ベランダガーデニングで虫が来にくい肥料の選び方【有機・化成】

この記事には虫画像は一切ありません。安心してご覧ください。

ネットで虫がつかない肥料を調べても、解決法が全然出てきません。栄養豊富な肥料には虫もまた好んで集まってくるという矛盾を解決していないからです。

いくら探しても出るのは商品の直売サイトか、あるいは解説サイトで、虫は健康の証・化学肥料はやめよう・虫に強いハーブはどう?以下最初に戻る・・みたいなループにはまります。

とはいえ肥料なしの痩せた土で作物は育たないし、かといって農薬は使いたくない。。ではどうすればいいか。

ベランダガーデニングで虫が来にくい肥料の選び方 【有機・化成】

それには、虫に肥料の栄養を渡さず、素早く植物に送り込むことが解決になります。

具体的には虫が来る前に肥料を植物に吸収させ切ってしまう即効性液体肥料による方法と、虫が好まない肥料を虫のいない加熱土に埋めて隠す緩効性固形肥料による方法ふたつのアプローチがあります。

記事を読み、あなたのスタイルに合う方を選択してみてください。そのためにまずは、虫が肥料の何に引き寄せられているのか見てみましょう。虫たちを理解すれば、もう殺さなくて済む方法を見つけ出せるようになります。

そうすればもう、ネットで虫対策を調べまわる必要もなくなります。市場に既にありふれた、安く手に入れ易い物の中から、虫の来にくい肥料と使い方を的確に選び出し、虫たちを退けることができます。

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油かす、米ぬか、バナナの皮など有機肥料は、肥料以前に虫の餌

油かす、米ぬか、バナナの皮などは、肥料以前に虫の餌

腐葉土、油かす、魚粉、米ぬか、動物のふん、果てはバナナの皮といったものまで、天然有機肥料として紹介されるアイテムには実にさまざまなものがあります。

有機肥料とは、動植物の残骸を発酵させた物です。いかにも天然オーガニックで栄養豊富そうですが、虫たちの大好物でもあります。

キッチンのコバエはいつもどこにわいていましたか?ベランダガーデニングで虫の悩みから解放されるには、あえてこの有機というキーワードから注意して距離を取る必要があります。

発酵が終わっているかどうかが虫除け肥料の鍵

虫が嫌だったら、肥料は化成しかないのかというと、そんなことはありません。有機肥料でも、ちゃんと発酵分解の終わったものを選べば大丈夫です。

発酵が終わっていない未熟な肥料は、いわば腐敗状態です。動植物の残骸は微生物によって発酵分解されていきますが、虫たちはその過程を促進する役割を果たしています。分解が終われば、腐敗が終わり、彼らは去ります。

化成か有機かではなく、発酵が終わっているかどうかが虫除け肥料の鍵

逆にいえば、腐敗した未熟状態の肥料は必ず虫を呼び寄せます。腐った葉や油の搾りカス、未熟なふんを肥料に撒くなど、いくら栄養豊富でオーガニックでも、虫除けを考えたら適切ではないとすぐ分かるでしょう。

巷にあふれる腐葉土や油かす、堆肥は確かに栄養豊富ですが、まいて自ら虫を呼んでおきながら、それと知らずに憎悪して駆除したり農薬をまくなどあまりに哀しいことです。

植物の栄養は発酵分解物と骨と灰

植物の栄養は微生物発酵と骨と灰 虫の栄養は腐敗と未熟発酵

植物にとって真の栄養は、腐った生ゴミではありません。それらを虫たちと微生物が分解してくれて、彼らが立ち去った後の残骸、あるいは火によって分解された、骨と、灰です。

従って虫の来にくい有機肥料を選び取るには、発酵分解の成熟した有機物、完全に焼成された骨粉、草木灰が適します。それぞれ窒素(チッソ)、リン酸、カリウムという主要な栄養分を備えています。

化成肥料は主要な栄養分が最初から配合され、かつ、分解の終わった状態で組成されるので初めから虫除け肥料に適します。

完全な虫除け肥料は無い

発酵の進んだ有機肥料であっても、化成肥料であっても、完全に全く虫の食べない肥料はありません。そんなものは植物も、間接的であっても人間も口にできません。成熟していれば確かに来にくくはなりますが、それだけでは万全とはいえないのです。

肥料が野ざらしにいつまでも残っていたり、土全体の栄養が過剰すぎると、虫はそれを分解しにやってきます。また、肥料をやりすぎて植物が弱ると虫は来ます。弱った植物自体を腐敗させに取り付くためです。

ですから、与え方も組成と同じくらい重要になってきます。初めから虫のいない土壌(加熱土)に肥料を埋設して隠し、出来るだけ早く植物に吸収されやすい液体か、あるいは分解が終わっていてすぐ植物に吸収される化成が、虫除け肥料として適します。

虫が来にくい肥料の条件まとめ

完全な虫除け肥料はない

ここまでで、虫が肥料の何に呼び寄せられるのか、虫が来にくい肥料の条件が何なのかわかりました。

虫は発酵の未熟な腐ったものに集まり、逆に発酵や焼成の進んで分解の終わったものには集まりにくい。虫除け肥料には、発酵分解の終わった有機物、焼成された骨、灰、そして化学肥料が適します。

与え方は無虫の土壌に埋設して隠し、過剰を避け、形状は液体の方が固体より早く植物に吸収されやすく適します。

では早速、条件に合うものを形状別にみていきましょう。虫除けだけに特化すると利便性が犠牲になることもあるので、あなたの適性に合わせて判断してみてください。最も簡単でバランスの良いお勧めは、最初に紹介する化成固形タイプです。

虫が来にくい・わきにくい固形肥料【化成タイプ】

肥料の形状には粒状の固形タイプと、液体の大きく2種があります。

虫除けのことだけを考えれば、いつまでも土に残って虫を呼びかねない固形タイプより、素早く溶けて植物に届く液体タイプの方が適します。

しかし液体タイプはすぐに吸収されて効果が切れてしまうので、頻繁に少しずつ肥料をまく手間があります。面倒だからとまとめて過剰に与えると、どんな結果になるのかは先ほど確認しました。

また、すぐ土に溶けて見た目に残らないので、今与えすぎなのか不足なのかが識別しづらい難しさがあります。

虫が来ない・わかない固形肥料【化成タイプ】

初心者ならばまずは、最も虫が来にくい化成のもので、手間が少なく分量を把握しやすい化成固形タイプ一般配合肥料を使うことを推奨します。

地表散布は避け、なるべく5cm程度の深くに埋め込んで使います。一般に、肥料は根に触れると肥料やけを起こしますが、この製品は肥料やけしない加工が施されているのでなるべく根のそばに埋設して早く吸収させましょう。

栄養の偏った特化タイプ肥料は使わない

栄養の偏った特化タイプ肥料は使わない

化成の粒状肥料といっても、千差万別の製品があります。中には野菜用や花用などといった、魅力的な特化配合の製品もたくさんあります。

特化配合の肥料とは、特定の栄養成分が多くなるよう配合された肥料です。このような栄養の偏り、過剰を大好物とする生き物が何なのかは、先ほど考察しました。

虫の来ない肥料を選ぶには、配合の偏った特化配合の肥料は選択しないのが賢明です。特に窒素を強化したものは避けてください。多くは、一般用とか、観葉植物用といった栄養が平均的なものこそ適します。

虫が来ない・わかない固形肥料【有機タイプ】

固形の有機タイプも、化成タイプと基本的な注意点は同じです。栄養の偏った特化配合は避けましょう。

成熟油かす、焼成骨粉、草木灰を使い分けても良いですが、現実的にはコストはかかるし面倒ですから、最初は素直に有機固形タイプ一般配合肥料を選ぶことを推奨します。

虫が来ない・わかない固形肥料【有機タイプ】

使い方は、化成タイプよりも注意が要ります。根に触れると必ず肥料やけを起こしてしまうため、出来るだけ根から離れたプランターへりの位置で、かつ、地表から5cm程度埋めて使います。

根から離して土を介し栄養を植物に届けることになるため、どうしても化成より虫を呼ぶ確率は上昇します。化成以上に、与えすぎに注意してください。焦りは植物の成長より早く、虫を呼び寄せます。

虫が来ない・わかない液体肥料【化成タイプ】

液体肥料には、お勧めできる有機タイプが存在しません。有機肥料は成熟品でもなお、植物に吸収させるまでの過程で微生物の働きを必要とするため、固形状態から徐々に分解されていくものが主流です。

有機肥料の液体タイプは大変高価で選択肢が乏しく、一般の評価が少なくて効果が判然としないため、選び取るのが難しい状況です。あるのは販売サイトが自画自賛する情報だけです。

これは今ある有機液体タイプが知られざる価値ある品だからではなく、効果の割りに価格が高すぎて市場で淘汰された結果と考えられます。化成の液体タイプが山ほどあるなら、有機液体だってあるはずだし欲しいという需要は多かったはずです。にもかかわらず流通も選択肢もあまりに少ないためです。

虫が来ない・わかない液体肥料【液体タイプ】

多くの人にとっては比較の過程で有機液体タイプは脱落し、化成液体タイプ一般配合肥料を選ぶことが適切で確実なはずです。

化成液体タイプでも、選び方の注意点は固形タイプと同じです。栄養の偏った特化配合は避けましょう。水で希釈してから地表に散布しますが、すぐに浸透して植物に吸収されるため、固形に比べ虫は来にくいです。

水耕栽培用液体肥料もOK

水耕栽培用の2液性肥料であっても、土耕の虫除け液体化成肥料として転用できます。パッケージに希釈分量が書いてあるはずなので、薄めて散布してください。

やたら濃くしたら栄養が過剰に偏り、何が起きるかは先述の通りです。100均のシリンジ(プラスチックの注射器)を使うなどして楽に正確に調合しましょう。

水耕栽培用液体肥料もOK

選び方の注意点も他の肥料と同じで、栄養の偏っていない一般配合品を使い、与えすぎに注意して管理する必要があります。固形と違って目に見えないので、分量の管理は難しく、また適量に絞って頻繁に与える手間が増大します。

ちなみに水耕栽培では土からの虫の悩みは無くなりますが、藻が発生するという別の悩みが生まれます。また、時期によってはボウフラがわきます。虫対策の解決にはなりません。詳しくは ベランダガーデニング 虫がつかない土を作る方法【無農薬虫除け対策】 内目次より水耕栽培をご覧ください。

虫がわいてから虫除け駆除してもキリがない

虫がわいてから虫除け駆除してもキリがない

もうお気づきと思いますが、虫たちは不潔な場所に集まるのではありません。彼らにとって栄養豊富な場所、自然界において不自然に栄養の偏った場所に、それを分解する役割があって集まってきます。

虫がわいてからいくら農薬を撒いたり麺つゆを置いたり苗を水につけて駆除したところで、肥料が虫を呼び寄せて増殖を招くのだからキリがありません。

ですから最初から記事の方法で、肥料という不自然に栄養の偏った場所を、作らないか、隠すか、直ちに使い切ってしまえば良いのです。そうすれば、虫は集まりようもありません。

肥料だけ対策しても意味がない

とはいえ肥料だけ対策しても解決にはなりません。肝心の土壌自体も、虫の好む偏った栄養や、そもそも虫自体が潜んでいないものを選ばないと意味がありません。

それには、下記の記事を利用してください。とても安く簡単に、無虫土壌を実現することができます。

観葉植物、室内植えにもぴったり

虫除け肥料と無虫土壌までも注意して、虫のこない環境を作る。そこまで必死こく必要があるでしょうか?

観葉植物、室内植えにもぴったり

虫の心配がなくなれば、農薬はいらなくなります。そうすれば、植物の世話は本当に楽になる。安心して寝室にも置けるようになります。

みどりを虫と薬の心配なく扱えるようになれば、ベランダだけでなく室内も、もっとあなたの好きなカフェやワーキングスペースのようにできるかもしれません。

あなたが昔にどこかで見て想像に描いたことのあるような、古代の空中庭園みたいなインテリアや、木陰のソファなんてのも、いつかきっとできます。それにはきょう、土づくりからじっくり始めてみましょう。

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