安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方

安全・簡単格安 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方

壊れた陶器やガラス食器を自分で直したいとき、要点を全てクリアした情報がネットに無いことに気づきます。

安く、簡単で、美しく、そして口に触れて安全であること。

簡単なだけなら合成接着剤による情報がいくらでもあります。しかし安全性がありません。

美しさなら伝統的な金継ぎです。しかしあまりに高価で、そして時間と技術を要します。

このページでは、他の方法の問題点をざっと概観したうえで、すべての要点をクリアした唯一つの独創的なDIY技法を提供します。

要点を押さえたガラスや陶器の修理法をさがしてネットをさまよい、このオリジナル記事にたどり着いた人には、ここがあなたの最後の情報収集場所になると確信します。読めばきっと修理に手を進めることができるでしょう。

人体に触れて安全な接着剤は限られている

人体に触れて安全な接着剤は限られている

エポキシやボンディックのような樹脂系接着剤は便利ですが、安全性がありません。

エポキシ系は必ずメーカーが注意書きをしています。皮膚に触れる場所へ使用するなと。

ボンディックはメーカーのQ&Aと注意書きで明快に回答しています。安全性の公的認証はなく、皮膚に触れさせるなと。

そのうえどちらも安いわけではありません。

金継ぎは本格的すぎる

金継ぎは本格的すぎる

ふつう、直したい食器はひとつか二つ程度だと思います。あるいは金継ぎを楽しみたいと思っても、せいぜい2-3回ではないでしょうか。

伝統的な金継ぎには少なくとも数種の漆と金属粉、道具を要します。まともに揃えるとかなりお金がかかってしまいます。

なにより下塗りからパテ埋め、それから研いで塗って金を蒔いてと工程が多く、工程ごとに多数の筆や道具を使い分け、さらに漆が素肌にふれるとかぶれてしまうので注意もいります。

2,3個の食器を直したり楽しみたいだけなのに、沢山の道具と時間を消費してしまうのです。

余った道具もほとんど使い道がありません。投資が無駄になりやすいです。

現代の道具で金継ぎを再現する

現代の道具で金継ぎを再現する

ではどんな方法がよいか。伝統的な金継ぎの美しさを継承しつつ、現代的な道具で簡単に安く実現すればよいのです。何より安全性を忘れずに。

接着剤は タイトボンドⅢ DIYにベストな進化形木工ボンド で紹介したタイトボンドを使用します。詳しい性能は記事をご覧ください。アメリカ製で安く簡単で、熱、水に耐え、そしてFDA(米国食品医薬品局)による食品安全性承認があります。

たいへん便利な道具なので、余ってもいろんな場面で役立つはずです。 食器に使える接着剤 タイトボンド応用4例 ではその他の使い道についてもご紹介していますので、いずれ見てみてください。

しかしタイトボンドだけでは金継ぎの美しさに及びません。そこでゴールドライナーという道具を使い、上塗りして仕上げます。フランス製ですが国内代理店があり、簡単に安く手に入ります。

ゴールドライナーも熱、水に耐え、さすがに食べることまでは推奨されませんが、ACMI(米国画材工芸材料協会)によるASTM(米国材料試験協会)基準をクリアしたAPマークが付与されており、人体に無害で安全なものです。

この二つでほぼすべてが事足ります。品薄にならない限り他のどの方法よりも安く済むでしょう。

電子レンジ、食洗機OK

筆者が実験したところ、修理後は電子レンジも食洗機もOKでした。

厳密にはタイトボンドの公式には耐熱温度情報があり、通常4000psiの強度が65度以上で800psiに落ちます。換算すると1平方cmあたり56kgfの力です。大抵の食器の通常使用には耐えると思われます。

ゴールドライナーは元々150℃以上の高熱に耐える設計です。公式Q&Aでは電子レンジOKの記述が確認できます。

それでは、以降の記事で手順をご紹介していきます。

タイトボンドで食器を修理する

修理に着手する前に:なおしたい食器の破片ピースが不足していたり、3㎜以上大きく欠けた穴を埋めたい場合は、パテ補修の技法を併用する必要があります。欠けた食器のパテ補修 食品安全性のある素材で食洗機電子レンジOK を併せてご参考ください。

オープンタイムをとって楽々接着

タイトボンドで食器を修理する

まず、直したい陶器やガラスなどの破片を集めて仮組みし、どのピースがどこにはまるのかを確認します。

オープンタイムをとって楽々接着

破片の位置関係が分かったら、いったんばらしてからタイトボンドを破片の断面に塗っていきます。

この道具は先端がキャップを兼ねたハケのような形状をしており、ハケの中から接着剤が出てきて非常に塗りやすい構造になっています。初めてでもきっとうまくいきます。

使い方の極意は、くっつけたい物の双方に接着剤を塗り、塗った後一定時間待ってから貼り合わせるというやり方にあります。※コンタクト接着といいます。

オープンタイム
ミスやはみ出しの許されない瞬間接着剤やエポキシに比べ、安全で融通の利く方法です

すべてのピースの断面に接着剤を塗り終わったら、決してすぐに貼り合わせず、8分待ちます。※オープンタイムといいます。

8分を大きく外れるとうまくいかないのでタイマーで計った方が良いですが、接着剤を塗る作業を焦る必要はありません。

自分のペースで塗り、塗り終わってから8分タイマーをスタートするくらいで丁度良いです。

素手でくっつけ
皿でもカップでも、伏せ置きの方が組み立てやすいです

8分経ったら好きなピースから素手でくっつけていきます。貼り合わせると、ブチュッと接着材がはみ出ますが気にしなくて良いです。ブチュッと密着させてください。

オープンタイムをちゃんと取ったこの状態だと、接着剤が程よく粘りを持っており、弱く接着するので作業しやすいです。

位置をずらすこともできるので、納得いくまでグリグリ微調整し、全てのピースを素手で組み上げてください。

素手で触って安全な接着剤なので手袋は不要です。素手の方がピースのずれや段差を指で感じやすく、組み立てが簡単にうまくいきます。終わったら手についた接着剤は水で洗い流すだけです。

クローズドタイム

食器にはみ出した接着剤や、素手で触ってべとべとに延びて着いてしまった接着剤もそのままでよいので、組み上げたらタイマーで15分をスタートしてください。※クローズドタイムといいます。

接着剤のはみ出しを除去する

接着剤のはみ出しを除去する

先ほどのタイマー15分が経過したら、爪楊枝を使ってぶちゅっと大きくはみ出た接着剤を取り除いていきます。

この時点では仮接着されており、楊枝でいじったくらいでは壊れません。はみ出した部分はゼリー状になっており、楊枝でペロッと剥がれます。

楊枝でペロッと剥がれます
細かいはみ出し汚れはこだわらない

剥がすときまだゼリー化していなかった部分や、さきほど素手で汚してしまった部分は薄く伸びた接着剤が残ってしまいますが、そのままで良いです。

今の時点で薄く伸びた接着剤の部分を除去しようとすると力が入って壊してしまい、失敗します。

これで接着は終わりです。24時間乾燥させてください。

修理した食器を洗浄する

修理した食器を洗浄する

24時間乾燥させたら、薄くこびりついた接着剤やわずかなはみ出しを洗浄します。

激おち君などメラミンスポンジに水を含ませ、こすって洗浄してください。硬いところは爪で引っ掻くと取れます。

見た目にこだわらないなら、これで修理は完了です。漏水がないかテストして使用してください。

漏水がないかテストして使用
タイトボンドで食器修理完了。食洗機もレンジもOK.

ゴールドライナーで金継ぎを再現する

ゴールドライナーで金継ぎを再現する
気軽に金継ぎ職人気分

先ほどの洗浄が終わったらキッチンペーパーなどで念入りに水分を拭き取り、現代の金継ぎに着手します。

これにはゴールドライナーか、ディスカバリーという道具を使います。陶器、ガラスのほか金属にも使用できます。

ゴールドライナーはアクリル絵の具のチューブのような形状をしており、見た目通り先端から絵の具を絞り出して、食器を修理した亀裂面に沿って直接塗っていきますのでこれ一本で済みます。

ディスカバリーは絵の具が瓶に入った各色アソートセットで、6色または12色が選べます。このタイプは筆を使ってかき混ぜ、塗る必要があります。混色もできます。

筆塗りで単色をやりたい方は、ゴールドペイントもあります。色はかなり幅広く選べます。銀などキラキラ系の他色をお探しの場合は、シマ―ペイントから選択してください。

ゴールドライナーを使うと、仕上げ面が少し厚みのあるポテッとした風合いになります。ディスカバリーやゴールドペイント、シマ―ペイントなら薄い面の表現が可能になります。

記事の白いカップの写真はゴールドライナーによる筆者の作例です。下記の黒いカップの写真はゴールドペイントによる筆者の制作風景ですので、仕上がりの参考にしてください。欠けた食器のパテ補修 食品安全性のある素材で食洗機電子レンジOK では、筆塗りの実演をしています。

ゴールドペイント作例

実感としては筆塗りを要するペイント系は、簡単低コストなライナー系に比べきれいな線を引くのが3倍難しいです。初めてならばゴールドライナーから触れてみるのがおすすめです。

塗りに失敗しても、このあとの焼成前なら綿棒を水で湿らせ拭って修正できます。

ジップロックに乾燥剤と同封して24時間乾燥

塗り終わったら、 1時間表面を乾かしたあとジップロックに乾燥剤と同封して24時間乾燥させます。

乾燥剤は焼き海苔の袋などに入っています。手に入らない場合は、風通しの良い場所で4日間乾かしてください。乾燥が甘いと、絵の具が膨張して失敗します。

オーブンに入れて余熱無し150℃で35分焼成

しっかり乾燥させたら、オーブンに入れて余熱無し150℃で35分焼成します。

※ガラス用ゴールドライナーで代用した場合は、余熱無し160℃40分です。

35分経ったら、決してオーブンの扉を開けてはいけません。すぐに開けると急激に食器が冷え、温度差で熱割れを起こしてしまいます。

扉を閉めたまま常温に戻るまで2時間以上放置してから、取り出します。

これで金継ぎ風の食器仕上げが完成しました。ディスカバリーを選択した人は他の色も試せます。

オーブン不可の陶器・ガラス・100均食器を使えるか

オーブン不可の陶器・ガラス・100均食器を使えるか
記事で焼成した、カップとソーサーセットで100円のダイソー激安品

今回の記事ではオーブン不可と明示された100均の陶器をあえて使用し見せました。結論から言えば不可の表示があってもオーブン焼成に使える確率が高いですし、確率を上げるコツもあります。

陶器は本来、粘土を約1000℃で焼いて作られた物です。

しかし局所的に温度差が生じると熱割れを起こしてしまったり、内部に水分が残っていると膨張して割れてしまうため、これに対策したのがオーブン可の陶器です。

ガラスも同様に焼成して製造されますが、陶器よりさらに熱割れに弱い特性があります。

従って急激な温度差や内部の水分がないか気を付けてやれば、100均などの非耐熱食器でも焼成に耐える可能性は十分あります。

温度差については先ほどの金継ぎ工程どおり、オーブン焼成後にすぐ扉を開けないようにすれば大丈夫です。問題は水分を含んだ陶器かどうかです。

あなたが直したい陶器やガラスがオーブン可の耐熱品か分からないときは、ジップロックに乾燥剤と同封して24時間乾かすことで成功確率を上げられます

絶対失敗したくない大切な食器の場合は、焼成はあきらめて接着修理と洗浄までにとどめておきましょう。

食器を直してオリジナルアイテムに

食器を直してオリジナルアイテムに
スタバマグを現代金継ぎし、お店で使ったらおしゃれかも!?

以上、公的な食品安全性承認があり、伝統的金継ぎのように美しく、簡単な2種の道具だけで、格安にできる食器の修理法を紹介しました。

せっかくなので単なる修理に着手する前に、あなただけのユニークな仕上がりを想像してみてください。

シンプルか、カラフルか。。2つとして同じ割れかたをしない食器に、あなたが選んだ唯一つの色を載せて、壊れた食器を生まれ変わらせてみましょう。

安全な材料なので、友達や子供達にも教えて一緒にやってみてもいいかもしれません。余った道具は テーブル下リモコン収納 貼って剥がせる100均マグネットDIY の記事などを参考に活用することもできます。

大きく欠けた食器や、破片のピースが足りない食器を直したい方、あるいは100均食器を自分で破砕してから作ってみたいけど、破砕失敗して粉々になってしまったらどうしよう。。とお悩みの方は、 欠けた食器のパテ補修 食品安全性のある素材で食洗機電子レンジOK をご覧ください。

最近国内のゴールドライナーがかなり品薄になってしまいました。在庫復活に備えて下記リンクを残しますが、品切れの場合ブラックしか表示されない場合があります。間違えてブラックを購入しないようご注意ください。2段下のリンク先並行輸入品はまだ在庫があるようですが、少々割高傾向です。

ゴールドライナーが品薄で割高の場合、下記のガラス用ライナーで代用できます。焼成温度以外の性能はほとんど変わらないので、使ってみても良いでしょう。少し透明度が高めになります。逆にいずれガラスにも挑戦したいと思っているなら、なおさら代わりの選択肢になりえます。

なお類似品にヴィトラーユという製品もありますが、これは焼成できないので不適切です。間違えないように気を付けてください。

最近かなりゴールドライナーが入手困難になってきたため、どうしても見つからない場合大変割高ですが下記の並行輸入品をご検討ください。

ディスカバリーを選択する場合、金色は6色セットには含まれませんので注意してください。12色セットには金色も含まれます。

金色など単色だけで、筆塗りの方をやってみたい方は、ゴールドペイントが適します。色はリンク先で選べます。

銀などキラキラ系の色で金色以外を探している向きには、下記のシマ―ペイント系から選択ください。

筆はインターロンの2号(中太)と長穂(極細)が最適です。学校の絵筆でも100均でも可能ですが、良い道具は成果の助けになります。

おまけ:筆者、記事づくりのために皿を必死こいて割るの図

おまけ:筆者、記事づくりのために皿を必死こいて割るの図
袋に入れて金づちやドライバーの尻で割ります。少しずつ力を上げていくのがコツ。