初めて値下げ交渉をされた時は、誰しも戸惑うものです。どうすればいいか調べているうちに機会を逃したり、値引きに応じたものの結局返事が無かったり、損した経験のある人もいるでしょう。
メルカリでの価格交渉は公認で、公式系サイトでも言及されています。しかしそれはあなたにとって安全安心でお得だからという意味ではありません。単に流動性が上昇してメルカリ社の利益が増すというだけです。
ルールがあって無いようなこの価格交渉の世界でじぶんを守り、取引を優位に進めるためには、じぶんの立場を正確に知って優位を保てる具体的な断り方、損のない値引き基準に基づいた応じ方、そして相手の強弱を見極め交渉を持ちかけるやり方が役立ちます。
また、公式サイトが値引き交渉をどう容認しているのか知っておけば、盤石に対応できるでしょう。ご覧ください。
なぜ値下げ交渉者が自分の所へ来るのか
態度を決めるのに役立つため、まずはなぜ、他にも同じ商品の出品者が沢山いるのに、あなたのところにだけ値引き交渉者が来たのか、理由を知っておきましょう。
それは、他の商品に比べてあなたの商品状態こそが一番魅力的だったからに他なりません。さもなくば、相手はコピペメッセージをばら撒く二股交渉者です。
中古商品はすべてが一点もの
メルカリであなたの商売は、ビックカメラやヤマダ電機みたいに、まるで同じ新品を価格競争している訳ではなく、一点ものの中古品を扱う個人間取引です。
新品を売る電器店なら断れば他へ客は行ってしまいますが、中古品は状態も価格も、売り手の信用度すら千差万別で、それぞれが完全に一点ものなのです。
そして似たような他の中古商品の中で、すでにあなたの唯一の商品が選ばれた。需要がある。このことを忘れないでください。だから企業の商売方法と混同し安売り競争する必要はありません。
その上で、どんな風に対処すれば良いか見てみましょう。
交渉者別対処法
コピペ交渉者への対処法
値引き交渉されて疑問に思ったら、他の同じ商品の出品者コメント欄を見てみると良いかもしれません。あなたの所へ来た値引き交渉者は、他にもコピペで交渉をバラまいているかもしれません。
コピペだったなら、いうまでもなく相手にする必要はありません。相手にしたところで、このコピペ交渉者は他と掛け持ちでどれが一番安くなるか両天秤にかけているので、すぐに買ってはくれません。
あなたが値下げしようと何しようと、次のステップに進むことを促した途端に、当分返事が来なくなります。二股相手がもっと安くなるかどうか、確認しに行っているからです。
値下げはあなたにとって純粋な損失です。値を下げる唯一のメリットはすぐに売れるという時短です。にも関わらず、このタイプの相手に値下げすると価格を失い、時間も失います。
コピペじゃない交渉者への対処法
コピペでなくまともな交渉者だった場合も、やはり値引きに応じる必要はありません。
コピペしない交渉者は商品を安く買うために努力するタイプの人間なので、あなただけに交渉を持ちかけるにあたり、他の出品者の商品とよく比較した上で声掛けしています。
つまりその時点で、あなたの商品こそが第一希望なのだと分かります。需要がある。コピペでない交渉者の値下げ要求は、単に購入のキッカケ、買うことを正当化する理由が欲しいだけであって、本心はあなたの商品が欲しい!と言ってきているのと同じことです。
こういう買い手が付くのに焦って値下げする必要があるでしょうか?数百円にこだわり交渉してくるほどの努力家に選ばれる商品ならば、価格を放っておいても時間の問題でいくらでも買い手はつきます。焦らないで!
もしも売っている品が希少品ならば、むしろ急いで断ってから値上げすべき場面ですらあります。半信半疑でも、試して経験を積みましょう。詳しくは下記青色の記載をご覧ください。ただし交渉ごとが初めてなら、この内容を実行するのは危険です。読む必要もありません。
値下げ交渉を逆手に取って早く売る奥義
この奥義は上級者向けですが、コピペでない交渉者に対しては単に値下げを断るだけでなく、逆に値上げを示唆することで早く売れることがあります。
「恐れ入りますが値引きは行っていません。来週から値上げする予定です。」などといった具合です。
繰り返しますがコピペでない価格交渉があった場合、その値下げ要求は「あなたの商品が第一希望で、欲しいです!」と言って来ているのと同じことです。
ですから、あとひと押しで実際に買ってくれる最高速の潜在顧客です。ひと押しとは、何なら口先だけでも良いのです。お客が今すぐ買うことを正当化さえできるような、良い言い訳を与えてあげられれば。
値上げを示唆するのはその一つの方法です。今買わないと、損するような気がするからです。
通常、このような買い煽りは逆に足元を見られたり(早く売り捌きたいのだと見透かされて客が待機状態に移行する)、クレームにつながる(煽られていることに気づき怒る)ので多用厳禁ですが、あと一押しが欲しいだけの潜在顧客だと値引き交渉から嗅ぎ取ったならば使える方法です。
見誤って長引くと危険なので、風向きがおかしくなったら商品を取り下げ撤退してください。また、嘘は厳禁です。値上げすると言ったら値上げしましょう。
価格設定が高すぎると指摘された時
価格設定が高すぎるのかどうかは、交渉者の相手が決めることではありません。指摘を無視し、値引きを即断ってから、じぶんが暇な時に適正価格を確認すれば良いです。
適正価格は市場原理により自動的に決まるものですから、メルカリ値段設定の仕方早見表 初めてでも簡単高速解決 を使って確定してください。常に最初からこの価格で出品することをお勧めします。
ちなみに、仮に本当に交渉相手の言い分通り割高だったとしても、値段の高さを指摘された時すぐ値引きに応じる必要はありません。
多くの場合、交渉者が要求してくる値引きは適正価格より悪くなるのが実態です。調べて答えたりしているうちにお互いの時間ばかり消費して結局折り合いがつかないという結果になりがちで、後述のモンスタークレーマー化しやすく危険です。
一番損失の少ない手順は、まず断る→適正価格を調べる→じぶんの都合で適時に適正価格へ変える、です。
メルカリ値下げ交渉の上手い断り方と応じ方具体例
基本的な断り方
ここまでの記事で、値下げ交渉があなたのところに来た意味を冷静に考えると、値引きに応じる必要は原則として無い、という立場が理解できたと思います。
なので値引き交渉者が来たときは、以下の一文を機械的にコピペアレンジして返してください。他のフォロー文言は一切不要です。返すのが早ければ早いほど良いです。
「恐れ入りますが値引きは行っていません。ご了承ください。」
プロフや商品説明欄にも同じ文を貼っておくと魔除けになります。
断り方の極意
断る時のポイントは、断る理由を言わないことです。どうしても理由が必要な場面に追い込まれた時は、「値引きしたくないから」とだけ繰り返し答えてください。
タチの悪い交渉者は、断る理由を言うとそこを手がかりに食い下がってきます。面倒極まりありません。
すみません、1,000円ほどお値引きしていただけませんか
まだ出品したばかりなので。。
そうですか、ごめんなさい。ほかも検討しますね
せっかく来てくれたお客さんなのに、冷たすぎたかな、でも。。
その金額では無理です。相場を下回ってしまいます
状態を考慮するとこのお値段のままでは厳しいかなと。。でも分かりました。900円引きでも即決します
900円引きでも送料を考えると赤字です、やっぱり今回はごめんなさい
なら、送料210円分をこちらで負担し、690円引きで了解しました。専用お願いします
こんな風に、断る理由を言えば言うほど災いを招きます。ですから言い訳的な断る理由は決して言わないように心がけてください。
ちなみにこの例の場合、この後690円値引きして、専用しようとしまいと、すぐに買ってはもらえません。しばらく音信不通になります。前述のコピペ交渉者の例に該当します。
そもそもあなたの商品をあなたが売る個人間取引なのですから、断るのに相手が納得のいく客観的な理由など、無くて良いのです。新聞勧誘や訪問販売、マルチ商法、ナンパを断るときの鉄則と同じです。
すみません、1,000円ほどお値引きしていただけませんか
恐れ入りますが値引きは行っていません。ご了承ください
主観的な理由だけが重要で、それは強いて言うなら「値下げしたく無いから」この一言を堂々言い切るに尽きます。
お店の店員みたいに対応する必要はなく、あなたの主観だけで値下げしない選択が、正当に取れるのです。
長引かせて断るとモンスター化することがある
もう一つ大切なことは、最初にキッパリ即座に断ることです。
変に遠慮したり、あなた自身に欲目が出てさんざん交渉しあった後、結局断ったりすると、相手は恐ろしいほどのモンスターと化し粘着する確率さえ生じます。
変に期待を抱かせて、結局ぶち壊す格好になるからです。
キッパリ断っても、大丈夫
ロボットみたいに有無を言わさず即断ったら、せっかくのお客さんに冷たくて失礼だと思うかもしれません。でも大丈夫です。
ほとんどのお客さんは、何かコミュニケーションや駆け引きを楽しみたくて値引き交渉に来ているわけではありません。
単に自分が得したいだけです。
もちろん機械的にあしらわれた方は良い気分はしませんが、それよりも短時間でケリがついた方が互いに時間的に得になります。嫌悪や億劫は伝わらないよう注意し、機械的に対応しましょう。
キッパリ断った相手が、結局元値で買ってくれることも、本当にたくさんあります。
基本的な応じ方
基本的な断り方ができるようになると、以前よりも冷静に余裕を持って価格交渉者と対峙できるようになります。場合によっては値引きに応じても良いと感じる時もあるでしょう。
そういう時、値引きに応じて損のない基準がどこにあるのか知っておくと、決断が早くなり、本物のチャンスを掴めるようになります。
巷では1割引までとか、相場の範囲までといった都市伝説がありますが、根拠がありません。それでは丸め込まれ、損をしてしまいます。
値引きに応じてよい基準
値引きに応じる時は、割合でなく値引きの絶対的な金額で考えるのがポイントです。
例えば2,000円の商品を1,400円にさせられたら30%も値引きですが、値引き額は600円にすぎません。
送料で赤字にならない範囲で、あなたの欲しい時短を600円で買えることに納得がいくなら、さっさと捌いてしまうのも良い判断です。
一方30,000円の商品を27,000にさせられたら割合は10%引きにとどまりますが、一瞬で3,000円も失ったことになります。
狡猾なベテラン交渉者は、高額品の値引きを割合で持ちかけてきます。1割引が一般的だとか相場だの根拠のないネットの都市伝説を援用して、1割くらいいいかと思わせてきます。
落ち着いて何円の減額になるのか考え、そのお金を支払って時短を買いたいのかどうか、あなた自身の根拠に当てはめて考えてみると役立ちます。
値引きは時短で考える
例えばあなたの普段の仕事が手取り15万で月20日、1日8時間働いているなら、あなたの時給は937円です。この場合、1時間のあなたの時短価格は937円です。
この商品についてあなたが四六時中売れるように説明文を工夫したり、価格操作したり、いいねやコメントをチェックするなど色々時間を費やしそうに思うなら、そこにかける時間分の値引きには応じても損はないでしょう。
この場合例えば、すぐ売れば2時間分くらいの労力が浮きそうだと思うなら、1,874円分まで値下げに応じてもあなたに損はありません。
値引き=時短を買うときは、こんな風にしてじぶん自身の時短価格だけが根拠になります。ネットの情報は役に立ちません。
特殊な値引きケースへの応じ方
逆に、商品を放置して構わないなら、値引きに応じる必要はありません。
商品を放置できる売り手は、値引きに応じる必要が全く無いのです。時短を買う必要がないからです。企業だとそうはいきませんが、これも個人取引の強みであり違いです。
とはいえ現実には断捨離などで早いところ商品を捌きたいケースもあるでしょう。引っ越しが迫っているとか、置き場所を圧迫するとか、価格下落速度の速い商品などの場合です。
そういう時は残念ですが、多少損でも時短価格以上の値引きに応じて売ってしまう方が目的に適います。それでも、売り急いでいると察知されないよう心がけましょう。そうしないと足元を見られます。
セット売り交渉への応じ方
もう一つ特殊な値引き交渉のパターンとして、あなたの他の出品物とまとめ買いするので送料分値下げしてくれと交渉が来ることがあります。
これは合理的であなたにも相手にも、広くメリットのあるフェアな取引です。本当に梱包が収まって送料を圧縮できるか最安送料一覧表などで確認した上でなら、気持ちよく応じることをお勧めします。
応じる場合は申し合わせた上でいったん単品の各商品を取り下げ、その後複数をまとめて価格を合計し出し直します。写真や文は元のを合成します。
但し、いかなる場合でも専用はしない事をお勧めします。売り手のメリットがほぼゼロなので。申し合わせの際、以下を最後に付記しておくと良いでしょう。
なお専用は行いませんので、他の方に買われた場合はご了承ください。
メルカリ値下げ交渉の上手いやり方
ここまで値下げ交渉の断り方や注意点を学んできたあなたならばもう、逆に上手い値引きの引き出し方も察しがついたのではないかと思います。
それは、コピペで二股をかけたり、相手の商品状態や価格設定にケチをつけたり、断り文句に食い下がることでも、割合で話をして騙すことでもありません。
商品説明文をよく見て、商品を放置しても構わないと思っている強い売り手と、早く売りさばきたいと思っている弱い売り手とを見極め、後者にだけ時短と引き換えに値引きを提案していくことです。
これはメルカリに限らず、交渉の基本原理です。金銭以外で相手が隠している本当の望みを察知し、それと引き換えに値引きを要求することで、多くは、時間です。
見積もりや引っ越しでも営業マンを相手にするとき、あと一押しだと思ったら、望みの値下げが叶うなら今すぐ他社相見積もりを中止し契約すると提案してみてください。
メルカリなど個人取引の場合、相手の真の望みは他に、「梱包手間」「清掃手間」の省略である場合もあります。
メルカリ値下げ交渉に関する公式情報
値下げはユーザーの自発的なコミュニケーションから生まれた文化であって、公式なルールなど存在しないと思うかもしれませんが、ちゃんと公式サイトに言及があります。
古参ユーザーなら覚えているかもしれませんが、メルカリ公式はかつて、こうした値下げ交渉をアプリの「オファー」機能として実装していました。ちなみにその機能は大変ユーザーの不評を買い、現在は廃止されています。
いずれにせよメルカリの価格交渉は規約違反ではなく、公式に容認されているしきたりです。つまり、交渉されて不快でもあまり邪険にしてはいけません。コメントでトラブルになった時必ずしも公式が味方になってくれないからです。
なおメルカリ公式のサテライトサイトでは、もう少し踏み込んで、値下げ交渉したくない側の立場に立って以下のような言及があります。
1.プロフ等に値下げ交渉不可の明記 はすぐできるのでやっておきましょう。魔除けにはなります。
2.適正価格を把握し交渉 は、そもそも最初から適正価格で高速出品しておくべきです。交渉されてから適正価格を調べ出すようでは、どうしても相手のペースに飲まれ、時間を食い、買い叩かれます。
少なくとも交渉に応じるからには、最初からじぶんの中に確たる条件を持っていなければなりません。それがなければ、どこまでも相手の言い分や雰囲気に流されて行ってしまいます。
3.あらかじめ高額に設定して値引く は机上の空論で、悪手です。やればすぐ気づくでしょう。
実店舗ならともかく、検索したら安いものが上位表示されるメルカリで、適正価格よりわざと割高に設定して何の意味があるでしょうか。値引き交渉者以外の誰も来なくなるだけです。つまり面倒な交渉者を余計に招き寄せる結果となります。
どこかのお店で見たことのあるような、企業の商売方法と、メルカリでの個人間中古品取引とは、やり方が異なるのです。
どうしても価格操作を行いたい場合は、多少なりと根拠のある方法のみを選択することをお勧めします。
まずは上手な断り方を身につけてみよう
価格交渉にはルールがほとんど無いので、いろんな都市伝説や楽してお金儲け的な手法がはびこりがちです。
中には有効なものもあるかもしれませんが、費やす時間に見合わないものでしょう。にも関わらず、売り手買い手ともに生半可にやり出す人が後を絶ちません。
そういう環境から身を守るため、まずは単純な断り方とその極意をよく学び、実際に断って試してみましょう。
それはあなたの商品の価値を守るばかりか時間的利益と安心をもたらし、そして結局のところ、相手の時間的利益にもなるのです。
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