「部屋自体に染み付いたような臭いを消したい」
「家に染み付いた臭いの原因は?臭いの元を消したい」
こんな悩みに解決法をご提供します。
こういう臭いは、住んでいる本人は気づかないけれど訪れたお客さんには気づかれたりします。逆に友人の家や古い賃貸を訪れると独特のにおいが気になったりした経験のある方もいるでしょう。
放っておくと洋服や鞄など持ち出すものにも家の臭いが染み付いてしまいます。自分だけならいいけれど他人の気に障っていないか、気になってしまうこともあるでしょう。
この記事では、清掃と換気を行っているにもかかわらず残る家の臭いについて
- 家にどことなく染み付いた臭いの原因が何か知る
- 臭いの原因自体を簡単に始末する方法
といった内容をご提供します。
これは芳香剤や消臭剤などを使用せず、臭いの原因を断って完全無臭を目指す方法を紹介するものです。
特に日々清掃しているのに家全体の臭いが取れず悩まれている方の一助とすべく、建物の臭い対策について業務を通しつぶさに見てきた設計士の筆者の経験に基づき書きました。
日々の清掃負担を増やさず、今までのやり方をちょっと変更するだけでできる方法に厳選して記述しています。ご参考ください。
なお、清掃でなく換気と脱臭によって臭い対策する方法については、ホテル客室清掃に学ぶ、お部屋の消臭最終手段 をご覧ください。併用すれば鬼に金棒です。
原因のわからない部屋の臭いの元は何か
日々清掃換気しても取れない、原因のわからない部屋の臭いというものはあります。
これは壁や床、特に床に染み付いた油脂汚れと、そこに住み着く細菌やカビから発生してきているのが原因です。
油脂汚れも細菌も、掃き掃除や水拭きでは取れませんから、毎日普通に掃除していても少しずつ溜まって増えていきます。
一人暮らしの部屋が特に独特の臭いになりやすい理由
油脂汚れは、日々の料理や食事によって空気中を伝って壁や床にたまります。そのうえ人体そのものからも日々放出されています。
これらが長年の間に少しずつ溜まり、やがて細菌が増えその家に独特の臭いとなって定着します。
家庭であれば常に複数人が出入りしますから、各部屋の臭いに気づくこともできますが、一人暮らしだと気づくのが難しく独特の臭いになりやすいです。
いずれにしても家ごとに独特の臭いが異なる理由も、要は住んでいた人自身の生活の違いから来ていることが多いです。
家に染み付いた独特の臭いの大元は、あなた或いは過去の入居者自身の生活ですとはなかなか誰も言えませんが。。
こうなるといくら普通の掃除や換気を頑張っても、部屋を閉め切って一晩もすれば元の臭いがこもってしまいます。
とはいえ生活を変える必要はありません。生活で出る臭いの原因、油脂と細菌が家に染み付かないようにだけすればよいのです。
そのためには家に溜まった細菌を除菌し、細菌繁殖の元となる油脂汚れを取り除くことに集中する必要があります。
脱脂と除菌に最適化した掃除で臭いの元を断つ
油脂と細菌を除去するには、薬品と高熱が有効です。通常の水拭きや洗剤は、油落としには効かないうえにかえって細菌に水分と栄養を与え、増殖を助けてしまいます。
したがって脱脂と除菌には、普段の拭き掃除をアルコールと高熱蒸気に置き換えるのが、手間を増やさず簡単にやるコツとなります。
アルコールと高温蒸気にはどちらにも油を溶かす性質、除菌する特性、そして空拭きしなくてもすぐに気化して水分が残らないので掃除後に細菌が増殖しにくい特徴があります。
最近はアルコール製剤が品薄のため、パストリーゼの代用品も成分解説を交えていくつか記事末尾でご紹介しています。ご利用ください。
食品用アルコールに、強化ペーパータオルを使うと除菌が完成する
アルコール除菌道具は数ありますが、なかでも食品用アルコールスプレーは食品工場などプロの現場でも使用されており家庭でも定番化しつつあります。
食品に直接吹きかけても安全なことが最大の特徴で、このため家庭の食卓やキッチンでの清掃に安心して使えます。
しかし食品用アルコールスプレーを吹きかけても、拭き取るときに台ふきんやマイクロファイバータオル、スポンジ等を使用してしまうと意味がありません。ふきん類は汚れや水分が染み込んで細菌の温床となりやすく、ふきん自体が不衛生になりやすいため逆効果です。
除菌のための拭き掃除に最も適した素材は、使い捨ての素材です。
強化ペーパータオルなら酷使して使い捨てができる
拭き取りに使い捨てのものが良いと思っても、実際やると分かりますがティッシュやペーパータオルでは、拭き取るとき崩れてしまって大変使いづらく、掃除が面倒になってしまいます。
結局使い捨ての消費量が増えてしまい、ゴミを増やして不経済な結果となってしまうでしょう。
アルコールスプレー、パストリーゼにはその効果を最大にする相棒として、数回使える使い捨て品である、強化ペーパータオルが欠かせません。
商品名は「洗って使える」とありますが、あくまでペーパータオルなのでわざわざ洗って再使用するほどのものではありません。それではかえって不衛生で、見映えもあまりしないでしょう。
最適な使い方は、除菌のために連続酷使してすぐ捨てる方法をパターン化することです。
細菌は水分を好みますから、まず最初は食器洗い後のお皿についた水分をすぐに強化ペーパータオルで拭き取ります。野菜の水切りにも使えます。
普段食洗機を使う人は、60度お湯洗いなので乾燥機能を使わなくても洗浄後フタを開けて放っておけばそのまま乾きますから、最初の手順は不要です。
そのすぐあと、同じペーパーを使ってアルコールスプレーを吹き、食卓やテーブル、冷蔵庫の取っ手、スマホなど軽い汚れを拭き取ります。
最後に同じペーパーにもう一度アルコールスプレーを吹いてシンク周りやトイレなどを拭き取り、即捨てます。クイックルワイパー等に付けて床掃除に使うこともできます。
こうすると毎回、皿洗いのたびにそれをきっかけとして、こまめに高効率な除菌ができるようになります。
このような連続使用の酷使にも耐えられ、気軽に捨てられるのが強化ペーパータオルの最大のメリットです。
ただし手肌がアルコールに弱いかたや、水仕事などで手に傷のある方は、アルコールが手につくととても痛い思いをします。
このような場合も衛生的な使い捨て品が最適です。アルコール清掃だけでなく日々の水仕事にも使い捨て手袋をお試しください。100均にあります。
一般に、使い捨て手袋はつけ外しの時くっついて面倒なイメージがあると思いますが、最近の製品は内側にエンボス(凸凹)加工のついているものがあり、濡れた手でもさらりと手袋をはめられるようになっています。
よく探すと100均にも内側エンボスの使い捨て手袋は見つかりますから、多少割高でもエンボスを選択するようにしましょう。価格差を凌駕するメリットがあります。
大面積の床には蒸気を使う掃除で脱脂除菌する
パストリーゼと強化ペーパータオルがあれば、あなたの普段の拭き掃除に本物の除菌力を付与して効率を高めることができます。
しかし、床や畳のような広い面積を手作業で拭き取っていくのは難儀で続きません。
このような大面積に対応するには、アルコールでなく脱脂、除菌のもう一つの有効手段、高温蒸気を使った方が効率が良いです。とはいえアイロンのスチームを部屋中にまき散らすわけにいきません。
これにはスチームモップを使います。クイックルワイパーのような機材の先端から、アイロンスチームのような高温蒸気が出て床を除菌するという、イギリス生まれの床清掃用の道具です。
2021.11月、スチームモップの新型 S5 が出たため、リンク先を変更しました。記事で扱っている筆者所持の旧モデルと外観が異なりますが、タンク容量が220→450mlと約2倍になっており上位互換です。
スチームモップのメリットとデメリット
スチームモップを使えばフローリングや畳(畳や繊維にも使えます)に長年溜まって染み付いた油汚れ、タバコ油脂、カビや細菌を一掃できます。
ふだんこまめにクイックルワイパー等で拭き掃除をしているなら、そのままスチームモップに置き換えると脱脂除菌清掃が労力を増やさずできます。
畳にスチームモップをかけると、畳が驚くほどサラサラになります。すごく気持ち良いので、持っている人はぜひ試しましょう。畳はあまり水や洗剤で拭けないのですが、この道具なら溜まってしまった表面のベトベト油を効果的に除去でき、残留の心配がありません。
高温ですぐ気化するので、空拭きが必要なく手間が増えません。
カーペットやシーツなど薄手の繊維にも使えますが、繊維の耐熱温度が140℃以上あるか確認してください。アイロン高温~中温OK表示のある繊維であれば大丈夫です。
このようにフローリングを始めとした大面積の水拭き掃除の労力から解放されるうえ、強力に除菌ができて油も落とせるのが最大のメリットです。
スチームモップは水しか使わないので残留がなく、洗剤や薬品、劇物を一切必要としないので、抵抗力が弱く床面近くで過ごすことの多い、小動物や乳幼児のいる家庭では、安全で有効な除菌清掃方法として有用です
一方デメリットは、高温蒸気に頼るため熱と水に弱い物には使えないことです。
レビューをみると布団のような厚手の繊維に使っている猛者もいるようですが、実際ちょっとやってみると水が染みてしまって気化せず逆効果でした。
せいぜい表面をさっとなでるくらいが限界です。布団は素直に洗って干しましょう。ソファやカーペット、自動車の座席シートなど、洗えないけど水が染みてしまうものにはリンサーを使用するのが適切です。
また、アイロン低温表示のある繊維には、原則使用できません。
スチームモップに強化ペーパータオルを使うと除菌脱脂が衛生的に完結する
公式だとスチームモップの先端には雑巾のようなマイクロファイバータオルをつけて使用することになっています。しかし雑巾はいくら洗っても細菌の温床になりやすく、手間で不衛生です。
もうお気づきと思いますが、強化ペーパータオルをスチームモップにも使用することができます。普通のペーパータオルと異なり強度があるので、高温蒸気に1回耐え、そのまま使い捨てられて極めて衛生的経済的に掃除が終わります。
標準の雑巾を外さずにつけたまま、強化ペーパータオルを外側にテープで付けるとうまくいきます。筆者の写真では強化ペーパータオル活用に気づくのが遅く雑巾が汚れてしまっていますが、これから買う人は最初から強化ペーパータオルを併用してやると極めて衛生的にやれます。
ふだんの掃除に脱脂除菌力を付与してにおいを元から断とう
部屋に染み付いた謎のにおいの原因は、全体にこびりついた油脂と細菌です。しかしそのために特別な掃除をやる暇も気力もなかなか沸いてはこないでしょう。
記事では消臭のための労力を増やす代わりに、道具を置き換えて普段の清掃に除菌脱脂力を付与する解決方法をご提案しました。
ところで自動車の車内や狭いトイレなど脱脂除菌しにくい場所の消臭はどうしたらよいでしょうか?このような場合は ホテル客室清掃に学ぶ、お部屋の消臭最終手段 をご参照ください。
もちろん今回扱ったような原因不明の家の臭い対策にも使えます。ただしあくまでも基本は、この記事にあるような清掃を行って脱脂除菌することが先決です。
そのうえでリンク先の記事にある最終手段を使えば、清潔で無臭の空間に最終的にたどり着くことも可能になるでしょう。
食品用アルコールスプレーの代表格、パストリーゼはすっかり品薄になってしまいました。主たる組成はアルコールの一種であるエタノール70%(度数77)と水30%にカテキン(抗菌成分)です。
代用品として容器がおしゃれでホテルユースの多いジェームズマーティン(JM)も組成とともにご紹介しておきます。こちらはエタノール58%(度数65)と水42%で、抗菌成分は明示されていませんが食品への直接使用も公式に推奨された安全な物です。
JMはパストリーゼに比べパッケージが目立たないので、たまにスーパーで安く残っていたりしますから、こういう代用品もあるのだと認知しておくと得する場面があります。
あとは単に、70%のエタノールと30%の水で組成されたアルコールスプレーを探してきて使うのでも代用になりますが、供給会社が怪しく買いづらい状況にあります。品質に問題ないか口コミ数の多いものから、見極めて選び取る必要があります。
なお100%の無水エタノールを水で希釈して自作することもできますが、精製水でないと鮮度管理のため都度調合(作りだめできない)する必要があり面倒ではあります。
また、ニトリでよく見るA2Careとスーパーでよくある花王のクイックルジョアン、ファブリーズは基材が水のため乾きが遅く、手軽な除菌には今一歩です。二度手間ですが念入り即座に強化ペーパータオルで空拭きするようにすれば衛生的に使えるので、手持ちがあるなら流用しても良いでしょう。
2021.11月、スチームモップの新型ブラックモデルが出たため、上記に掲載します。記事写真で扱っている筆者所持の下記、旧ホワイトモデルと外観が異なりますが、ブラックはタンク容量が220→450mlと約2倍になっており上位互換です。
筆者は自宅の2DKを、廊下や畳の部屋、トイレまで含め全体床清掃を一気にスチームモップでやりますが、旧モデル(容量220ml)だと途中1回給水が必要になり、全体をやり切る頃に丁度2回分全量を使い切ります。容量と使用範囲の参考にしてください。
新ブラックと旧ホワイトでの仕様比較は以下の通り
ブラック S5 | ホワイト S3101 | |
タンク容量 | 450ml | 220ml |
連続使用時間 | 約20分 | 約12〜17分 |
サイズ | 約1200(高さ) x 267(横幅) x 130(奥行き)mm | 約1200x 285x143mm |
重量 | 約1.8kg | 約1.8kg |
電源コード長 | 約5m | 約5m |
吐出圧力 | 約1.5 ~ 2bar(150 ~ 200kPa) | 約1.5 ~ 2bar |
吐出水量 | 83ミリリットル/分 | 83ミリリットル/分 |
最大噴射圧力 | 約1.5 ~ 2bar | 約1.5 ~ 2bar |
スチーム温度 | 内部で140℃ | 内部で140℃ |
噴射待機時間 | 約20秒 | 約20秒 |
途中給水 | 可 | 可 |
なおスチームモップはAmazonでたまにクーポンやブラックフライデーなどセールをやっているので得に入手できることがあります。
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