MacBookとiPhone 他社ケーブルの選び方早見一覧表 では、MacやiPhone等を充電するケーブルの充電データ通信規格を整理し、それぞれに最適なケーブルが何なのか案内しました。
しかし各端末ごとに最適なケーブルが異なるからといって、それぞれにベストなケーブルを揃えていたのでは時間も金もかかるし、かさばります。
この記事ではまず、あなたのiPhone、iPad、Macbook全ての最高速充電・最高速データ転送の潜在能力を完全に発揮できて、しかもケーブル1本で済む最高峰の方法を紹介します。
記事の後半では、読者それぞれの端末レベルに合わせて合理的にコストダウンする方法について案内しています。
興味のある方はそちらまで読み進めていただければ、長年のケーブルにまつわる悩みや迷いは一掃され、すっきりした最高速の環境が手に入るものと思います。ご覧ください。
MagSafeによる方法はデータ転送できないため、この記事では対応しません。あらかじめご了承ください。
iPhone、iPad、Macbookの各最高速ケーブルを一本化する方法
Thunderbolt4に対応する100ワットCtoCケーブル に、480Mbpsデータ転送と20ワットに対応するCtoLのストラップ付きアダプタ を取り付けて作ります。これで、以下のメリットを獲得できます。
- 2023年現在最高峰モデルである14,16インチMacBookProの端子:Thunderbolt4、USB4のデータ転送速度 40Gbps および 96W※ の充電出力まで対応できる。
- 2023年現在最高峰モデルであるiPhone14の端子:Lightning、USB2.0のデータ転送速度 480Mbps および 20W の充電出力まで対応できる。
※16インチMacbookに限り、MagSafeを用いると140W充電が可能になりますが、MagSafeはデータ転送できない=持ち歩くケーブルを一本化できないので記事では対応しません。
代償に、以下のデメリットを理解し受け入れる必要があります。
- アダプタはMFi認証がない(認証を有するCtoLアダプタは存在しない)
- アダプタはOTGに対応しない(OTGと20W充電を有するCtoLアダプタは存在しない)
MFi認証とは、Apple公式が認めたLightning端子に関する認証のことです。非公式の製品にはそれがありません。
MFi認証があれば品質保証は確実ですが、変換アダプタの選択肢が非常に乏しくなります。CtoLのケーブルは沢山ありますが、アダプタはありません。
具体的には、USB-CをLightningに変換(CtoL)できるMFi認証つきの単独アダプタは、規格が生まれた最初の日から今日までずっと存在しません。
MFi認証がないことの最大のデメリットは、iOSのバージョンアップの時にAppleに狙われると使用不能になるという口コミ情報が多数あることです。
具体的に使用不能前後を実験で証明した人はいませんが、ニンテンドースイッチの充電器などでも似たような対応が実在したので、技術的には可能でありうる話だと思います。
品質に関しては、Ankerなど定評あるメーカーの製品を用いるか、ちゃんと最近で実用している人物による使用実績のあるものを用いることで代替できます。今回だと、筆者が使っています。
もう一つのデメリットは、OTGに対応しないことです。具体的には、データ通信時はどちらか片方はMacやWindowsなどのパソコンでなくてはなりません。
例えばデジカメで撮った写真をiPhoneに取り込みたいなら、いったんMacなどにコピーしてから、そのMacからiPhoneに送る必要が生じます。
iPhoneで撮った写真をMacやWindowsに送ったり受け取るときは、相手がPCなので、問題なく送受信できます。とはいえ現実的にはAirDropがあるので、あまり使う場面がありません。
OTGに対応するCtoLアダプタもいくつか存在しますが、給電能力が5〜10W程度と低すぎて充電の足を引っ張ります。
ケーブルのMFiは?
今回使用するケーブルの方は端子が両側USB-Cであり、Ligntning端子が存在しないので、はじめからMFi認証も存在しません。MFiは事実上Lightning端子専用の認証です。
なのでケーブルはUSBの規格に合致する、Anker等優良メーカーの製品を用いていれば問題ありません。
マルチケーブル等ではダメなのか
この記事の方法でなくとも、他のマルチケーブル等で必要な能力が足りていれば、もちろんそれで十分です。以下の比較表を使い、求める性能があるかご検討ください。
給電 | データ転送 | Thunderbolt4 | MFi | ケーブルブランド | |
この記事の方法 | 100W | 40Gbps | ○ | × | Anker |
マルチケーブルA | 15W | 0.48Gbps | × | ○ | Anker |
マルチケーブルC | 60W | 0.48Gbps | × | × | ノーブランド |
スプリットケーブル | 15W | 不可 | × | × | ノーブランド |
マルチヘッドケーブル | 60W | 0.48Gbps | × | ○ | サンワサプライ |
マルチケーブル類は、主に充電に特化しており、データ転送は苦手としていることが分かると思います。転送を割り切れるなら、マルチケーブルも比較検討してみると良いでしょう。
マルチケーブル A端子
先っちょに変換アダプタが最初から括り付けられているマルチケーブルは、Ankerの出しているものならMFi認証も備えています。ただし他方の端子はUSB-A(2.0)、もう一方もMicroBとなり、充電出力は最大5V3Aの15W、データ転送速度は480Mbpsとなります。
能力的に、iPhoneや古いAndroidには足りますが、Macやパソコンには不足する場面が多くなるでしょう。しかし遅いなりに認証つきで幅広く使えるメリットはあります。自動車内など応急的な場面では有用で、筆者も車内に一本備えています。
マルチケーブル C端子
メインが両方CtoCのマルチケーブルも他社に存在しますが、その充電能力は最大60Wと強力なものの、データ転送能力は多くが480Mbpsです。メーカーも謎なものが多く、もちろんMFiもありません。
能力としては中途半端な立ち位置で、せっかくのUSB-C端子なのにパソコンとつなぐには遅いデータ転送に難があります。
スプリットケーブル
最初から先端が分かれているスプリットケーブルはアダプタ付け替えの手間がなく一見良さげに見えますが、充電のみでデータ転送に対応しない、などと小さく注記があります。こちらも謎メーカーでMFi無しです。
マルチヘッドケーブル
先端の端子が分かれているマルチヘッドケーブルは非常に特殊ですが、MFi認証は取得しています。
しかし充電能力は60Wありますが、データ通信速度は480Mbpsにとどまります。
コストダウンする方法
この記事が推奨する、ケーブルにアダプタをじぶんで取り付ける方法を選択すると、ケーブルのコストが約4,400円、アダプタのコストが約1,300円です。安くはありません。
シリコンバンド付きの高性能アダプタは他に代替製品が市場にまだ存在しないので、コストダウンするならケーブルです。
性能を損ねずコストを下げる方法
あなたの持っているiPadやMacBookの端末グレードによっては、Thunderbolt4に対応していないことがありますから、その場合はもっとデータ転送速度の低い、安いケーブルを選択して問題ありません。
給電能力に関しても同じことが言えますが、給電能力は充電時間に直結するので捨てない方が良いです。
対象端末 | 最適端子 | 適合ケーブルW | PD転送速度規格 |
全iPhone | C to L MFi | 20W ※1 | USB2.0 |
各種MacBook 2016〜 ※下記3機種除く | C to C | 60W ※2 | USB2.0 USB3.1Gen1 USB3.1Gen2 Thunderbolt3 |
15インチMacBookPro 2016〜2022 16インチMacBookPro 2019〜2022 | C to C e-Marker | 100W ※3 | USB3.1Gen2 Thunderbolt3 |
14、16インチMacBookPro 2023〜 | C to C e-Marker | 100W ※4 | Thunderbolt4 |
具体的には上記の一覧表から機種にジャストフィットしたものを選べば、オーバースペックを解消してコストダウンできます。表の内容や注釈について詳しくは MacBookとiPhone 最高速充電転送ケーブル一覧表 を参照ください。ここでは割愛します。
例えば筆者の所持しているMacBookAirM1の場合、45Wで、Thunderbolt3ですから、ケーブルのコストは約3,700円まで支障なく落とせます。コストは時価なので、リンク先でご覧ください。
性能を妥協してコストを下げる目安
さらに性能を落とせば落とすほどコストが下がるのは当たり前ですが、どこまで落として良いのかの目安は誰もが知っておきたい事と思います。
転送速度 | 映像転送目安 | |
USB2.0 | 0.48Gbps | ー |
USB3.1Gen1 | 5Gpbs | HD30Hz |
USB3.1Gen2 | 10Gbps | FHD60Hz 4K30Hz |
Thunderbolt3 | 40Gbps | 4-6K60Hz |
Thunderbolt4-USB4 | 40Gbps | 8K60Hz |
目安としては、転送速度10Gbps以上、充電は60W以上を確保しておくことをお勧めします。
転送速度10Gbpsあると、将来ケーブルの先にCtoHDMIアダプタなどをつけてテレビに繋げたりしても、45インチ程度のテレビでみる分には十分な、FHD画質でスムーズに映像を伝送できます。
要するにYouTubeとかAmazonPrimeVideoをMacからテレビに問題なく伝送できます。
それ以上の4Kないし8K画質で動画を伝送したい人は40Gbpsクラスを選択する必要がありますから気をつけてください。
給電能力に関しては、60Wあればほとんどの普及帯のタブレットやノートパソコンの急速充電をカバーできますが、きちんと調べてから出来るだけフルに端末の急速充電を発揮できるものを選びましょう。Macの人は前記の一覧表に整理してありますから参考にしてください。
製品にワットW数が書いてなくて困ったときは、電圧Vと電流Aの併記された値を探し出して掛け算してください。例えば20V3Aとあれば、60Wです。
それでもケーブル2本持ちを避ける理由
この記事の方法を使ってMFi非認証のリスクを受け入れてでもケーブル2本持ちを避けるメリットは多大なものです。
例えば2本持ちする案として、メインのCtoCロングケーブルと、サブにCtoLで20cm以下のショートケーブルを持つようにすれば、すべてMFi認証を獲得できますし、ショートケーブルならそこまでかさばりません。
しかし、ケーブルがショートだと実際は苦労します。充電しながら使用せざるを得ない場面に遭遇したとき、ケーブルが短いと苦労するというのは想像に難くありません。
そして、こうした充電しながらの端末使用は、うっかりの充電し忘れや端末の劣化、あるいは長時間の仕事など外的な事情によっていずれ避けられないものです。
こんなときメインのロングケーブルの先っちょに変換アダプタをつける方法なら、何の支障もありません。至極スマート合理的に処理されます。どっちがどっちのケーブルだったか迷うことも絡むこともありません。
持ち歩くケーブルは一本化できます。最高の性能と便利な長さを維持したままで。絶対に1本だけあれば過不足なく足りると分かっていれば、もう出かける時どのケーブルをどうするかとか迷うことも探すこともありません。いま割り切って整理してしまいましょう。
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