メルカリなど通販では伝統的にすりかえ詐欺がありますが、一般人の個人売買において実際の遭遇確率はそう多くありません。この詐欺には、すり替えるのに偽物を事前に用意しておく必要があるからです。
普通のメルカリユーザーたる皆さんなら、そもそもそんな詐欺があること自体考え至らなかったのではないかと思います。
にも関わらず、この詐欺が頭をよぎる人、この記事を見て意味のある人とはどんな人でしょうか?それは、初めて高額品や希少品を売却しようとしている人です。
記事ではまず、よく他のサイトでもあるような、シリアルナンバーを控えるなど低コストで簡易的に対策する基本戦術とその限界を示します。その上で、問題に巻き込まれる確率を下げ、巻き込まれた時の損失を軽減しうる新しい対策法を紹介します。
本当に大切な高額品をできるだけ安全に売り抜けたい方は、事前に記事の内容を頭の片隅に入れておいてください。取引終了まで詐欺られはしないかと不安に陥る状況を軽減し、詐欺られた時落ち着いて行動できます。
すりかえ詐欺とは
すりかえ詐欺とは、例えばあなたがプレステを売却したとして、相手から「壊れてた!」とか難癖をつけられて、送った商品とは異なる、相手が最初から用意していた偽物や故障品を送り返される詐欺です。送り返さずに返金だけ求めてくる場合もありますが、それは拒否できます。
この詐欺は、素人も実行してきます。一つは今例に挙げたように、たまたま持ち物が壊れた悪質な一般人が詐欺に手を染めるケースです。それから、故障品や偽物をハードオフやメルカリで買ってすり替える常習者がいます。あとは、ブランドやトレカの偽造品をさばく本格詐欺業者です。
こんなことをされたら、防ぎようがないでしょうか?結論から言うとその通りで、この詐欺は防げません。が、遭遇確率を減らし損失を軽減しうる正しい対応方法というものはあります。
すりかえ詐欺は通販という販売システムの宿命的な欠陥であり、完全に防ぐ方法はありません。以下ではその理由を説明するので、まずその事実を把握してください。
すりかえ詐欺対策方法とその限界
個体識別番号は完全な対策にならないが、有効
家電の製造番号や、ブランドのタグには個体を識別できるよう、固有で唯一のシリアルナンバーが刻印されている場合があります。この場合は、単にその写真を撮って商品写真に加えることで、すりかえ対策をアピールすることができます。
しかし完全ではありません。例えばあなたがプレステのシリアルナンバーを写真に撮って売ったとして、詐欺師から「写真と違うナンバーのプレステが届いた!返品する!」と嘘を言われたらどうしますか。返品されて戻ってくる商品はもちろん、シリアルナンバーの違う故障品です
特徴的な傷や劣化部分の写真は完全な対策にならないが、非常に有効
商品についた傷の写真は本来、買い手に商品の劣化部分を前もって知らせるために撮るものですが、傷は固有の特徴なので、その写真がそのまますりかえ防止対策になります。
傷が多いほど商品の価値は下がり、売りにくくなりますが、偽造が難しくなります。すり替える偽物にいちいち同じ傷をつけていくのは、さぞ難儀で高度な手間でしょう。
ありったけ写真を撮れば詐欺師を退け、欠陥も含めて本物を見極め買おうとしている良い買い手を惹きつけられるので、高額品の売却時は特に気合を入れて欠陥部の撮影に取り組みましょう。非常に単純基本で効果的な手法です。
とはいえこの方法も完全ではありません。シリアルナンバー同様の方法で突破されてしまいます。「最初から写真の傷と違う偽物が送られてきた!返品する!」です。
レシートを商品写真に加えるが、送らない旨明記する
あなたが商品購入時のレシートを所持している場合は販売促進上も本物証明上も非常に有効なため、必ず商品写真に加えてください。プライバシーに関わる部分は隠してください。
この方法を採れる場合は、商品説明文に「すりかえ詐欺防止のため、写真のレシートは同封致しません。」と前もって記入し、原則として送らないようにしてください。
無論、この方法はすりかえ詐欺の直接的な対策にはなりません。しかし、あなたが本物を所持していた証明の一つになるため、詐欺に巻き込まれた後の処理で役に立ってきます。
なおこれらの写真による方法はいずれも、商品写真に初めから加えておくことが必須です。後出しでは水掛け論になってしまい、意味がありません。
高額希少品の売却には、本物証明が必須
シリアルナンバーやレシートによる本物証明は、高額希少品の売却においては必須です。持ち合わせがない場合は、出品してはいけません。
希少高額品メルカリ売却の実践 差し止め体験談と対処法 でお知らせしましたが、商品写真にそれが含まれていないと、事務局運営から商品を差し止められることがあります。
また、万一詐欺にあった場合、事前の本物証明ができていないと、事務局も誰も味方になってくれません。というか、なりようがないのです。正真正銘の泣き寝入りコースです。
すり替え詐欺に対策する新しい方法
以上見てきたように、およそ考えられるどんな方法を取っても、通販におけるすりかえ詐欺は完全には防げないことが、よく理解できたことと思います。この詐欺の対抗手段は、すべて同じ嘘で突破されてしまう。
プロテクションタグを使っても何しても、突破方法は皆同じで通過できてしまいます。「偽物が送られてきたから返品する!最初からタグが切れてた!」です。
ではどうすれば良いか。それは、オープンボイドを使って封印動画を撮ることです。
オープンボイドで封印する
オープンボイドとは、剥がすと接着面に「OPEN VOID(開封無効)」と文字の残る特殊なシールです。
商品を梱包する内袋にOPP透明小袋か高透明大袋を用い、口を閉じた部分に貼って封印します。開封すると文字が袋に残るので、中身だけすり替えられる詐欺を防げます。商品説明文には、例えば以下のように記述します。文章はできるだけ変えてください。
「すり替え詐欺防止のため、届いた商品の確認は透明内袋の上から、開封せず行ってください。透明内袋を開封後の返品はご遠慮ください。」
なおこの方法だと通電が必要な機器は買い手が開封前に動作確認できません。以下のような例文も必要になります。こちらも、なるべく文をアレンジして使ってください。
「すり替え詐欺防止のため、商品はこちらで動作確認した上で、透明内袋に封印した状態でお届けします。透明内袋を開封後の返品はご遠慮ください。」
透明内袋は何でも良いですが、貼る時手の脂などで汚れているとオープンボイドの文字が残らない場合があるので、最低1枚は捨てる袋で実験しておいてください。
オープンボイドには、初めからシリアルナンバーが刻印された製品が必要です。当サイトは誰でも閲覧できるので、オープンボイド自体に個体識別が入っていないと複製されてしまい意味がありません。
ナンバー入り製品が高価で数量が多すぎると感じる場合は、代替として格安の封印シールを貼り、サインを記入して次善策とできます。
封印動画を撮る
封印シールにサインして送っても、「最初から剥がれてた!返品する!」と嘘を言われればそれまでで、弱点はここでも同じです。
ですから、梱包時に確実に本物を封入し、封印した状態で発送する一連のさまを動画に納めておけば、その嘘は通らなくなります。現代ではまだ個人の動画偽造技術は進んでいないので、客観的な証拠としてかなり有効です。
手順はまず、あなたの顔が写らないよう作業風景を写せる位置にスマホを固定し、必要な梱包材料全てを画面内に配置します。スマホの固定には100均のアームなどが便利です。筆者は アーム付テーブル簡単自作DIY ソファ車ベッドどこでもPC食事OK で作ったアームを使っています。
動画撮影を開始したらまず、商品写真に加えたのと同じ固有のシリアルや傷を撮影します。機械類はここで動作確認し、正常動作することを証明します。
映しながらそのまま透明袋に入れ、ボイドシールで封印します。封印したら梱包箱に入れ、ガムテープ等で閉じ、テープと箱の境目にもボイドシールで封印します。
封印シールが配達中に剥がれそうだと感じる時は、OPP透明テープでそれぞれ上からさらに覆うと効果的です。このテープは 段ボール箱サイズダウン無料簡単調整と軽量化 メルカリ送料削減法 で紹介しましたが、軽量梱包にも役立てられます。
この一連の風景を、無編集で映しきっておきます。面倒に感じますが、梱包自体は普段からやる作業です。そこに、オープンボイド作業が加わるだけです。撮影時間に制限はないので、カメラは固定しておければ気兼ねなくやれます。いわば、セルフ保険です。
発送動画を撮る
購入者の側がやたら評価の悪い人間だとか、評価が少なすぎて怪しい場合には、全ての対抗策を念入りにとっておいた方が後悔が少なくなります。
先ほど封印した箱をポストやコンビニ、ヤマトで発送する風景も、極力動画に納めておきましょう。封印と箱全景を撮り、そのままポストやカウンターに預ける一連の様子です。配達には 2021新しいメルカリ最安送料一覧表 を使い、追跡と補償のつく方法を選択して下さい。
発送時の動画手順は以上です。
開封動画を忘れず撮る
次回記事で説明しますが、それでも返品を喰らった場合は、送り返されてきた商品を開ける一連の風景も同様に動画に収めておくことを忘れずにいてください。
意思表示しよう
記事では、メルカリや通販アプリですり替え詐欺を完全に防止する方法は存在しない現実、しかしそれでも、より高度な対抗策が誰でも使えることを紹介しました。
もちろん、こんな面倒な対抗策を全部の商品にやっていられませんし、その必要はありません。冒頭述べた通り、レアなトレカなど高額品、希少品を扱う時にこそ有用な手法です。
軽微なものはシリアルナンバー法やレシート法に大量の写真添付を併用するだけでも、他の平売りよりはるかにすり替え対策をアピールできるので、狙われにくくなります。そこへ、扱う商品の価値に応じてオープンボイドと封印動画を併用すると良いでしょう。
ところで読者の中には、記事を読んでみて、本当にここまで対策が必要なのか、やりすぎに感じた人もいるかもしれません。こんな事ごときに騒ぐくらいなら、多少チョロまかされたって大目に見てあげてもいいのでは?と。
無論全部に詐欺対策する必要はありませんし、使い分けが必要です。しかし強力な対抗策を持ち、隙が無いと見せる意思表示は誰にも必要です。なぜかというと。。
それが売り手であるあなたの利益になるばかりでなく、他でもない買い手や、周り全ての人間にとっても潜在的に利益になるからです。
筆者はかつて貧しい外国で働いていた時期がありますが、その国では盗みが日常茶飯事でした。
明日生きるにも苦労している貧しい人、盗まなければ食べられない人ならば、盗むのも無理からぬことで、笑顔を交わす同僚でも盗んできます。悪いと分かっていても簡単に開き直れる論理が向こうにはあります。
メルカリはそういう人間でいっぱいだというわけではありません。私たちは初めから豊かな国に生まれてきたので気づきませんが、しかし、あなたがあなたの品物を盗み易い状態にしておくことで、隣人を悪人に変えてしまう可能性があるということです。
少なくとも、壊れた商品や、騙されて買った偽物を手に落ち込んだ普通の人を、すり替えの道に来ないよう押し戻す必要があります。それには私たちが隙を見せない態度と意思を示し、より良い取引の環境を作り上げていく必要があります。
お知らせ
動画始めました。内容がマニアックすぎるので、奇跡的に興味と一致した人は字幕ONでご覧ください。
読者コメント