住宅のにおいリスクを回避する家選びのチェックポイント10点

住宅のにおいリスクを回避する家選びのチェックポイント10点

「新居がごみ置き場に近そうだけど臭い大丈夫かな。他にも家の周りでにおいのチェックポイントがないかな」

ふとこうした疑問を感じたことは有りませんか。目に見えず、図面に描かれることもない家の周りの臭気について、分譲賃貸問わず家選びの時点ではどんな風に気を付けたらいいかお答えします。

なお、すでにお住まいの部屋のにおいに対策したい方は ホテル客室清掃に学ぶ、お部屋の消臭最終手段 を参照ください。

この記事では、住宅を中心に15年間設計業務に従事してきた筆者より

  • 立地上の臭気リスクチェックポイントを4点
  • 建物上の臭気リスクチェックポイントを6点

それぞれ計10点のチェックポイントについてまとめました。普段業務で家づくりをやってるのでもなければ気づきようもない、それでいて臭いに直結する大切な事柄が満載です。早速ご覧ください。

家選びの段階から、臭気リスクを避けるチェックポイント

大前提としてにおいというものは目に見えず、個人の感じ方の差もあり数値化も難しいために法律で規制することもまた、難しいという特徴があります。

そのため住宅を設計する側には、周辺の臭いを測定し対策するような、義務も法律も基本的に一切ないのが実態です。あってもせいぜい工場等の排気を規制する法律くらいというのが現実です。

法律の規制がない以上、臭気を対策しているかどうかは業者によって千差万別です。立地規制もほぼ無いので、業者が臭気対策していても立地が悪すぎて焼け石に水みたいなケースも実在します。

ですから分譲にしろ賃貸にしろ、あなたが家選びにおいて不可視の臭いの問題を気にすることは神経質でもなんでもなく大変賢明な気づきです。順番にチェックポイントを見てみましょう。

立地上の臭気リスクを避けるチェックポイント

ここでは筆者が設計時にチェックする立地上の臭気リスクとその特徴を紹介することで、あなたの家選びの参考にできればと思います。

これら立地リスクへの対策はすべて、距離をとるという方法に尽きます。隣にこれらのリスクがあるような住居は避けましょう。

町内のごみ置き場はどこか

建物内、敷地内のごみ置き場はパンフレットや図面に必ず記載しますが、道路上にある町のごみ置き場は記載のない場合があります。まずは業者が把握していないか尋ねてみましょう。

確実に知るには所轄の清掃事務所を訪ね、集積所マップをもらうことです。たまにコピー禁止の事務所があるので、その場合は撮影します。残念ながらネットに公開されているケースは稀です。

町内のごみ置き場はどこか

簡易的には、グーグルストリートビューで道路の電柱にごみの曜日が書かれた看板などが出ていないか、ごみが道路に出ていないか目視確認する方法があります。

直接現地に赴くのも一つの方法です。ただし看板がなくてもごみの場所になっているケースは実在します。

町内のごみはごみ収集車がこまめに回収してくれますから酷い状態にはなりにくいですが、隣接する位置関係、2,3階の真下に来るような位置関係の住居は避けましょう

ついでに、道路だけでなくごみ屋敷が近くにないかも見ておきましょう。近年存在が目立つようになりました。

付近の飲食店は何か

市街地で中高層マンションが増えるにしたがい、飲食店からの臭いトラブルはますますよく聞くようになっています。

付近の飲食店は何か

臭気の強い飲食店はダクトという銀色の筒を煙突のように伸ばし、屋根で排気して散らすのですがマンションはそれより上方に位置するからです。

筆者が業務の過程で聞く臭気トラブルのケースで、最多は焼き肉屋です。次いでラーメン屋油の多い料理の店ほど、臭気と煙のトラブルが顕著です。カレーなどスパイス系も注意が要ります。

しかし店舗は入れ替わりもあるため、完全に対策するのは困難です。駅前市街地などに住む場合は便利と引き換えにある程度覚悟も必要です。

一番良いのは、距離が近くても店舗側に面した窓のない、できるだけ高層階の住居を選択することです。

廃棄物処理場等の煙突の高さはどこか

廃棄物処理場等の煙突の高さはどこか

現地やグーグルマップで、視界に謎の塔が見えた場合はそれが廃棄物処理場の煙突です。ゴミを燃やした排気を浄化した後、煙突で散らしています。大都市ほど煙突も高くなります。

2019年最近だと話題の湾岸エリアにもあります。

公共の廃棄物処理場はかなり法規制が厳しく、管理され排気されているので臭いに困ることは実際、あまりありません

たまに燃焼熱を利用したプールが併設されていることもあり、うまくリスクを回避できればメリットもあります。

筆者も廃棄物処理場近くの高層階に2年住んでいたことがあり、風下になる季節もありましたが、悪臭を感じたことは全くありませんでした。

とはいえ無いに越したことはありません。臭いもチリも完全にゼロではなく、だからこそ高い煙突で散らしているわけです。

煙突と同じかそれより上に位置する階は、風向きによって処理場の排気を受けるリスクが特に高いため距離をとった方が無難です。

短期間の賃貸なら良いですが、ずっと住むつもりならなるべく離れるのが賢明です。

下水処理場付近は避ける

下水処理場付近は避ける

水再生センターといったような、下水処理とは異なる名称になっている場合もあります。

法規制に沿ってあらゆる臭気対策が施されていますが、それでもたいへん臭うので必ず避けねばなりません

品川など市街地大都市にもあります。

建物上の臭気リスクを避けるチェックポイント

立地上のリスクを避けても、自分の家自体が臭ければどうにもなりません。

新築でも暮らし始めたらいきなり臭いということもあります。当たり前ですが家にはトイレがあり生ごみがあり、下水がありキッチンもあり、臭いの元は多様です。

そしてやはり、これら建物上の臭気自体を抑える法律はほとんどありません。早速自分でチェックしてみましょう。

市街地で下水インフラのない家は避ける

戸建てで町に下水が来ていない場合、浄化槽などの設置が義務付けられますが当然臭います。

山奥では仕方がないですが、下水の来ている市街地でも自宅の接する道路が私道であってそこだけ公共下水道が通っておらず浄化槽設置という場合もあります。

経験上の主観ですがこのような条件の家は2~3百万円割安でも割に合わないと思います。自分で行政に下水を伸ばすよう交渉することもできますが、容易なら業者がそれをやってから売りに出します。避けて他を探したほうが時間コストが割に合うと思います。

汚水層がある場合、どういう構造か確認する

町に下水インフラがあっても、その下水本管があまりに浅い位置にあるケースでは汚水層が敷地内や建物下に設置されます。下水本管は道路の下にあります。

下水が流れる仕組みは、単純に重力です。つまりあなたが用を足した便は、最初だけトイレの水で押し流し、あとはちょっと傾いた配管を通って便自体の重さと水とで押し流しているだけです。なので下水本管が高い位置にあると、便が流れていきません。

汚水層がある場合、どういう構造か確認する

汚水層とは、そこに下水をため、そこからポンプアップして下水本管に流す仕組みです。臭いについてはお察しの通りです。

汚水層が2重ピットによって閉鎖されており、通気管を屋根上まで伸ばして排気し散らしているならば、臭気の心配はほぼありません。メンテ時もあまり臭いません。

とはいえ窓が隣接する位置関係、2,3階の真下に来るような位置関係の住居は避けましょう

近年は台風などによる記録的短時間大雨で、床上浸水などの水害が目立つようになりました。こういうケースでは下水道本管からあまり高くない位置に下水管のある家では、汚水が逆流してきます。詳しくは 無料ハザードマップ 家選びへの役立て方 をご参考ください。

この下水逆流を防ぐために、積極的に汚水層を設けて逆流対策をしているケースもあります。汚水層=悪だと避ける必要はありません

2重ピットと排気の対策がなされているか確認できたなら、あとは悪臭リスクを避ける有利な位置関係の住居を狙えばメリットだけ享受できます。

ディスポーザ槽を確認する

ディスポーザ槽とは家庭の生ごみをシンクで粉砕し、シンクの下水管を通して粉々の生ごみを流して溜めるプラスチックの水槽です。

集合住宅の場合はこの水槽が敷地内か建物下の空間に設置されており、水槽と空間とで結果的に二重ピット状態になっているのが普通です。メンテは概ね年1回3時間程度で、メンテ時のみ空間に設けたマンホールとメンテ車両の両方から臭います。

通常時はほとんど臭いません。年1回3時間を気にする人はマンホールとメンテ車両停車予定場所を業者に尋ね、隣接する位置関係の住居を避けましょう。

あとは通気管がどうなっているか、汚水層のときと同様に、通気管が屋根まで伸ばしてあって排気し散らしているか確認します。

共用通気管の位置を確認する

集合住宅の場合、排水縦管を共有していますがこの縦管にも通気管がついていて、屋根に伸ばして排気し散らしています。

先ほどの汚水層、ディスポーザ槽、排水縦管の3つすべてについて、通気管(伸長通気管、臭突管ともいいます)がどこで排気されているか確認しましょう。

共用通気管の位置を確認する

屋根なら風で散りやすいのであまり問題はありません。しかし途中階ルーフバルコニー住居の場合、最上階屋根まで通気管が伸びておらず、まさにその途中階のルーフで排気がなされているケースがあります。

この位置関係だと頻繁に臭いに悩まされることが明白ですから、隣接する位置関係の住居は避けましょう。

要するにこれら通気管をきちんと最上階の屋根まで伸ばしてあればほぼ問題なく途中のルーフバルコニーで排気している場合は付近が臭うので気を付けてください。

駅前など密集市街地のマンションを検討する場合は、隣の集合住宅の屋根に出ている排気が自宅の窓に近くないかもグーグルアースなどで確認し、危なそうなら業者に尋ねて把握しておきましょう。

建物内のごみ置き場を確認する

マンションの場合建物内にごみ置き場が設けられるケースが大半です。

最も理想的な構成は、入り口の手前に小部屋があって換気されているか、もしくは外廊下のような風通しの良い半外部空間を介したレイアウトになっているパターンです。

外廊下のような風通しの良い半外部空間を介したレイアウト

建物下などで壁がないとかシャッターに通気性があるなど風通しの良い駐車場等を介しているパターンでもOKです。

閉鎖的な駐車場のような大部屋から直接入り口が面している場合

エントランスや中廊下、閉鎖的な駐車場のような大部屋から直接入り口が面している場合は、その部屋に臭いが漏れます。

ごみ置き場の換気設備によって通常は臭気が漏れてきませんが、入り口ドアの開閉に伴い臭いが漏れます。

あとはごみ置き場の排気がどこに出ているか確認します。普通はごみ置き場の壁です。建物内ごみ置き場の出入口と排気口に隣接する住居はなるべく避けた方が良いです。

とはいえ大抵のマンションごみ置き場はこまめに清掃管理されており、脱臭装置など対策もなされていることが多いです。これらが確認できれば隣接した位置関係でも自宅側の窓と給気口さえ近くなければほとんど問題ありません

ピット通気管とドルゴ通気弁について

ちょっとマニアックな情報ですが、マンションではピット通気管といって、ピットという名の地下の設備用の空間からも通気管が伸びており、敷地内のどこかで解放されています。パンフレットに書いてあることもあります。

そこまで臭うものではないですが、気にするなら窓の直前に来ていないかだけ確認しておくと良いです。

もう一つ稀な例ですがドルゴ通気弁といって、部屋の床にその弁のための点検口が設けられているケースがあります。

ドルゴ通気弁は排水縦管をやむなく途中で曲げなければならないケースで配管に空気を送るため設置が必要になるもので、空気が逆流せず臭わない機構になっています。

きちんと設置されていれば臭気リスクはほぼ無いですが部屋の床に下水排水点検口があるのはあまり気分の良いものではなく、またメンテ時は臭いますのでなるべく避けた方がよいです。

まとめ 家を決める前に必ず臭気リスクをチェックしよう

以上10点、住宅のにおいリスクを回避するためのチェックポイントを見てきました。全体をまとめると、

  • 臭気リスクは目に見えず、法規制も弱いため見落とし易い
  • どのような臭気リスクも、事前に距離を取ることにまさる対策はない
  • 臭気リスクの発生位置を把握し、隣接さえ避ければ良い場合もある

といった内容でした。

どれもこれも、普段なかなか気づきにくい視点であり、それでいて住んでから気づくのでは遅い事柄ばかりです。どうぞ記事を参考にお役立てください。

当ブログ(デフラグライフ)のマイホームカテゴリ では、他にも家選びにおけるリスク回避のコツをまとめています。同様に、家づくりを業務でやってるのでもなければ普段なかなか気づきにくい、しかし大切な事柄を記事にしています。併せてご覧ください。