夏の夜にエアコンを使わず窓を開けて寝たい。だけど殺虫剤やベープ・蚊取り線香などの化学薬剤はなるべく使用したくないとお思いの方はいませんか。
この記事では薬剤不要の蚊虫対策3種を紹介し、筆者が実際に購入使用した所感を添えて、読者の判断の手掛かりとなる情報を簡潔にご提供できればと思います。
また、後半では特に蚊帳の現代版である折りたたみワンタッチポップアップ蚊帳について製品ごとの違いやベストの選び方、たたみ方のコツをご紹介しています。
蚊に対する素直なほどにシンプルな解決策として、古来の蚊帳を現代的に蘇らせたこの製品にもいちど目をやってみてください。最低限の期待には十分応えてくれます。
薬剤不使用の蚊対策3種比較
2020.6現在、筆者は築40年以上のレトロな建物に7年間居住しており、虫とはうまく付き合って生活していかなければならない立場にあります。
このため今までに蚊とG対策でありとあらゆる手を使ってきました。
一時しのぎでなく長年にわたり虫対策をしなければならない環境下では、殺虫剤や線香など化学薬剤系は人体への影響が気になります。
そこで記事では、薬剤を使わずに蚊に悩まされない生活を実現する方法を探すべく、筆者自身で3種の機材を購入使用した結果をまとめました。
ハーブランタン・ハッカ油
ハーブランタンとは、虫が嫌がるハーブの成分が含まれたオイルを灯すランタンで、点灯するとハーブ独特の香りがします。
見た目も美しく、ベープや線香などあからさまな虫よけにくらべて悪目立ちしないメリットがあります。
しかし効果はあまり強くありません。寝室のデスクに置いて点灯し窓を開け一晩過ごしたところ、普通に蚊に刺されました。
窓辺に置けばある程度侵入を防げるかもしれませんが、部屋の空間全体をガードするには至らないようです。
また、似たようなハーブ系ではハッカ油というミントのハーブスプレーもあります。これは自分の肌の露出部に直接吹きかけて使います。
こちらも効果はあまり強くなく、使用して一晩寝ると普通に蚊に刺されます。
同室にハッカ油を使用していない人がいれば、その人よりは蚊が寄り付きにくくなるという程度の効果は有ります。
どちらも天然素材で爽やかな香りと冷涼感があるので、化学成分系の蚊取り線香に代わる新しい夏の風情として組み合わせ、楽しんでみてもいいかもしれません。
ハッカ油はお風呂に入れたりアロマディフューザーや加湿器に投入するといった使い方もできるので、多目的に使える面白さがあります。
殺虫灯
殺虫灯とは、青い紫外線で蚊を含む羽虫を誘引し、高圧電流で殺虫する機械です。
ガードがついているので安全性は確保されていますが、手指の小さな子供や動物のいる環境下では手の届かない場所に置いておくのが賢明です。
昔よくコンビニの店先にぶら下がっていた機械と仕組みは同じなので、イメージしやすい方もいるかもしれません。あれを家庭用に小さく安全にしたものが市販されています。
殺虫効果はかなりあり、取れるときは筆者宅の一晩で4匹取れたことがあります。コンビニの物より電圧が低いので、バチバチ音はほぼしません。
ただ殺虫力は高いものの誘引力が人体に劣るため、一度部屋の奥まで蚊に入られてしまうと殺虫灯でなく自分の方に蚊が来てしまうという弱点があります。
蚊は紫外線のみならず人体の熱や化学成分に誘引される性質があり、紫外線のみの殺虫灯では誘引力がどうしても人体に劣ります。
広い部屋で窓辺に設置し、自分は奥で眠るなどうまく環境づくりをできる場合は十分な能力がありますが、せまいワンルームなどでは安眠目的の機材としてはまだ能力が不足する場面があります。
蚊帳
蚊帳ではもちろん蚊を始末することはできません。しかし風通し良く快適な睡眠を得る目的では必ずしも殺虫する必要はないので、十分検討に値します。
実際効果は抜群で、これさえあれば快適な睡眠環境を構築することはできます。
安眠目的に限れば、薬剤不要の蚊対策としてはベストの解決法になると筆者は実感しています。古臭いと一蹴する前に検討する価値はあります。
問題は設置手間ですが、今はワンタッチで設置折りたたみできるポップアップ蚊帳があるのでだいぶ楽です。
ポップアップ蚊帳とは、よく大きな公園などで見かけるワンタッチテントの蚊帳版で、1〜2人用のサイズバリエーションがあり廉価です。
探すと色や大きさ以外はどれも同じように見える折りたたみ蚊帳ですが、使ってみて初めて分かる大事な選び方のポイント、たたみ方のコツがあるので以下の記事で解説します。
ワンタッチ 折りたたみ ポップアップ 蚊帳 底付き・底なしと大きさおすすめ
底付きと底なしどちらが良いのか メリットデメリット比較
ポップアップ蚊帳には床もちゃんと全面網になっている底付きタイプと、床が無い底なしタイプがあります。
底付きの方が蚊の侵入をガッチリガードできる、底なしなど蚊よけの目的から考えたら意味不明だと思いがちですが、実際運用してみると底なしタイプの方が断然便利に感じる場面が大変多くあります。
底なしだと、設置するときいつも通り布団をしいた上に蚊帳をポンと置くだけで済むので物凄く楽というメリットがあります。
置くだけだと当然、枕や布団の上に載った状態になりますが、底がないので寝るとき中に入って枕や布団を引っ張り出せばそれで済みます。
いっぽう底付きだと、こういう使い方はできません。設置後に毎回中腰で掛け布団を搬出入しなければならないデメリットがあり、これが極めて面倒です。
また、底なしなら子供など家族が蚊帳の設置前に布団で寝てしまった場合、起こさずにそのまま上からスポッと蚊帳をかぶせてやればそれで蚊から守ってあげられるというメリットもあります。
チャック付きのドアを開けるのが面倒な時に下からくぐってどの方角にも出入りできるのも、地味に便利な場面が多くあります。
底付きは、アリやムカデ、Gなど蚊や羽虫以外にも悩まされている場合は有効な選択肢になってきますが、そうでないならなるべく利便性からいって底なしを推奨します。
底なしタイプも蚊に侵入されにくいよう返しがついていて工夫されており、設置後にこの返しの上に掛布団が載ってくることで隙間はふさがります。
今のところ筆者の使用環境では、床なしのタイプでも蚊やその他の害虫に侵入されたことはありません。
底なしタイプが手に入らない場合
底なしの方が圧倒的に便利なのですが、底付きより縫製部が多く製造コストがかかって割高なうえ、一般の人は底有りの方がお得だと考えて底なしをあまり買わないので、最近は入手困難になってきました。
まれにあっても、サイズが小さかったり1ドアだったりします。2人用で1ドアは不便なので避けた方が良いです。
ベターな解決策としては、サイズの合う2ドアタイプの既製品から、できるだけ安いものを選び、底網を対角に沿って十字にカットすると良いです。
4つのカット端部は角から30~40㎝程度残し、裂けないようリペアシートを折り挟むように貼っておきます。何㎝程度残してカットするのが適正か、使用しながら確認してカットすると失敗なく済みます。
サイズの選び方 大判やベビー用など豊富なバリエーション
サイズバリエーションはおおむね下記のとおりです。
対象人数 | サイズ概略 | 高さ概略 |
赤ちゃん用 | 85×115㎝ | 85㎝ |
1人アウトドア用 | 85×220㎝ | 80㎝ |
1人用 | 150×200㎝ | 145㎝ |
2人用 | 180×200㎝ | 145㎝ |
2人用大判 | 240×220㎝ | 175㎝ |
赤ちゃん用の場合、ベビーベッドのサイズに合うかどうかが最重要点です。たためる底なしタイプは存在しないので、必要に応じてさきほどの方法でカットし、DIYしましょう。
1人アウトドア用は高額ですが屋外使用可能な強度があり、キャンプなどでも使えます。アウトドアでは地虫もいっぱいいるので、強度のある底付きが必須です。
通常の1人用は、幅150㎝と余裕があります。なお、通常のシングルベッドないしふとんの1人用サイズは一般に100×200㎝です。
1ドアタイプと2ドアタイプがありますが、1人で使うなら1ドアでも支障ありません。
通常の安い2人用は、幅180㎝と少し小さめです。2組の布団を完全にカバーすることはできません。ベッドならダブル、クイーン、キングサイズまでで、ツインないしワイドキングだとこぼれます。
しかし筆者はこのサイズを2名、ふとんで使用していますが、不便な狭さを感じたことはありません。記事の写真はその実例なので、参考にしてみてください。
なお2人用の場合、2ドアを選択しましょう。でないと夜トイレのたびに中腰で相棒の脇を通る必要が出てきます。
2人用大判はかなり大きく、二組の布団をカバーしてなお余りあり、高さもあるので中での移動もしやすいです。
しかし部屋いっぱいぎりぎりのサイズで設置してしまうと、設置後に部屋の外周にある家具や化粧台にアクセスしたいとき詰みます。
事前に寝床の寸法を測り、部屋の広さが許せば検討してみても良いでしょう。
お手入れ方法
ナイロン製なので中性洗剤で洗えます。折りたたんでから、たらいか浴槽に洗剤を入れて湯を張り、10分浸してからすすぎ、吊り下げて干せばOKです。
すぐに干さないとシャフトが錆びるので気を付けましょう。
ワンタッチ 折りたたみ ポップアップ 蚊帳 たたみ方のコツ
開くときはワンタッチですが、畳むときはコツが要ります。説明書は役に立たないので無視した方が良いです。
下記のやり方を試してみてください。その方がきっとあなたの時間を無駄にしないで済みます。
まず、対角線上のフレームを重ねてたたみ、平たくします。
オニギリ型のシルエットに畳めたら、オニギリの両肩を両手それぞれで持って立ちます。このとき、下側のフレームが自分と反対方向にハネた形状になるように持ってください。
ここから、両手を手繰り寄せながら向こう側の床へ向かってクニュっと押し倒していきます。
すると、3つの円に分かれた状態になります。3つが同じくらいの大きさの円になるよう調節してください。
つぎに片手で交点を押さえながら、手前の円どちらかを足で押さえ、もう片方の円を垂直に起こしてください。
起こした円を、あなたの足が乗っていない向こう側の円の方に向かってそのまま倒していきます。ずらして重ねていくのではなく、垂直に起こした円をそのまま180度倒していくのです。
さいごに、足で押さえた円から降りて同様に垂直に起こし、そのまま180度倒していきます。
最初は怖いかもしれませんが、バキッといかずクニャっと畳み込めます。最初はそーっとやってみましょう。
3つの円を作った後ずらしたり回して重ねるのではなく、円自体を垂直に起こしてから180度倒して畳んでいくのです。
直感と異なる畳み方なので、ここを理解し経験しないとたぶん誰でも詰まります。
これで収納袋に入るサイズに畳めました。完了です。
安眠のための蚊対策 蚊帳を見直してみよう
記事では化学薬剤を使用しない3種の蚊対策機器を実際に使用して効果を検証しました。
安眠目的にのみ限れば、蚊帳には古いからと馬鹿にできない問題解決能力があります。
窓を開けて安眠したいのに蚊に妨害されていた方は、今回紹介した最新のポップアップ蚊帳を用いるなど、現代の住まいに合わせた手軽でコンパクトな方法で試してみる価値は十分にあると思います。参考にしてください。
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