っているのは配送業者も電器店も同じで、しかも他でもない自分の確認不足のせいでそうなっているわけです。
その上こんな背景が配送業者にあると知った以上、こうしてプロの配送業者に断られたなら、諦めるしかありません。
返送の手続きと費用 実体験

配送業者は運び込めないと判断した冷蔵庫を単に持ち帰ってゆきます。その後の手続きは電器店の方から電話等で連絡が来ると案内されました。
100キロを超える巨大な物品を、大の男二人とトラックで自宅まで運ばせて、持ち帰らせたのだから、キャンセル規約によっては一定の料金が必要にもなるだろうと覚悟しました。
その金額を権限のない搬送業者に問うても時間を奪うだけなので、大人しく案内に従い電器店からの連絡を待つことにします。
電器店から請求処理のメールが届く
筆者の場合は持ち戻りから約7時間後の夕刻に、電器店から留守電とメールで連絡が来ました。以下にそのメールを抜粋し転載します。

この電器店と搬送業者の場合は、こちらでの手続きはいっさい必要無く、また、キャンセル料は0円という結果になり、全額返金されて返品処理は終了しました。
冷蔵庫サイズ選びの落とし穴は、クランク搬入経路
この体験記事では、見落としやすい失敗例としてクランクの寸法確認がありました。
置き場所や扉の幅、エレベータや通路の幅は誰でも常識的に確認すると思います。問題は、搬入経路の途中にクランク形状をした部分や、カーブがあるかないかです。

特に見落としやすいのは、廊下がまっすぐでも、廊下への入り口の扉がずれた位置に付いている上記写真のようなケースです。
ごくありふれたアパートの出入り口に見えますが、これは最も呪わしいクランク形状の例です。

そうした箇所がある場合は、以下の手順で真の搬入限界寸法を測るようにしてみてください。その寸法が、真に買える冷蔵庫の最大奥行きサイズです。
手順1.欲しい冷蔵庫の幅を確認する

買いたい冷蔵庫が決まっているなら、その製品の幅を調べてください。まだ決めてないなら、家族用サイズで900mm、一人用サイズで700mmの値を用いてください。
手順2.冷蔵庫の幅長さをカーブに当てる

調べた冷蔵庫の幅長さに運搬スペースとして+100mmした長さでクランクの2点を棒状に結び、メジャーをそのまま置いておくか、棒を代わりに置くとかテープなどで目印をつけます。
手順3.真の搬入限界寸法を導く

残った他方のコーナーから、さっき置いたメジャーないしテープまでの最短距離を測り、そこからマイナス100mm差し引いてください。これが真の搬入限界寸法です。
マイナス100mmは、実際の搬入は人力なので手を回して掴むためのスペースです。100mmは筆者が実際の搬入業者に言われた値なので、参考にしてください

買いたい冷蔵庫の「奥行き寸法」が、この搬入限界寸法内となる範囲で、欲しい冷蔵庫を探すようにしましょう。
置き場所の幅高さだけでなく、この「奥行き寸法」こそが、搬入の際は最も重要になります。
単なるカーブも要注意
単なるカーブなら、引きずって運べるなら直角に通せるのであまり問題になりません。
しかし最初の玄関写真の時のように床に段差があって引きずれないとか、物品が長くて直角に引きずると角につっかえてしまうような時は、同様に搬入限界寸法を測っておく必要があります。

その時はカーブに対しておよそ45度斜めに、冷蔵庫幅+100の棒をおくか直線目印でもつけてみてください。

そこから、カーブ内側の角までの最短距離マイナス100mmが、搬入限界寸法です。例えば上記写真だとその値は400mmでしかありません。恐ろしく厳しい現実です。
筆者は運搬設置対応サービスまで込みで購入したのですが、搬入してくれないなら自分で運ぶからと言っても、荷物を引き渡してくれはしませんでした。
あくまで運んできた業者が現地を見て、各社独自の基準で搬入限界寸法を確認し、不可ならば冷蔵庫を持ち帰ってしまいます。つまり、甘い見通しでたぶんいけるっしょ!みたいな買い方をするとえらい目に遭います。
冷蔵庫選びの核心
冷蔵庫を選ぶ時大切なことは、クランクの見落としを避けることです。でもこの失敗体験で分かったのは、それだけじゃありません。
筆者としては今回、無償返品持ち戻りという相手に迷惑をかける形にはなってしまいましたが、対応してくれた購入先業者が楽天ビックで良かったと、心底思いました。

多少割高でも、トラブル対応に余裕のある、実店舗のある大規模家電量販店系列から購入することの重要性を痛感した次第です。予測しきれないトラブルや失敗に備える上で、これこそ本当に重要なことだと。
・クランクカーブ搬入限界寸法を確認する
・大型家電量販店系列で買う

特に今回の冷蔵庫ような、「大型で」、「延長保証が必要で」、「高額な」製品を買う時は、最安追求ばかりでなくトラブルに強く便利な大型家電量販店の系列通販を、見直す価値があると言えるでしょう。
大型電器店系列から買うことには、延長保証メリットもある
冷蔵庫やエアコンなど、特に10万を超えてくるような高額家電を買う場合、長期の延長保証を検討すると思いますが、壊れた時本当に延長保証で直してくれるのか、不安になったことはありませんか。
ネットで調べると、いろんな電器店や通販店において、延長保証で直してくれたケースも、全然保証が効かなくて怒っている消費者のケースも、両方見ることができます。

要するに数年後の故障に対する保証が確実かどうかなんてケースバイケースで、起きてみるまで誰にも分からないわけです。
であれば、実店舗がある大型電器店系列と、そうでないその他の通販専業とで、どちらに賭けるのがより勝算あると言えるでしょうか。
成功する選び方の手順

冷蔵庫選びの重要性について搬入限界寸法が第一、大型店系列から買うのが第二の優先順位と分かれば、それに沿った冷蔵庫の選び方こそが核心的に重要です。スペックやコストはその次だし、正直、人それぞれでいいと思います。
以下では、あなたが自宅で測った搬入限界寸法から優先順位に沿って逆引きできる手順を付録しました。適合するサイズの見出しを参考にしてみてください。
手順1.搬入限界寸法別に、目安となる容量サイズを把握する
搬入限界寸法(奥行き寸法+100) | 目安最大容量(定格内容積) |
850mm以上 | 700L |
770-850 | 550L |
770以下 | 400L |
例えば今まであなたが使っていた冷蔵庫が容量300L程度だったとして、新しい冷蔵庫は倍入るのが欲しいな〜などと思い600L級が欲しかったとしても、家で測った搬入限界寸法が850以上無かったならば、ほとんど運び込めない可能性が高くなりますから、前もって注意が必要です。

また、冷蔵庫というものはあまり高さや奥行きがあっても取り出しづらくなるだけなので、実は容量550Lを超えたあたりからは、奥行き寸法と高さはどの製品もほとんど増加しない特徴があります。容量が560Lでも735Lでも、奥行きと高さは同じで幅ばかり広がっていきます。
つまりまず搬入限界寸法に気をつけた上で、その後置き場の幅と容量の妥協点を探っていく順序になります。
搬入限界寸法850mm以上だった人

この寸法が得られた人は、冷蔵庫の製品奥行き寸法750mmまでOKです。およそいま日本市場に存在する全ての冷蔵庫を扱える資格があります。
あとは置き場の幅奥行きの許す範囲で、なんでも好きなものを妥協せず希望通りに探し出し、手順2へ進むと良いでしょう。筆者としては羨ましい限りです。
搬入限界寸法770-850mmだった人

この寸法範囲内だった人は、冷蔵庫の奥行き670-750mmまで運び込めます。
550L以上の大型冷蔵庫が欲しい人は、運び込めない確率がかなり高いです。あらかじめよく注意してみてください。
550L以下で探す人は、搬入には問題ないですが、置き場の幅と奥行きがネックになります。
多くの人は置き場の幅が700〜750mm程度しかない可能性がありますので、注意してみてください。
また、奥行きも要注意です。このカテゴリーに属する人は置き場の奥行き寸法は良くて700mm程度しかない確率が高いです。
もちろん、出っぱって配置することを許容できるなら、この限りでありません。
搬入限界寸法770mm未満だった人

この寸法だった人は、冷蔵庫の奥行き670mmまで搬入OKです。
家族用に400L以上の冷蔵庫が欲しいと思っていた人は、運び込めない確率が高いので、前もって選択を注意してください。
運び込めず希望を断念せざるをえない場合は、別の場所にスリムな冷凍専用庫の追加設置ができないか検討してみましょう。
庇が深くて雨のかかる心配がないなら、バルコニーに置くこともできます。バルコニーにコンセントがない場合は、以下の技術で対応できます。常時通電となるため、ヒューズを必ず併用してください。案内はリンク先記事中にあります。
400L以下で探す人は、置き場所の幅と奥行きをよく確認してください。
一般的な住宅の冷蔵庫置き場は、古い家や1LDK、2DK以下程度の場合多くは幅650×奥行650mm程度しかありません。
手順2.ネット通販で頼れる実店舗系列業者を探す

便利で主要なネット通販業者はAmazonか楽天ですが、こと実店舗系列業者を探しやすい場所となると、楽天かYahoo!ショッピングに限られます。
すでに楽天かYahoo!ショッピングを使っている人は、下記のボタンよりいずれかを利用するとポイントも揃えて貯められるし、住所やクレカの入力手間も省けるので至便です。
いずれかのボタンを押すと遷移するので、検索ボックスに欲しい品番を入れ、検索結果から好きな家電量販店が出している通販リンクをクリックすればOKです。もちろん、楽天ビックも楽天の中にあります。

核心を押さえて冷蔵庫を選ぼう
各家庭が必要とする冷蔵庫のスペックや予算は千差万別なので、記事で説明した核心、「搬入限界寸法」と「大型家電量販店(量販店の通販も可)で買うこと」さえ押さえていれば、あとのことは好きな物を納得いくまで調べて買ったら良いと思います。

失敗を通して得た筆者の経験が、冷蔵庫選びに苦心する読者の応援になれば幸いです。ぜひ、あなたの冷蔵庫選びが大成功につながりますように
おまけ:シンプルな冷蔵庫の魅力

ちなみに筆者が悔しくも手に入れられなかった冷蔵庫は、公式サイトに美しい説明があります。ショーケース•スタイルの冷蔵庫で、メーカーは日本のアクア。
もうすぐ廃盤になってしまうので、もう二度とこんなにスマートでシンプルな大型冷蔵庫は、手に入らないでしょう。。やたら多機能を好む日本では、金輪際出てこない逸品だと思います。
もしあなたの搬入限界寸法が770mm以上あったならば、一度はその存在を確認してみることをお勧めします。見ての通りドアの数も機能も極小の超シンプルな製品です。
ドアが少ない方が使いやすく、安くなる
確かに、ドアが6とか8とか細かく多い方が冷気が逃げにくく多機能に使い分けられます。しかしどのドアに何を入れたか覚えて使いこなせる人がどれほど居るでしょうか?

ドアが増えれば増えるほど、中身の一覧性が低下していくのです。結局パカパカ開けて探すハメになり、冷気どころか時間も失います。
この製品はドアが極限まで少なく無駄がないので、500L近辺クラスの競合品に比べ半額近いという、超合理的な価格結果になっています。
筆者が探した当時でこの製品は11万円、類似容量の競合品は19万円からでした。
機能が少ない方が使いやすく壊れにくく、安くなる

機能も必要最小限です。不潔で掃除が面倒な自動製氷機能もありません。いまこの機能は流行ですが、衛生と臭いの問題は以前から囁かれており、次第に表面化してくると思います。氷はネットスーパーで買った方が美味くて清潔で良い。
急速冷蔵、冷凍ボタンと温度表示は備えているので、スーパーで買った物を入れた直後など電力効率良くすぐ冷やせる最重要機能だけがあります。
結果として省エネ性能基準を100%満たす驚異の省エネ冷蔵庫となっており、無駄な機能いっさいなく電気代を節減できます。
逆に余計な機能というものは各メーカーが差別化のために無理くり付けることがあるので、あればある程、価格は釣り上がり、電力を食い、容量は減り、壊れやすくなります。

ですから、余計な機能については無いよりあった方が良いという判断は避け、本当に自分と家族にとって必要で、なおかつ使いこなせるシンプルなものに絞り込んだ方が良いです。
長い目で見れば絞り込むべき機能は、高い省エネ性能達成率と、不衛生で壊れやすく使いこなせない複雑な機能の排除に集約されると思います。
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