対象端末 | 最適端子 | 適合ケーブルW | PD転送速度規格 |
全iPhone | C to L MFi | 20W ※1 | USB2.0 |
各種MacBook 2016〜 ※下記3機種除く | C to C | 60W ※2 | USB2.0 USB3.1Gen1 USB3.1Gen2 Thunderbolt3 |
15インチMacBookPro 2016〜2022 16インチMacBookPro 2019〜2022 | C to C e-Marker | 100W ※3 | USB3.1Gen2 Thunderbolt3 |
14、16インチMacBookPro 2023〜 | C to C e-Marker | 100W ※4 | Thunderbolt4 |
MacBookやiPhoneの公式充電ケーブルは高い。バリエーションが少ない。
しかし他社ケーブルを買おうにも、Amazonの説明文を見ると複雑な規格情報があって、どう選べばいいか分からない。という人はいませんか。
適当に端子形状だけで選んで、後になってから高速充電できないとか高速データ転送できないとか、あまつさえ規格違反品と分かったら嫌なものです。
記事ではこうした規格に関する最新情報を整理してあります。急ぐ方は単に一覧表にある製品のみをご利用ください。それで大きな失敗はありません。
詳しく知って表以外の製品から選びたい方は、記事の後半までお付き合い下さい。
一覧表の注意事項
ケーブルの一方は、USB-Cに統一して冒頭の一覧表を作成しています。
業界全体は徐々にUSB-Cに移行しつつあります。あなたのApple製品が持つ、データ転送や高速充電のポテンシャルを妨げたくないと思うならば、ケーブルの片方はUSB-Cにしておく必要があります。
どうしても片方をUSB-AもしくはMicroBにしたいという方は、下表のデメリットについて留意して下さい。
端子の性能比較 | 最大充電速度 | 最大データ転送速度 |
MicroB | 10W | 0.48Gbps |
MicroB(QC3.0/2.0) | 18W | 0.48Gbps |
USB-A(Gen2.0BC) | 7.5W | 0.48Gbps |
USB-A(Gen3.2) | 15W | 10Gbps |
Lightning | 20W | 0.48Gbps |
USB-C(Gen3.2PD) | 100W | 40Gbps |
USB-C(Gen4.0PD) | 100W | 40Gbps |
USB-C(Thunderbolt4) | 100W | 40Gbps |
ケーブルの速度は遅い方の端子で決まるので、片方がAかBだと、他方がCかLightningだったとしても、強制的に遅いUSB-AorBの性能になります。
先っちょだけ付け替えるマルチケーブルや変換アダプタを噛ませても、元々が遅い端子だと変わりません。
USB-AもBもどちらも凄く遅いし、せっかくのポテンシャルを無駄にする結果となりかねません。
今から買うなら、USB-Cに統一してモバイルバッテリーや充電機器、外付けドライブ類を揃えていくことをお勧めします。
MacBookとiPhone 最高速充電転送ケーブル一覧表
対象端末 | 最適端子 | 適合ケーブルW | PD転送速度規格 |
全iPhone | C to L MFi | 20W ※1 | USB2.0 |
各種MacBook 2016〜 ※下記3機種除く | C to C | 60W ※2 | USB2.0 USB3.1Gen1 USB3.1Gen2 Thunderbolt3 |
15インチMacBookPro 2016〜2022 16インチMacBookPro 2019〜2022 | C to C e-Marker | 100W ※3 | USB3.1Gen2 Thunderbolt3 |
14、16インチMacBookPro 2023〜 | C to C e-Marker | 100W ※4 | Thunderbolt4 |
転送速度 | 映像転送目安 | |
USB2.0 | 0.48Gbps | ー |
USB3.1Gen1 | 5Gpbs | HD30Hz |
USB3.1Gen2 | 10Gbps | FHD60Hz 4K30Hz |
Thunderbolt3 | 40Gbps | 4-6K60Hz |
Thunderbolt4-USB4 | 40Gbps | 8K60Hz |
※1 iPhoneの急速充電はiPhone12以降20W、11以前は18Wです。しかし2Wケチっても探すのも困難で価格も大差ありません。これはケーブル選びの表なので、上位で包含できるケーブルの規格を優先してあります。
※2 MacBookも機種によって例えばMacBookAirM1は最大充電速度45Wであり、60Wのケーブルはオーバースペックですが、ケーブルは規格上60Wが主流なので割愛しました。
※3 Macの場合厳密には100W帯は96Wが上限になりますが、ケーブルは100Wで流通していて上位互換なのでそちらに合わせました。
※4 16インチMacBookProに限り最大140W充電が可能ですが、公式にはMagSafeに限られます
一覧表の使い方について、例えばiPhone用のケーブルなら、選択肢はUSB2.0の一択でベストです。それ以上はオーバースペックですが、そもそも端子のL=Lightningの転送限界がUSB2.0相当の480Gbpsなので、探しても詮ないことです。
MacBook用のケーブルなら、まず機種の年代によって最大充電速度が異なるので、先にこちらを決める必要があります。その後、転送速度別にいろんなケーブルが選べます。例えばMacBookAirM1の場合、60W帯から転送速度別に4種のケーブルが選べます。
もちろん、最速のThunderbolt3にしても良いですが金がかかるので、もう一つの転送速度一覧表と睨めっこしながら、どこまで求めるか妥協しても良いでしょう。筆者は10Gbpsに妥協して、いずれ上位のケーブル価格が落ちてくるのを待つ選択をしました。
転送速度と映像転送目安についてですが、あまり高速なものはケーブルが非常に高額になりますから、場合によっては下位のものに妥協しても良いでしょう。
例えば50インチ未満程度のテレビに映像を流すくらいなら、10Gbpsあれば十分です。モニターで動画編集したりクリエイティブな映像作業をする場合や、4K映像を楽しみたい場合は、Thunderbolt3以上の性能が役に立ちます。
ほか詳しくは以降の記事をご確認ください。
iPhoneケーブルについての要点
iPhoneの充電端子はすべてLightningです。この端子は、iPhone8以降の機種であれば充電18W、データ転送480Mbpsが最大値です。
iPhone7以前の機種は7.5Wまでです。iPhone12だけは充電20Wまで対応します。
18Wあるいは20Wの高速充電に対応するには、USB-PDという規格に合致したケーブルが必要です。
また、LightningはApple独自の規格で、Appleが設けたMFi認証という認証制度によって、他社製ケーブルの品質を管理しています。認証がないと繋がらない場合があります。
ですから、iPhoneのケーブルで他社製を選ぶとき、iPhoneの潜在能力全てを引き出すための要点は、下記全てを押さえたもの、ということになります。
仮にこれ以上の性能があるケーブルが存在したとしても使えますが、性能の上限は一覧表にある値までに制限され、オーバースペックとなります。
USB IF 認証はどうなのか
USB IF認証は、USB-C端子が規格に完全合致している製品のみにUSB規格団体から有償で与えられる認証制度です。
もちろん、この規格を持つケーブルがベストですが、メーカーは認証取得にコストがかかるのでそのまま販売価格が上昇します。
実態としてはまだそこまでこの認証は浸透しておらず、認証なしでもまともなケーブルはたくさんあります。
今後はわかりませんが、現時点ではあってもなくてもそこまで気にする必要はありません。
MacBookケーブルについての要点
表で赤書きした一部機種を除き、MacBookの最大充電速度は60W、最大転送速度は40Gbpsのポテンシャルがあります。
公式では61Wと表記されますが、事実上、PDOというUSBの規格上も実行速度も60Wが実態です。
もちろん、機種によっては端末で30Wや45Wまでの充電に制限されていますから、ケーブルだけ60W対応だとしても実際に60W充電されるとは限りません。
詳しくは機種別にテストした記事を探すしかありませんが、MacBook Air2020M1ならば筆者がテストしたので下記をご覧ください。
付属充電器を超える充電速度を実現する、安全なポテンシャルが発見されています。
端末の制限がどうあれ、PD規格に対応する限りケーブルの規格上は、どういう製品を選んでも最大充電速度は60Wまで対応しています。
しかし、データ転送能力は千差万別ということです。MacBookのケーブルで他社製を選ぶときは、以下の要点に留意ください。
なお、データ転送速度が10Gbpsを超えると、最大充電速度は規格的に60→100W対応ケーブルになります。
とはいえケーブルだけ対応していても、大半のMacBookは充電60Wかそれ以下までしか対応していないので、オーバースペックにはなります。
ちなみにCtoCケーブルにMFi認証は存在しません。MFi認証は事実上、Lightning端子専用の認証です。
60W超の充電に対応するMacBook用のケーブル
15インチMacBookPro(2016年以降発売モデル)、16インチMacBookPro(2019年以降発売モデル)に限り、それぞれ87W及び96W充電に対応します。
この高速充電ポテンシャルを発揮するには、e-Markerという、大容量に対応するチップ内蔵が明示されたUSBケーブルを意識して選ぶ必要があります。以下の要点を確認ください。
規格上、e-Markerを内蔵したケーブルは自動的に最低10Gbps以上の転送速度に対応するはずですが、速度の明示のない製品は買うべきでありません。
マルチケーブルや変換端子の選び方
MacBookをモバイルで使用する場合、iPhoneやAndroid、ポケットWifiなどでインターネット回線を賄うことになります。
その場合、機種によっては充電ケーブルが2種類必要になることがあります。MacBookはUSB-C端子ですが、他の端末はMicroBやLightningだったりするからです。
しかしモバイルで2本のケーブルを持ち歩くのは嫌なものです。これを解決するためには、マルチケーブルか、変換端子を噛ませる方法があります。
このようなマルチケーブルか変換端子を使おうとする場合は、もう一度以下のデメリットがあることをよく認識してから買うようにしてください。
端子の性能比較 | 最大充電速度 | 最大データ転送速度 |
USB-A MicroB | 7.5W | 0.48Gbps |
Lightning | 20W | 0.48Gbps |
USB-C | 140W | 40Gbps |
- 片方がUSB-AかMicroB端子の場合、MacやiPhoneの高速充電はできない。最大7.5Wに制限され、データ転送速度も0.48Gbpsになる。
- 変換端子を噛ませても、元がUSB-AかMicro Bなら、遅い方に強制的に合わせられる。
- 両方USB-Cをベースにしたマルチケーブルでも、充電は3A60W、データ転送は0.48Gbpsに制限される製品が大半
高速充電できないと、MacBookのような大容量端末の充電には実用上耐えられません。時間がかかりすぎます。
マルチケーブルを検討するなら、両方USB-Cのものの中から探すのが最善ですが、まだまともなメーカーのUSB-Cベースマルチケーブル製品がありません。Ankerのマルチケーブルは残念ながら、片方USB-Aです。
要するに現状、高速充電できるマルチケーブルは通信速度が犠牲になり、信頼おけるメーカーの製品がないので品質はギャンブルになります。
あと他に持ち歩くケーブルを減らすアイデアとしては、Qi無線充電搭載のモバイルバッテリーを使うことでiPhoneのLightningケーブルを省略する手がありますが、筆者が実際に運用したところ容量不足に悩まされました。
iPhoneにはもちろん十分ですがMacBookには全然足りず、帯に短したすきに長しみたいな中途半端な状態になります。なのであまりお勧めしません。
もうひとつ次善策としては、ショートケーブルを使ってコンパクトにする方法があります。
MacBookは充電容量が大きく、充電頻度は多くないので、CtoCケーブルは15cmくらいのショートケーブルにしても利便性をあまり損なわず、かなりコンパクトになります。
iPhoneは容量が小さく相対的に頻繁に充電しなければならなくなり、場合によっては充電しながら操作したい場面も多々発生してくるので、C to Lightningの方はある程度ケーブルに長さがあった方が良いです。
USB-C to Lightning ケーブルの特性
ところでC to LightningケーブルでiPhoneを充電する人にはよく覚えておいて欲しいのですが、このケーブルは純正品であっても、端子に差すだけでわずかに電流が流れる仕様です。
C to Cの場合は、両方に機器を接続しない限り流れません。
つまり、例えばモバイルバッテリーにC to Lightningケーブルを挿しっぱなしにしていると、バッテリーの通電ランプが常にON状態になってかすかに放電し続けることがあります。
その場合はケーブルを抜けば消灯します。消灯しない場合は、モバイルバッテリーを充電器でC端子から再充電すれば、リセットされて消灯されます。
そういうものだと理解しておけば、壊れたと焦ることも無駄に電力を失うこともなくなります。気をつけて運用してください。
個人的には、Lightning ケーブルは形状設計に欠陥があると思います。いくら電圧が低いとはいえ端子が露出しているその形状は、ショートの確率を上昇させます。充電器に挿しっぱなして運用することは特に避けた方が良いでしょう。
サクッと全部カバーできるケーブルを選ぼう
iPhoneやMacBookのケーブルと一口に言っても、選択肢は千差万別です。
それぞれ自分の機種に最適なものを細かく調べていくのは非常に大変なことで、それを追求しても数百円の差にしかならないこともしばしばです。
とはいえ自分の機種が、たかがケーブルのせいで本来の性能を発揮できないのは嫌なものですし、実際大変な充電時間やデータ転送時間の増大、損失につながります。
であれば、数百円程度載せてほとんどの性能をカバーでき、かつ規格に適合した安全なものの中から、予算に合うものを選んでいくのが無難でしょう。
それには、この記事に記述した要点を理解して自分で選び取る方法と、記事を読まずに一覧表だけ見てその中からチョイスして終わらす方法の2通りがあります。
どちらでも、大きく後悔するような結果は避けられるよう編集しました。
筆者はUSBの複雑な規格を何時間も調べて大変な時間を空費しましたが、読者の皆さんは、筆者と同じ損失を被る事態をこの記事で回避できるものと思っています。
どうぞ早見一覧表を活用し、あなたや、迷って困っているあなたの周りの人の助けにして戴ければと思います。
おまけ:iPadやAirPods、AppleWatchはどうなのか
iPadについては、最近の機種だと30W充電まで対応していることが多いです。
端子の形状がLightningなら早見表のiPhone、AirやProなどUSB-Cなら早見表中段のMacBook60Wの行から好きな転送速度を選べば良いです。
ただし一部上位機種を除いてThunderbolt3は非対応ですから、そこまでのケーブルは不要です。
AirPodsは無線充電をお勧めしますが、有線でやるなら早見表のiPhoneと原則同じです。
AppleWatchは磁気充電ケーブルという専用ケーブルが必要なので、Apple公式から買うのが順当です。
利便性の観点からは、置くだけで充電できるQi無線充電をお勧めします。早見表は使えません。
おまけ2:Anker以外のメーカーは実態としてどうなのか
記事の要点を押さえていれば、Anker以外のメーカーのケーブルでも問題が起きる確率はかなり低く抑えられます。
モバイルバッテリーや充電器はさすがに安全性の観点から怪しいメーカーを避けたいですが、ケーブルは要点さえ押さえていればそこまで神経質にならなくても大丈夫です。
再三になりますが、記事の要点がはっきり製品に明示されていることを確認の上で、自由なメーカーから好きな長さや色、デザインのケーブル選びを楽しんでみてください。
ちなみに筆者はAceyoonというマイナーブランドのCtoC5A10Gbpsケーブルを一本使っており、要点を押さえた安くて良い製品でしたので初期の記事では紹介していましたが、今は入手不能となりました。
結局のところ保証やメーカー存続、アフターも考えるとApple、Belkin、Ankerにしとくのが無難で時短になるとは思います。BelkinとAnkerだけが、Apple公式の販売サイトでも商品を提供していたことがあり、ある意味準公認だからです。
あまりにもライバルが脱落するとAnkerもおかしくなると思いますが、今の所そうした兆候はまだ見られません。AppleとBelkinはすでに価格がおかしいですが、Ankerはまだ大丈夫です。
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