ホームベーカリーで焼く前のこね上げられた生地のみを予約タイマーで作る方法は、2通りあります。
ひとつは間欠タイマーを用いる方法で、最近のほとんどの機種に適用できます。安価ですが多少手間な方法です。
もう一つは生地のみ予約に対応する、生地だけタイマー対応ベーカリー機種を買うことで、これは筆者が知る限りただ一つしかありません。楽ですが高価な手段です。
そもそもパン生地のみの予約タイマー機能を有する機種は、建前としては国内にほぼ存在しません。
タイマー予約機能が付いている機種でも、それを設定できるコースは、ほとんど食パンコースのみなのが実態です。しかも勝手に焼きまで行ってしまいます。買ってからこの事態に気づき失望している人は多いでしょう。
記事ではこの問題をDIYで解決しています。読者の状況に合わせて2種どちらかの方法を選択ください。
間欠タイマーで生地のみ予約ができる
多くのホームベーカリーは食パンコースのみタイマー機能がついており、その機能を使うと強制的にこねから焼き上げまでフルコースで行われます。
最低でもこのフルコースタイマーが付いている機種でないと、間欠タイマーの方法は使えません
ですから、例えばロールパンの生地だけタイマー予約で作りたい時は、ロールパン生地材料をホームベーカリーに入れ、食パンコースで食べたい時間を予約し、家電タイマー化の記事で扱った、間欠タイマー をその予約時間よりちょっと数十分前にオフで設定してやればOKです。
こうするとホームベーカリーがロールパン生地をこね、発酵し、さあ焼くぞ!となる前に強制的に電源が落ちるので生地のまま残りますから、おもむろにあなたが起床して取り出し、あと好きなように切るなり二時発酵するなりしてオーブンやフライパンで焼けばOKです。
具体的に間欠タイマーを予約時間の何十分前とすれば焼きを中止できるかは、ホームベーカリーの機種によって異なります。親切なメーカーは工程ごとの時間を説明書に書いていますが、そういうケースはほとんど無いので、1回自分で食パンを焼きながら計測する必要があります。
生地のみ予約に対応できる唯一つの機種
先述の間欠タイマーを使わない/使えない事情のある場合は、生地のみ予約に対応できる唯一の機種を買う方法が残されています。
パン生地のみの予約タイマー機能を有する機種は、国内にほぼ存在しません。
これは恐らく法律で規制されているか、全メーカーが材料の腐敗リスクあるいはイーストの過剰発酵によるクレームを恐れて逃げたためではないかと思われます。
しかしホームベーカリーの手動コース設定の中で、密かに焼きの工程だけをオフ、というか0分に設定でき、なおかつイースト過剰発酵を対策できる機能も併せもち、その上で機種自体が備えるタイマー機能も併用できる唯一つの機種ががあります。 生地だけタイマー対応ベーカリー です。
この機種を使って焼き0分に設定することで事実上生地のみの予約が可能です。
しかも焼き工程ゼロを一度設定すれば、以降は記憶するので再設定不要という、地味に便利な機能も持ち合わせています。
予約タイマーとリスクコントロール
2種どちらの方法を取るにしても、どのホームベーカリーの説明書にもタイマー機能を用いる場合は、材料の腐敗とイーストの過剰発酵を避けるため牛乳・生クリーム・ジュース・野菜・卵などを使用しないよう注意書きがあります。
食パンの生地その他フランスパンとか淡白なパンのみ作りたい人は何も支障ありませんが、多くはそれ以外のロールパンとか、要するに卵などを必要とする、好みにもよりますが食パンより美味しい生地を作りたいのではないかと思います。
その場合はできるだけ腐敗とイースト過剰発酵の失敗確率を下げられるよう、リスクをコントロールするためいくつかのDIY方法を併用します。
イースト過剰発酵に対策する方法
イーストが過剰発酵するのは、投入したドライイーストが過剰な水分と養分と空気に触れた時です。また、生暖かい生存適温になった場合に促進されます。
なので条件のうちひとつ、ここでは水分と隔離するのが最も楽で効果的な方法です。
材料の配置を変える
養分と水分が多すぎて過剰発酵の原因となる、牛乳・生クリーム・ジュース・野菜・卵を、イーストと離して触れないように投入すれば、物理的にイーストが触れるのは公式OKの食パンレシピと同じ状態になるので、何の問題もありません。
容易で有効なので、基本的にイースト過剰発酵対策はこの方法で良いです。ただ気温や湿度が高くてそれでも過剰発酵してしまったとか、レシピに液体が多すぎて離せないなど事情のある場合は、下記の具入れ機能等を活用ください。
自動具入れ機能を活用する
多くのホームベーカリーには自動具入れ機能といって、本体フタの裏側についている網カゴがコネ工程の最後に開木、中に入れていたチョコチップなどの具を投入できるようになっています。
この網かごへ小さな容器をステンレス針金などでくくりつけておき、そこへドライイーストを入れておけば、適時にコネの終盤にあたる適時に投入してくれるので、過剰発酵の心配は無くなります。
生地前半で紹介した生地だけタイマー対応ベーカリーは、焼き0分にタイマー設定しても具入れ機能やイースト投入は動作します。
タイマーを適切に使えば焼きの工程は無くなるので、括りつけに使う容器や針金は必ずしも耐熱にする必要はないのですが、万一設定をミスった時を想定するな耐熱で揃えておくとなお良いです。
腐敗に対策する方法
腐敗は主に細菌の増殖によって起こります。細菌が増殖するには水分・養分・空気の3つが必要です。次いで、暖かい適温があると増殖が早くなります。要するに人間や他の生き物、イーストと大体同じような生存環境です。
なので条件のうちひとつ、水分を隔離するか、温度を低く保つことで一定の対策をすることができます。
粉末の材料を使う
粉末の材料を使えば、水分をなくすことができます。卵の代わりに粉末卵を、牛乳の代わりにパウダーミルクを、バターの代わりに粉バターを用いれば、素材自体の水分がなくなり一晩程度ではまず腐敗しません。
ただしこれらの粉末材料を使う場合、粉末材料の配置に注意し、他の液体材料と触れないように投入する様にします。
多くのホームベーカリーは液体材料を先に投入し、粉末材料を後から山になるよう投入する指示が説明書に書かれています。これは、山になった部分にイーストを配置することで水分と隔離し、タイマーを使用した時の過剰発酵を防ぐためです。
あなたの機種の説明書がそうなっていなくても、今回のタイマーにトライする場合は液体を先、粉体を後にして山の頂上が水面より上に出る様にし、最後に粉末卵黄などの特殊材料を山の上、水に触れない位置に配置してください。これで一晩の腐敗を回避できます。
室温を低く保ち、凍結材料を使う
エアコンを入れるか、作業を秋冬に限定すれば室温を低く保てますが、あまり現実的でないかもしれません。また、効果は万全ではありません。
もう一つの方法は、凍結できるものは凍結したアイスキューブ状態で水に触れない位置に配置する方法があります。
卵黄を凍結する場合は、卵黄の重さを測って、その内20%に相当する重さの砂糖を加えてから混ぜ、凍結すると作れます。例えば卵黄が15gだったら、加える砂糖は3gです。加糖に抵抗のある人でも、この程度の総量なら許容できるかも知れません。
ただ、段々溶けるので効果は万全ではありません。卵はごく稀に殻の表面にサルモネラ菌が残留している場合があり、割り入れた時混入すると一晩で危険なレベルに増殖します。この菌は凍結しても死滅しないので、増殖を多少遅らせるくらいの効果しかありません。
殻の表面を綺麗にしたくても生卵を水洗いすると内部へ水が浸透するのでNGです。拭き取りはOKですがやはり、万全ではありません。
実験する
実のところ自己責任で前夜から卵を投入してホームベーカリータイマーを実行している人はネット上でも散見されます。腐敗は周辺環境や元の鮮度にもよるので一概に言えません。
筆者は材料の配置に最善を尽くし、夏場やこもる場所は避けた上で、まずは少量作って試したのち本格実行しています。
そもそも腐敗しているとイーストが死んで膨らみがおかしくなるので、全部食ってのたうつ前に気づくかもしれません。今のところ筆者は出来るだけ万全を期した結果として腐敗させたことがないので、あくまで想像ですが。
一番美味しい焼き立て手作りパンを楽しもう
ホームベーカリーを買ってある程度使った人ならば、ホームベーカリーの食パンは市販の超熟とかのトーストに比べて手間とコストの割にそこまで報われないことに気づいています。
そしてホームベーカリーに飽きた頃、試しに他のレシピでパン生地だけ作り、オーブンで焼いた経験のある人は、これは美味い!これこそホームベーカリーを買う前に期待していたものだと、発見しています。
食パンは消費量が非常に多いので、企業は凄まじい投資で研究を重ね、ついに焼き立てをも凌駕するうまさを格安で提供できるに至りました。食パンの分野は私たちが今更DIYしても労多くして実り少なしです。
ところが既存のホームベーカリーは皆食パン作りにばかり充実しており、どうしようもありません。そこで記事の方法が役立つというわけです。ホームベーカリーを買った人で、生地だけから焼くうまさを知っている超少数派です。
ですからあなたがもし、これからホームベーカリを買おうとか買い替えを検討している友達を見つけたら、唯一無二の生地だけタイマー対応ベーカリーを教えてあげてください。
買ってから表題の問題に苦しむホームベーカリーユーザーは多いので、きっと、本当に感謝されると思います。
読者コメント