
MacBook2020M1は充電の公称持続時間が18〜20時間で、モバイルバッテリーを持ち歩く必要すらないと思わせてくれるほど頼りになる端末です。
筆者は、どんなバッテリーを持ち歩くのがMacBook運用に良いのか、あるいは持ち歩く必要すら無いのか、新しいMacBook Air M1を使いながらずっと色々試してきました。
ここではその結果をまとめて、MacBookにベストなモバイルバッテリーが何なのか、結論を出してみたいと思います。
きっと、あなたの考えに合致する事実や、あるいは思ってもみなかったような価値観を発見できることと思います。ご覧ください。
MacBookAir2020M1の電力評価 長期モバイル運用してみて

筆者はMacBookAir2020M1をこれまで仕事にプライベートに、ありとあらゆる場所で、いろんなタイプのモバイルバッテリーを携行して毎日かなりの長時間酷使してきました。
ここでは特に電力のことに絞って、運用を通して気づいた点を列挙します。
どういう使い方をしても丸一日電池は持つ
筆者は仕事で昼から充電せず長々とリモート会議をやり日没まで作業した後、さらにYouTubeで音楽を聴きながら夜まで残業しましたがそれでも電池は尽きません。20%くらい残ります。
最初に電池が満タンであれば、丸一日どういう使い方をしても電池切れになることは無かったし、他の多くの人にとってもそれは変わらないだろうと感じました。この新型MacBook自体は比類なきマスターピースです。
MacBook自体をモバイルバッテリー代わりにするのはやめた方がいい
一方、上記の運用中にインターネット接続を受け持つiPhoneの方は、テザリングで電力を消耗して先に力尽き、途中2回の充電を必要としました。

当たり前ですがMacBookをモバイルで使うということは、テザリングかポケットWifiでインターネット接続を用意する必要があるということを意味します。
それらのネットワーク端末の電力のことも考慮に入れて初めて、MacBookのモバイル電力環境を考え抜いたことになります。
iPhoneなどテザリング端末の充電をどうするかですが、MacBookから直接取るとMacBook自体の充電頻度が上がり、寿命を縮めます。
また、結局トータルでMacBookの使用時間を縮め、最終的にiPhoneとMacBook双方の電池残量を気にしながらケーブルを抜き差しせねばならず、かなり不便です。
MacBookM1にはモバイルバッテリーがいらないか
満充電から1日をスタートすれば確実に丸1日充電は持ちます。しかし実際の運用上は、ちょっと使うたびこまめに毎晩100%充電したりしない人が多いと思います。
朝起きてから充電する時間はあまりないことが多く、このため実態としては1日のスタートを満充電でないところから始めるような状況も多々出てきます。
その場合は出先で時々充電したくなる状況になります。筆者はほぼ毎回ありました。
仕事が絡むと、充電には余裕を持っておきたいと考えるので、やはりモバイルバッテリーは必要です。
軽量モバイルバッテリーでは全然足りない

筆者は最初、10000mAhの軽量モバイルバッテリーを携帯し、運用していました。このバッテリーはQi無線充電機能をも備えています。
MacBookをUSB-Cケーブルで高速充電しながら、iPhoneを無線充電できるので、持ち歩くケーブルを1本に減らせるという大きな利点があります。
しかし残念ながら、10000mAhでは用に足りませんでした。
iPhoneは3回くらい満充電できるのですが、Mac Bookは60%くらいが限界です。それだけあれば十分だと最初は思っていたのですが、実際はそうではありません。

会議などに備えMacBookを充電しておこうと繋ぎ、いざ使い出すと、やがてiPhoneの充電が先に切れます。
その時、モバイルバッテリーを使おうにも、もうすでにMacBookを充電して容量が空なのです。
これを避けるには、MacBookに繋いだモバイルバッテリーを使い切らないよう、頃合いを自分で見てケーブルを抜き差しせねばなりません。これは面倒で意識を取られ、集中力を削がれます。
10000mAh程度では、帯に短したすきに長しといったような、中途半端に足りない状況になります。
Ankerなどまともなメーカーの無線対応モバイルバッテリーは10000mAhまでしかなく、容量が足りません。
2泊以上の旅行でなければ、コンセント充電器はなくて良い

ここまでを踏まえると、仮にMacBookを丸1回と、iPhoneを2回充電できるだけの容量のモバイルバッテリーがあれば、最初にどれだけ充電し忘れていても、少なくとも丸1日〜2日持つ計算になります。
つまり、それだけのモバイルバッテリーを携行するなら、ほとんどの場面で充電器は持ち歩く必要がなくなります。
確かに、モバイルバッテリーよりも充電器の方がずっと軽くコンパクトです。しかし、コンセントがなければ使えません。この単純な事実は決定的な価値の差を生みます。
モバイルバッテリーとコンセント充電器どちらが最適か

例えばあなたは大容量モバイルバッテリーを持っていて、他人は充電器を持っていると考えてみてください。
職場でノートPCを持ち寄り仕事するとき、充電が切れてきたらあなたはバッテリーに繋ぐだけですが、同僚はコンセントはどこ?などと騒ぎコンセントの近くまで移動して充電器を繋ぎ直します。
鉄道や自動車で音楽や映画を見た後充電する時、あなたはバッテリーに繋ぐだけですが同行者はコンセントのある席の人に頼んで、コンセントケーブルをぶらり垂らし充電器を挿してもらう必要があります。
カフェでドヤする時、あなたは一番好きな席を選ぶだけですが、他人はまず、コンセントのある席を探す必要があります。
地球上のおよそ90%以上の場所には、コンセントはありません。

どんな時も、あなたはMacBookを快適に使うことだけに集中でき、他人は電源のことを常に考え縛られていなければなりません。この差はあまりにも大きい。
いくらコンセント充電器がコンパクト軽量でスマートに見えても、取らされる行動はスマートとは程遠い状況になります。
バッテリーと充電器どちらがモバイルに良いか、一つに絞ってミニマル身軽になれる結論は出せます。コンセントから伸びてあなたを縛っていた、鈍い光の糸を、断ち切りましょう。
MacBookに最適なモバイルバッテリーの条件とは
少なくともモバイルには、充電器よりはバッテリーの方が良さそうだとして、ではどんなバッテリーが最適なのか。それは下記です。
- 「安全」USB PDに適合すること。できればAnkerかBelkin製であること
- 「最高速充電」20V 3Aの出力PDOを持つこと
- 「最適容量」21000mAh以上の容量があること
安全性を規格とAnkerブランドで担保する

高出力大容量のモバイルバッテリーは、粗悪であれば端末を壊しかねない危険性を孕んでいます。
しかしApple公式のモバイルバッテリーは存在しません。どうしても他社製の中から安全なものを探し当てる必要があります。
その場合、USB PDの公式規格に合致しているかどうかが一つの目安になります。
もう一つは、信頼のおけるブランドを選択することです。
信頼のおけるブランドとは、今回の場合はAnkerかBelkinです。Apple公式ストアで取扱のあるバッテリーブランドは現時点この2社だけだからです。
出力不足で充電できない事態を避ける
MacBook AirあるいはProを最高速充電するには、60W出力を 20V 3A のPDO出力規格で実現する機器が必要です。
逆に、出力が30Wにも満たないようなものだった場合、充電が非常に遅いか、もしくは充電できない事態となりますから、避けねばなりません。
PDOはマニアックなのでここでは割愛します。詳しく知りたい方は、下記をいずれご覧ください。
最適容量を体験と計算から導く
体験記の通り、自前で丸一日持つMacBookの性能をいかんなく発揮させ、それに付き合うには、充電し忘れをカバーするためにMacBookを1回分、iPhoneなどテザリング端末は2回分充電できる必要がありました。
MacBook満充電1回分に必要な容量はAirで13486、Proで15730mAhです。
歴代iPhoneのバッテリー容量はまちまちですが、概ね3000mAh前後です。ポケットWifiで行く場合も、幅はありますが大体3000mAhの製品が多いです。
よって、15000+3000×2=合計21000mAh程度以上の容量があれば一切の不安なく全ての電力ポテンシャルを発揮できます。

この容量近辺だと、市場には概ね20000、25600mAhの物が多いですが、ここでは上位互換として、あえて25600mAhのものを推奨します。
一見馬鹿みたいに大きいモバイルバッテリーを持ち歩くことで、電源の心配から解放されるだけでなく、たくさんのメリットがあります。
筆者はどちらかというとミニマリスト、ウルトラライト志向です。読者の方も多くはモバイル機器に軽さを求めがちではないかと思います。
しかし、ことモバイルバッテリーにおいては、ある程度容量が大きい方が合理的と考えます。充電頻度が下がるからです。単に手間が減るだけでなく寿命が延びます。
わずか数百グラムの差を攻め軽量化しても、電池が切れれば全てお荷物です。
電池残量をいっさい気にせず使用に集中できる環境がつくれるなら、数百グラムの負担を支払って自分の集中力を獲得できる計算になるので、重いバッテリーを選ぶことも割に合ってくることが多いと思います。
ちなみにPDOなど仕様を揃えると、20000mAh超の大型バッテリーは重量約500gで、コンパクト充電器は約150gです。
なお、25600mAhは飛行機に持ち込めるギリギリ最大のサイズでもあります。
騙されたと思って、大型バッテリーを試してみてほしい
筆者はこの答えに辿り着くまでにいろんなバッテリーや充電器を買い、持ち歩き、紆余曲折しましたが、最終的には大型のバッテリーが最適だとの結論に達しました。
キメラバッグにいつも詰めて、携行しています。もうそれだけで、外に持ち出す時電力のことを何も考えなくて良くなるのです。これは本当に素晴らしい自由な体験です。
筆者は今までずっと、いかに充電器を軽くコンパクトにするかばかり考えていました。
読者にもそういう志向の方は多いのではないかと思いますし、メディアも判で押したようにその方向性を推奨しています。

でもそれをすると、結局コンセントに縛られ続けることになります。その具体例は記事の体験記で記述しました。
もしもこの記事で選び出した唯一のモバイルバッテリーを選択したならば、最初はその大きさ重さに愕然とするでしょう。
でも、いっときの腹立ちを押さえ、耐えて、常にPCバッグに同梱してください。

遠くない未来、そのことがあなたを助け、腹の底から湧き上がるような嬉しい気持ちにさせてくれる時が、場面が、きっと来ます。
いつどんな時でも、どこへ居ても、電力の不安はもうないと、その時その意味に気づくと思います。
そうすればもう、数百グラムの重さの差など苦にもならなくなるでしょう。
このおすすめバッテリーは記事で扱った全ての条件に過不足なく合致する、現時点唯一つの選択です。
充電挙動も公式充電器とほぼ同様、前半50%まで高速充電後、段々と減速動作してMacBook本体のバッテリーを保護するよう速度制御された動きをしており、安心して使って頂けます。
モバイルバッテリーに最適なケーブルは
ケーブルはMacBook付属のUSB C to C ケーブルがそのまま最適です。他のケーブルで高速充電したい場合は MacBookとiPhone 他社ケーブルの選び方早見一覧表 をご覧ください。
研究メモ:その他の充電特性
Instant Hotspotの接続性が超絶快適
Instant Hotspotとは、iPhoneでのテザリングをスムーズに行うための通信補助機能です。通信周りの能力ですが、これがバッテリーの持続時間に直結します。
テザリングを体験したことがある人なら分かると思いますが、する方される方双方の電力を大幅に消費します。
ですから、テザリングの接続や解除→スリープへの移行がいかにスムーズであるかどうかが重要です。単に手間が楽になるだけでなく、2台の端末双方のバッテリー持続時間を大幅に伸ばす効果があります。

MacBook標準搭載のInstant Hotspot機能を使うと、テザリング手順はすごくシンプルになります。
iPhoneはいつも通りポケットや鞄に入れたまま、ただ単にMacBookを開けば画面にiPhoneが表示されるので、それを押せばiPhoneの回線を使ってインターネットに接続できます。
切断するときは、単にMacBookの画面をパタンと閉じればそれで切れ、iPhone側のテザリングも自動オフになります。互いが互いの端末をWiFiで探し続けるような、電力の無駄も手間もありません。
満充電は90分で終わる
MacBook Airの場合、電池残量5%に減らしてから、満充電までにかかる時間は最短で90分です。
これは特別な充電器かモバイルバッテリーを使って45W充電した場合の所要時間です。本体付属の30W充電器の場合は約110分かかります。
細かく充電制御の内訳を見ると、最初の30分だけ高速充電で一気に50%まで充電され、残りは60分かけてゆっくり充電されます。
高速充電と制御について、詳しくは下記をご覧ください。充電器とモバイルバッテリー共通の特性です。
充電しながらの使用でも電池劣化が軽減される

MacBookを使用しながら充電を進行していると、状況によっては時々、80%に達した時点で稲妻マークの充電アイコンが、コンセントマークの通電アイコンに切り替わります。

これは、MacBookの側で充電池の劣化を防ぐために、充電器やモバイルバッテリーからの電力を電池に送らず、直接使用している制御状態のとき出る表示です。
リチウムイオン充電池は残量が100%及び0%の時、最も早く劣化します。
長持ちさせたいと思うならば、0まで使い切ったり100%溜め込んで放置するような使い方を逆に避ける必要があります。
MacBookはそれを半自動的に避けられるよう制御誘導してくれます。
要するにあまり神経質にならずに、自然体で充電したい時にすればそれで劣化を抑えられるようになっています。
充電端子はUSB-C

MacBookの充電端子はUSB-Cなのです。こんな当たり前のことにあえて紙面を割いたのには理由があります。
iPhoneの充電端子はLightningなので、端子の形状が合いません。
これは、モバイルするとき余計な充電ケーブルをもう一本持ち歩かねばならないことを意味しています。
MacBookをモバイルバッテリー代わりにすると寿命が縮んで持続時間も落ちるので、あまり良い解決になりません。
一方AndroidスマホならUSB-Cで揃えられますが、Instant Hotspotがありません。有線テザリングは毎回手間なうえMacBook本体の電力を食って劣化を早めるので論外です。
この問題をクリアするには以下のケーブル特集記事をご覧ください。ケーブルを1本にまとめる方法と、現状それをすると何が犠牲になるのかを記述してあります。
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