廉価な携帯酸素吸入器3種比較 有事に備える選び方

廉価な携帯酸素吸入器3種比較 有事に備える選び方

この記事は一般にほとんど知られていない携帯酸素吸入器という道具を、選び抜き、使いこなすことで、平時に役立て有事に自分や誰かを助ける手段を備えておく方法の紹介です。

大変コンパクトで簡便な道具なので、平時には例えば親戚に喘息や老衰で呼吸に苦しむ方、あるいはペットがいた場合に送って活用でき、また有事に備えての保管時も邪魔にはなりません。

ウイルスが猛威を振るい、人工呼吸器の不足が顕著な2020年4月のいま、改めてどんな状況も人任せにせず自分で備えること、その方法があるということを知っておく価値はあるでしょう。

携帯酸素吸入器とは 家庭に備えておくメリット

携帯酸素吸入器とは、手のひらサイズの酸素ボンベと吸入マスクがセットになった品物です。製造販売しているメーカーは主にスポーツをやる人向けに広告しており、一般家庭ではまだあまり馴染みのないものです。

普通の人が家庭で酸素ボンベなど、必要な場面が思いつかない人が大半だと思います。確かに酸素吸入を要するような激しい運動を行う機会は限られているでしょう。

また、調べると酸素が頭痛や目眩などに一定の効果をもたらす例も散見されますが、主に症状の重い時に効果のあった例が多く健常者が日常利用してもメリットは薄いでしょう。

しかし携帯酸素吸入器には、まだ広告されていない大切なメリットがあります。

風邪や肺炎、喘息、ウイルス性感染症などによって息が苦しいとき、病院にかかるまでの間手元にあれば助けになるだろう、というものです。

そしてコンパクトで簡便なこの道具は、自分だけでなく他の人に送って貸すことも容易だということです。

このような役割は筆者も想像していませんでしたが、記事執筆時点の2020年4月現在、ウイルスは猛威を振るっておりニュースは連日のように人工呼吸器の不足を報じています。

今でなくともいつかまた来るウイルスや有事に備えて、あるいは病院へすぐかかれない状況に陥るときに備えて、人任せにせず家庭で準備しておくことは、実は可能なのです。

これから記事でその選択肢を概観し、自分や周囲に合ったものがあるか探してみてください。このマイナーな道具の入手には注意点があるため、併せて解説しています。

携帯酸素吸入器3種 性能比較と種類別メリット

一般家庭で入手できる現実的な価格帯の携帯酸素吸入器は、廉価な酸素缶型、コンパクトな酸素ボンベ型、チューブ付きの酸素ボンベ型に大別されます。

それぞれのスペックは下記の通りです

酸素缶型酸素ボンベ型チューブ付き型
容量約5L約17L約17L
サイズ(マスク除く)8cm×25cm程度4cm×20cm程度4cm×20cm程度
重さ(マスク除く)130g程度400g程度400g程度
出力調整不可
残量表示
(製品による)

(製品による)
酸素純度95%程度99.5%以上99.5%以上

酸素缶型 格安な携帯酸素吸入器

酸素缶型 格安な携帯酸素吸入器

携帯酸素吸入器で検索すると一番多く見つかるのがこのタイプで、値段が安く選択肢が豊富なメリットがあります。

カセットガスコンロのガス缶に噴射口が付いたような形状をしており、普通は吸入用のマスクがキャップ兼用で付属し、すべて使い捨てです。

容量は製品にもよりますが、約5Lです。

たまに同サイズでもっと沢山入ったタイプが見つかるのですが、薄い缶と簡易な噴射口でガス圧に耐えられるか、漏れがないか怪しいため避けた方が無難です。

容量5Lとは連続使用約2分を意味します。運動直後などあくまで短時間のリフレッシュ目的の利用には十分です。

しかし有事に長時間の利用を期待する場合は、少々心許ない持続時間がデメリットになります。ボンベ型が手に入らない時のつなぎや、お試しには良いかもしれません。

酸素ボンベ型 大容量コンパクトな携帯酸素吸入器

酸素ボンベ型 大容量コンパクトな携帯酸素吸入器

小さなボンベに別パーツのバルブとマスクを取り付けるタイプです。重さは未開封500mlペットボトルより少し軽いくらい、サイズは麵棒を半分の長さにした位で、鞄に入れて携行可能です。

使用時はマスクを取り付け、ダイヤルバルブによって流量が調整できます。また製品によっては酸素残量が表示されます。

酸素缶より高濃度に圧縮された酸素が入っており、容量は17Lで、これは連続使用8分程度に相当します。

ダイヤルバルブが便利で、吸う時に必要な量だけバルブを開放して使うことができるメリットがあります。例えばバルブを半開きにすれば、連続使用時間は2倍の約16分になります。

必要量は個人差やその時の状態によって異なるので、調整機構は結構重要です。大型のマスクとバルブ調整でかなり酸素ロスを少なく効率的に使用できます。

なおマスクは取り外して携行できますが、バルブは一度ボンベに取り付けてしまうと、後は使い切るまで外せません。外すと酸素の残量が全て放出されてしまいます。

筆者も今はこのタイプを使用しています。スペアボンベを用意しておけば、有事に自分一人でなく困っている人に貸し出すといった使い方も含めて、様々な場面で役立つ助けとなるはずです。

チューブ付き型 寝ながら使える携帯酸素吸入器

チューブ付き型 寝ながら使える携帯酸素吸入器

先ほどの酸素ボンベ型と重さや大きさ、仕組みはほとんど同じですが、ボンベに直接つけるマスクの他に酸素チューブ付きマスク、カニューラという直接鼻に挿入するチューブがセットになっています。

酸素濃度は純酸素(99.5%以上)で、酸素自体とボンベが洗浄処理されており、機器はクラス1の一般医療機器扱いですが個人で容易に入手できます。

酸素チューブ付きマスクがあると、重いボンベをずっと持っていなくても、脇に置いたまま使えるため寝ながら長時間使用できるメリットがあります。

また、カニューラがあるとボンベを鞄にしまったままカニューラチューブだけ伸ばして移動しながら使うといった使い方が可能になります。

携帯酸素吸入器 種類別注意点

携帯酸素吸入器はマイナーな道具で一般市場の評価が少なく、入手にあたってはそれぞれ固有の注意を要します。

酸素缶型の注意点 品質をチェックする

酸素缶型は種類豊富で入手容易ですが品質の劣るものが散見されるため、なるべくブランドの確かなものを選ぶよう注意が必要です。薄い缶でやたらと高圧高濃度を謳う製品は要注意です。

昔は真空断熱タンブラーなどの製品技術で有名なサーモス / Thermos 社の製品で酸素缶タイプがあったのですが、今は廃盤となってしまいました。

他に頼れるブランドの製品として、キャプテンスタッグ / CAPTAIN STAG 社の M-9820リフレエアー が挙げられます。

酸素濃度は公称95%、アウトドアのブランドメーカーであり品質は良いです。登山を趣味とする方には既知の品かもしれません。

あるいは 岩谷産業 / Iwatani 社の NRS-1ピュア酸素缶 も供給が続けられています。

カセットコンロで有名なメーカーで、もしかしたらご家庭のコンロやボンベにもIwataniのロゴが見られるかもしれません。

いずれも航空機には持ち込めないので留意ください。

酸素ボンベ型の注意点 ボッタクリ転売品に気をつける

酸素ボンベ型の注意点 ボッタクリ転売品に気をつける

酸素ボンベ型は特にウイルスのシーズンに品薄傾向で、悪い時は定価の2-3倍程度に達するたいへん高額なボッタクリ転売品が出てきます。買う前に定価をよく調べ、急がないなら正価の品物が出るのを待った方が良いです。

こちらも昔は非常にコンパクトで価格も手頃なレスピアという製品があったのですが、廃盤となってしまいました。対応するボンベだけはまだ供給があるようですが、いつ終わるか分からないので今はもう避けた方が良いでしょう。

今だと選択肢はほぼ一択で、日本炭酸瓦斯 / NTG 社の スポーツ酸素DX という製品が定番です。

スポーツ酸素D

ちなみに筆者が使用し、記事の写真に載せているのはこの製品の旧モデルで、スポーツ酸素Dという品です。

DXとの違いは主に付属マスクの数(DXは3個、Dは1個)と、酸素残量表示(DXは有、Dは無)で、それ以外は共通です。

スポーツ酸素DXもDも、ボンベもマスクも共通規格で互いに利用できますなので旧モデルのDを安く入手できるチャンスがあれば、検討に値します。

NTGはずっと安定してボンベを製造供給し続けてくれているメーカーです。2020年4月現在、人工呼吸器が不足するような有事の際は特に品薄になりますが、みたところ特にバルブが品薄になり、ボンベは比較的供給が続く傾向にあるようです。

従ってバルブ付きの基本セットだけ正価のときに入手しておき、追加ボンベは必要になってから買うことにすれば初期投資を抑えられます。

なお航空機には持ち込み不可です。

チューブ付き型の入手方法と注意点 保険適用にはならない

チューブ付き酸素ボンベ型はクラス1医療機器扱いなのですが、健康保険は適用できません。ほぼ定価で買うよりほか方法はありません。

しかしあまりにもマイナーな製品のため逆に品薄になりにくく、価格が安定しています。大抵の場合すんなり定価で手に入ります。定価自体が高額ですが。。

このカテゴリは先ほどと同じNTG社の活気ゲンOQもしくは、活気ゲンⅡという製品が主な選択肢になると思います。他の物は完全にプロ用でサイズも価格も大きすぎます。

活気ゲンOQとⅡの違いは酸素残量表示(OQは有、Ⅱは無)、携帯バッグ付属(OQは無、Ⅱは有)、スタンド付属(OQは有、Ⅱは無)の差です。

ただ、バッグは大きくて目立つデザインをしており、あまりこだわる必要はないでしょう。

スタンドはボンベを置いて使うときに多少便利ですが、代わりの方法はいくらでも自作できるとは思います。

Ⅱが旧品番でOQが後継品に相当するため、徐々にⅡは入手が難しくなっています。

いずれも航空機には原則として持ち込み不可です。正当な理由で必要な場合は航空会社のサイトから所定の手続きを踏めば持ち込める場合はあります。

酸素ボンベの消費期限

酸素缶型は消費期限が公称されていません。噴射口が最初からついていて完全密閉されておらず、あまり長期の保管には向きません。

酸素ボンベ型は高圧に耐えられる肉厚のボトルに、完全密閉の封がなされており公称消費期限は5年です。

ただし酸素ボンベ型であってもボンベにバルブをつけた後は完全密閉とは言えない状態になるので、早めに使い切る必要があります。

携帯酸素吸入器の存在と選び方を知っておこう

携帯酸素吸入器には人工呼吸器ほどの能力はなく、代わりにはなりません。ただこの道具は、息が苦しい時で病院にすぐかかれないとき、あるいは社会に人工呼吸器が不足する状況においては自衛のつなぎになります。

身近で必要な状況にあるのでなければ、今すぐ所持する必要はありません。

しかし少なくともこんな道具があることを前もって知っていれば、いざの時素早く適切なものを選んで、自分だけでなく他人に届けて助けることもできるでしょう。