この記事は初稿2020.4月ですが、2022.7月現在、製品デザインが一新されましたので追加購入レビューし、現在の状況に沿ってなお有益な部分のみ再編集しました
この記事は一般にほとんど知られていないスポーツ用の携帯酸素吸入器という道具を使いこなすことで、呼吸が苦しい時医者にかかるまでのつなぎ、混雑でかかれない時に自衛で備える方法の紹介です。
大変コンパクトで簡便な道具なので、自分だけでなく知人あるいはペットがいた場合に送って活用でき、保管時も邪魔にはなりません。
感染症が猛威を振るい、人工呼吸器の不足が顕著だった2020年4月当時を見ても、改めてどんな状況も人任せにせず自分で備えること、その方法があるということを知っておく価値はあるでしょう。
携帯酸素吸入器とは 家庭に備えておくメリット
携帯酸素吸入器とは、手のひらサイズの酸素ボンベと吸入マスクがセットになった品物です。製造販売しているメーカーは主にスポーツをやる人向けに広告しており、一部は医療機器としても製造していますが、一般家庭ではまだあまり馴染みのないものです。
しかし携帯酸素吸入器には、スポーツ用でなく風邪や肺炎、喘息、感染症などによって息が苦しいとき、病院にかかるまでの間手元にあれば助けになるだろうという、隠されたメリットがあります。
このような役割は筆者も想像していませんでしたが、初期記事執筆時点の2020年4月には、感染症は猛威を振るっておりニュースは連日のように人工呼吸器の不足を報じていました。
今でなくともいつかまた来る時に備えて、あるいは病院へすぐかかれない状況に陥るときに備えて、人任せにせず家庭で準備しておくことは、実は可能なのです。
これから記事でその選択肢を概観し、自分や周囲に合ったものがあるか探してみてください。このマイナーな道具の入手には注意点があるため、併せて解説しています。
ボンベ型携帯酸素吸入器とは
ボンベ型携帯酸素吸入器は、小さな酸素ボンベに別パーツのバルブとマスクを取り付けるタイプで、ほとんど誰も見たことがない形式だと思います。重さサイズは未開封500mlペットボトル程度です。
高濃度に圧縮された酸素が入っており、容量は17Lで、これは連続使用8分程度に相当します。非常に短いので、本当に苦しい時だけ間欠的に使う形になります。
使用時はマスクを取り付け、ダイヤルバルブによって流量を調整しながら使います。例えばバルブを半開きにすれば、連続使用時間は2倍の約16分になります。
必要量は個人差やその時の状態によって異なるので、調整機構は結構重要です。マスクとバルブ調整でかなり酸素ロスを少なく効率的に使用できます。
なおマスクは取り外して携行できますが、バルブは一度ボンベに取り付けてしまうと、後は使い切るまで外せません。外すと酸素の残量が全て放出されてしまいます。
筆者はこの機器を長く使用しています。最近は子供が風邪というかRSウイルスにかかり、咳で息苦しい時使用しました。スペアボンベを用意しておけば、自分一人でなく困っている人に貸し出すといった使い方も含めて、様々な場面で役立つ助けとなります。
買い方の注意点と選び方
携帯酸素吸入器はマイナーな道具で一般市場の評価が少なく、入手にあたっては固有の注意を要します。
ボッタクリ転売品に気をつける
この品はインフルのシーズンに品薄傾向で、悪い時は定価の2倍程度に達するたいへん高額なボッタクリ転売品が出てきます。買う前に価格をよく調べ、急がないなら正価の品物が出るのを待った方が良いです。
平時の相場は、おおむね次項の表を参考にしてください。
携帯酸素吸入器のラインナップ比較
価格 | 調整バルブ | 残量メーター | 付属マスク | 付属ボンベ | スタンド | |
スポーツ酸素D トライアルセット | 7,500 | ○ | × | 1個 | 17L 1本 | × |
スポーツ酸素DX トライアルセット | 9,000 | ○ | ○ | 1個 | 17L 1本 | × |
スポーツ酸素DX 標準セット | 14,000 | ○ | ○ | 3個 | 17L 2本 | ○ |
スポーツ酸素 交換ボンベ5本セット | 7,000 | ー | ー | ー | 17L 5本 | ー |
ボンベ型携帯酸素吸入器は、ほぼ日本炭酸瓦斯というメーカーのみが製造しており、一般家庭で現在容易に入手可能なのは上記4種です。
スポーツ酸素Dトライアルセットが、最も安い最小構成です。
スポーツ酸素DXトライアルセットは、最小構成に残量メーターが付きます。
スポーツ酸素DX標準セットは、さらにスタンドとスペアマスク2個が追加されます。
スポーツ酸素交換用ボンベ5本セットは文字通りの商品で、D,DXいずれにも互換性があります。
見ての通りボンベ1本で1,500円程度と、高価なものです。高圧で酸素を封入して安全に使えるよう、厚い鋼鉄製のボンベとなっており重く丈夫で、消費期限は5年です。
昔はコンパクトで価格も手頃なレスピアという製品が同じメーカーからあったのですが、廃盤となってしまいました。
対応するボンベだけはまだ供給があるようですが、いつ終わるか分からないので今はもう避けた方が良いでしょう。
また、同メーカーから活気ゲンという製品も出ていますが、これは医療用です。非常に割高なので一般家庭で購入するメリットはありません。
医師の処方があれば保険で買えるのかもしれませんが、そこまでするようなものでもないと思います。
ちなみに筆者が使用し、ここまで記事の写真に載せているのはスポーツ酸素Dの旧モデルと、新モデルのDX標準セットです。
新旧どちらも性能と価格に大差はありません。なお、いずれも航空機には持ち込み不可です。
モデル別特徴と選び方お勧め
基本的に記事の目的で利用するなら、ほとんどの読者にとって一番安いスポーツ酸素Dトライアルセットで必要十分だと思います。ちゃんと流量調整バルブは付いてきます。
筆者は一番安いDトライアルと、一番高いDX標準セットの両方持って使っていますが、正直DX標準セットは替えのマスクがどうしても欲しいのでない限り、割高すぎて金の無駄だと思います。
Dトライアルだと残量メーターが付きませんが、別に何回メーターを確認しようと当然残量が増えるわけでもないので、無意味です。8分で消えてなくなる量なので、無用の長物です。
筆者はドケチを自負しており、物品購入にはいつも事前調査を欠かしませんが、今回DX標準という割高メニューに引っかかったのは、家族全員がウイルスにかかりマスクが必要な状況に迫られ焦っていたからです。マスクは洗って使うこともできるので、標準セットを無理に買う必要はありません。筆者の失敗を参考にしてください。
また、新モデルはデザインが現代的に一新されて提供されるようになりました。構成や価格はほぼ変わりません。
Amazon商品写真は古いままですが、今買うと大体新モデルが届くようです。筆者は以下リンクより買って、新モデルが届きました。
初めて使うなら、合う合わないもあるかもしれないので、やはり一番安い記事末尾のDトライアルセットで足りると思います。
酸素缶との違い
酸素缶型 | 酸素ボンベ型 | |
容量 | 約5L | 約17L |
サイズ(マスク除く) | 8cm×25cm程度 | 4cm×20cm程度 |
重さ(マスク除く) | 130g程度 | 400g程度 |
流量調整 | 不可 | 可 |
残量表示 | 無 | 有 (製品による) |
酸素純度 | 95%程度 | 99.5%以上 |
普通に携帯酸素吸入器で検索すると、記事で紹介する酸素ボンベ型とは異なる、酸素缶というものが多数見つかります。ボンベ型との比較は上記の通りです。
酸素缶を今回の目的に使用するのも不可能ではありませんが、品質の劣るものが散見されるため、なるべくブランドの確かなものを選ぶよう注意が必要です。
まともにお勧めできるのは キャプテンスタッグ / CAPTAIN STAG 社の M-9820リフレエアー か、岩谷産業 / Iwatani 社の NRS-1ピュア酸素缶 くらいです。Thermosの製品は今は廃盤となりました。
謎なメーカーで、薄い缶でやたらと高圧高濃度を謳う製品は信憑性が疑わしく、要注意です。要するに酸素缶の分野はどうにも胡散臭い雰囲気がつきまとうため、ちゃんとしたいなられっきとしたメーカーの酸素ボンベ型を検討することをお勧めします。
なお容量5Lとは連続使用約2分を意味します。
携帯酸素吸入器の存在と選び方を知っておこう
携帯酸素吸入器には人工呼吸器ほどの能力はなく、代わりにはなりません。ただこの道具は、息が苦しい時で病院にすぐかかれないとき、あるいは社会に人工呼吸器が不足する状況においては自衛のつなぎになります。
身近で必要な状況にあるのでなければ、今すぐ所持する必要はありません。
しかし少なくともこんな道具があることを前もって知っていれば、いざの時素早く適切なものを選んで、自分だけでなく他人に届けて助けることもできるでしょう。
なお、家庭でできるインフル等の傾向予測法と情報収集法については インフル予防に絶対湿度計 相対湿度との違いと計算式 を参照ください。
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