まな板を買い替えようと思って検索すると、ランキング10選20選などと果てしない広告の海に放り出されます。真偽を比較検討するのは骨が折れるし、複数持ちは面倒でお金がかかり嫌ですよね。
ではこの問題を解決する、至高の一品は無いのかというと、あります。しかしどういった製品もそういう宣伝をしてくるでしょうから、見分けられません。
そこで過去当サイトでは、物質の持つ物理的な性質=物性 という揺るぎない指標を使って、広告ステマを完全無視して良品を見つけ出す方法を連載しました。
この記事ではその方法を使ったまな板選びの具体例を、筆者自身が超長期間使用してきた実体験とともに例示しています。ご参考ください。
現代最新のおすすめまな板 1選
広告ステマに惑わされずじぶんにとって必要なものを見つけ出すには、求める最優先機能を再確認することと、それを広告スペックではなく物の本質=物性によって叶えれば探し出せると、方法編の記事では紹介しました。
以下はその方法を具体的に使った実践編としてお届けしています。もしもあなたにとって、まな板に求める最優先機能はこの記事で言っていることと違う、と思ったら、方法編の過去記事よりご自身の目的にふさわしい物質を探しなおしてみて下さい。
まな板に一番大切なことは何か
まな板に一番大切なことは、包丁を刃こぼれさせず切りやすいことです。こんな当たり前のことでも、良いまな板を探そうと頑張る人ほど、傷つかないとか防カビ、おしゃれといった宣伝スペックに囚われ見失ってしまうことがあるので、再確認しておきましょう。
包丁を刃こぼれさせにくいかどうかは、自称クチコミや広告スペックに関係なく 硬度という物理的性質で決まります。硬度5 包丁 よりも柔らかい、硬度2以下 木、プラ、ゴム(エラストマー)まな板 の中にしかありません。
特殊な包丁をお持ちの方など、硬度について詳しく知りたい方は 食器と調理器具に傷をつけない無料の方法【素材の硬度一覧】 をご覧ください。ここでは割愛します。
食洗機と調理熱に耐えられるか
木、プラ、ゴムエラストマーは、どれも火に弱い物性です。
プラやゴムはどんなに人工技術で耐熱強化し、広告宣伝していてもせいぜい130℃までです。石油から生まれて来たゆえに、火熱に弱いという物性を逃れられないのです。
これでは食洗機は良くてもコンロのそばで使えません。熱々の食品を載せて切るのも抵抗があります。ちょっとした不注意ですぐ表面が溶け食品に付いてしまいます。
核心的利益は、古典素材木材の中にあります。私たちは木が燃えるのを知っていますから、木が熱に弱いという思い込みがあります。
木材の耐熱性は、昨今の建築技術においても大きく見直されてきており、今まさに法改正もなされている最新のトピックです。
同じことを、まな板の耐熱性において求めてみるのは、馬鹿げた試みではありません。詳しくは 食器調理器具素材の選び方、使い分け目安【素材の物性比較表】 をご覧ください。ここでは割愛します。
汚れと熱に強く美しい最新の木製まな板
ハードボードまな板は、セルロースつまり天然木の繊維を原料とした、BPAフリーの木製加工まな板です。国内では目新しいかもしれません。樹脂強化により 硬度2 程度に上昇します。
アメリカ製 / 100% made in the USA で、家庭のみならず業務用厨房でも使用されています。
NSF(米国衛生基金)による第三者機関認証があり、食品安全樹脂で隙間なくプレスされた製品で、食品に触れる品物として必要な安全性を担保しています。
素材は本質的に木製ゆえ、包丁が当たった時にまな板自身の側が傷つくことで刃を保護して刃こぼれさせにくい物性です。
しかしながら、人工技術で木質繊維を超高密度に隙間なく固めてあり、汚れやカビの入り込む隙間がありません。傷はついても表面だけです。
つまり、ステンレスシンクのように、使い込むにつれて細い擦り傷が全面に入った状態にエイジングされますが、機能と衛生に支障なく美観もそこまで損ねないという特性があります。
毎日使用8年後の状態
上記写真は、このハードボードまな板を8年毎日使い込んだ筆者の所持品です。自慢できることではないですが、まるで手入れも気遣いもせず、食洗機以外で洗ったことがありません。でも汚染も臭気も未だ残っていません。
魚の臭気は食洗機2回洗いで落ちます。1回だと残ります。
最近類似品の安物が爆発的に増えましたが、筆者の知る限りこれが元祖で、長い年月を超えて残った超ロングセラーだと思います。
耐熱176℃
米国公式サイトによれば、耐熱温度は176度。食洗機はおろか食品の多少の熱をものともしない十分な耐熱性能があります。
ハードボードまな板はほぼ手入れフリー
基本的に食洗機で洗うだけのメンテナンスフリーですが、洗ったあとは立てかけて乾かす必要があります。食洗機内に立てかけて洗った後そのまま庫内に放っておけば、それで問題なく乾きます。
筆者は一度も経験がありませんが、立てかけて乾かさないと反る場合があるので、その時は反った時と天地逆にしてもう一回濡らしてから乾かせば戻る(Counter Warping)と公式で紹介されています。
手洗いする場合、クレンザーやジフのような研磨剤入りの洗剤を用いてはいけません。普通の食器用中性洗剤が適します。
材質は紫外線に反応する性質があり、太陽光に長時間当てると緑青風のエイジングが全体に進むものの、機能に支障ない旨が公表されています。
製品のバリエーション
国内では取手付きタイプの形状バリエーションも選べます。筆者はシンプルなボードタイプを使っており、フラットに置いて両面使えるメリットがあります。迷った時は、物事をシンプルに保つ方をお勧めします。
色は国内だと黒茶2色からしか選べません。ほぼカビないので、傷の視覚的性質を考えると茶色の方がお勧めです。筆者が持っているのは昔あった焦茶タイプで、今は買えません。
サイズはS,M,L,XLの4種が入手可能で、筆者はMを使っており通常調理に過不足ありません。大体、MサイズでA4ノートと同じくらいです。迷うなら食洗機に収まる範囲で大きい方を選べば失敗が少なくなります。
まな板の悩みから解放されよう
ネットでまな板を取り巻く素材や情報がこれほどまでに多いのは、どのまな板にも長所短所のスペックがあるからです。
するとだんだん、どの長所が最優先だったか分からなくなって、どうでもいい細かいスペックをたくさん備えたものがよく見えて来たりします。
スペックとは企業が自称する広告です。不利な要素は小さく表示するという選択をすれば、企業は嘘をつかなくても隠し事ができます。
でも、まな板のように単純な製品は、何をどんなに隠し、メディアにオススメさせても、素材そのものの持つ本質がものを言います。生まれながらに刃より柔らかく、熱に耐え、食品に触れて安全な物質は何か?
記事ではその一例を紹介しました。おしなべて優良な物性で作られた板ならば、気遣いしなくても今まで通りの使い方をするだけで、汚れや熱の問題を自動的にクリアできます。
まな板の悩みを解決するために、似たような品をいくつも使い分けたり、熱い食品に気遣ったり、漂白剤を買い求めたり、カビても削れるっていうから買ったけど、そういえばこれどうやって削るんだ?みたいな、かえって面倒な思いをする必要はもうありません。
そう、一番大切なことはあくなき探求を続けることでなく、より確からしい道具を手に、今日の晩飯をどうするかだったはずです。
早いとこ問題を片付けて、いつもの包丁を片手に魚でも熱い肉でも、何も悩まずどんどん調理できる環境を手に入れましょう。食べ終わったら食洗機に放り込むだけです。
おまけ
この製品の副次的な価値として、薄く、軽く、おしゃれな点があります。この長所を活かして、木製のカッティングボードテーブルとして拡張する使い方があります。
飲む時のツマミ皿や、アウトドアの浮きテーブル、ボードゲームの空中お菓子テーブル等として展開できます。買ったあと興味があれば、楽しんてみてください。
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