「CMで見たゴリラウッドグルーってどこがどういいの?他と何が違うの?」
「メーカーサイドの売り込み情報じゃなくて、メリットデメリットをドライに知りたい
こんな疑問にお答えします。
筆者は タイトボンドⅢ DIYにベストな進化形木工ボンド でタイトボンド3という接着剤を多数の実験を交えて特集しました。この接着剤とゴリラウッドグルー(gorilla wood glue)とは価格帯や性能が大変似通っています。
そこで今回も単なるいちDIYユーザーの立場からゴリラグルーの性能を検証し、さらにタイトボンド3と比較してどっちが良いのか検証してみたいと思います。
先入観を持たず、かつはっきり双方互いに劣っている点についても言及していきたいと思います。
使用目的の決まっている人にも、ざっくりDIYなど幅広く使いたいと思っている人にも、結局どの接着剤を選択すればよいのかあなたの判断の助けとなるよう記述しました。ご参考ください。
ゴリラウッドグルーとタイトボンド3の性能比較検証
タイトボンド3のときもそうでしたが、例によって国内販売代理店の提供する情報は本来の性能情報を大幅に省略して紹介しており、あまり判断の参考になりません。
そこで今回も 米国公式サイト の抄訳を交えて基本性能を徹底比較検証します。公式サイトにも不足する情報は、 MSDS という安全データシートの記述を引用したので記事中で明記します。
とはいえそこまでマニアックに知りたい人もなかなかいないと思いますので、急ぐ方は単にまとめの項を読んで自身の目的に照らし選択に役立てていただければと思います。
ボトルキャップ形状と成分
タイトボンド3の長所であったボトルキャップ形状ですが、ゴリラウッドグルーも完全に同一形状をしています。
キャップがそのままハケとして機能し、かつ外れないのでなくす心配もないという、接着剤ボトルキャップ形状としては理想的な最終形といえるものです。
成分については、 酢酸ビニル樹脂45%、その他6%、水49% となっています。
酢酸ビニル樹脂は溶剤を用いない接着剤基材として一般的なもので、身近なところだとコニシの木工ボンドと同じです。
ゴリラウッドグルーとタイトボンド3共通性能
まず、ゴリラウッドグルーにもタイトボンド3にも双方共通で公開されているデータを比較します。
この項の性能にほとんど差はありません。同等です。
表現は極力公式サイト情報そのままの直訳に努めました。推奨用途には、公式サイトに情報がなくても国内代理店サイトに情報があるものは記述しています。
太字で表示したVOCについてですが、ゴリラウッドグルーでは国内代理店サイトで 厚生労働省指針値策定の13物質不使用 という表現になっています。
詳しくはリンク先に記述されていますが、要はVOCと一口にいっても多様な種類があり、ゴリラウッドグルーではそのうち13物質にかぎり不使用ということです。
13物質以外のVOC含有量については、不明です。VOCがゼロだとは一言も表現されていません。
一方のタイトボンドは種別にかかわらずVOCに含まれるものは全て対象に検証し、検出量9g/Lとして公表しています。
ゴリラウッドグルーの特徴 タイトボンド3比較
つぎに、ゴリラウッドグルーにだけ公開されていてタイトボンド3には公開されていないが、筆者が実験調査して検証したデータがあるものを比較します。
これらの項目は公式に公開がされているぶん、ゴリラウッドグルーの方が親切といえます。
この項も性能上はほとんど違いありません。同等です。
ゴリラウッドグルーのメリット タイトボンド3比較
つぎに、ゴリラウッドグルーで公開されていてタイトボンド3で公開されていないデータを抽出します。
これはゴリラウッドグルーがタイトボンド3より優れているメリットです。
特徴的なのは防カビ剤配合を国内代理店サイトで公表していることで、これはタイトボンド3にはない優位性です。
ただし筆者のところでもネット上でも、タイトボンド3がカビたという情報はいまのところありません。
その他の特徴として、ゴリラシリーズは瞬間接着剤やテープなどのバリエーションが充実しています。タイトボンドシリーズはあくまで多目的な接着剤限定で、瞬間接着剤やテープはありません。
ゴリラウッドグルーのメリット その他のデータ
使用推奨温度は同等でしたが、使用可能温度は違いがあります。
ゴリラウッドグルーは最低-17℃からとされており、寒冷地で使用できる可能性があります。ただし温度変化が接着力にどの程度影響するかのデータは公開されていません。
あくまで使用可能温度であり、推奨温度ではないことに留意が必要です。寒冷地での使用目的には、寒冷地用に設計された別の接着剤を探した方が良いでしょう。
ゴリラウッドグルーのデメリット タイトボンド3比較
最後に、ゴリラグルーで公開されておらず、タイトボンド3で公開されている項目を抽出します。これはゴリラグルーがタイトボンドより劣っているデメリットです。
接着強度試験結果が公表されていないのは、接着剤としては心もとないところです。
特に温度と強度の相関は重要であり、 タイトボンドⅢ DIYにベストな進化形木工ボンド で特集したように剥がすときの利便性にも関わってきます。この点は公開されているタイトボンド3に優位性があります。
ゴリラウッドグルーのデメリット その他のデータ
このデータはなんとなく見過ごしてしまいがちですが、両者を比較するうえで決定的な差異といえるでしょう。
ANSIとは米国国家規格協会で、その木材接着における耐水性基準がType1や2などとランク付けされているのですが、日本国内には情報がありません。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
端的にいうとType1は完全防水、Type2は耐水性有、です。Type2より1の方が耐水性に優れており、Type1であれば屋外使用に何の心配もありません。
耐水性を期待するならばタイトボンド3に明らかな優位性が公開されています。
まとめ
以上、かなりマニアックに二つの接着剤を比較してきました。
ゴリラウッドグルーのタイトボンド3と比較したメリットデメリットを簡単にまとめると、
- メリット:防カビ剤配合
- デメリット:耐水性に劣る。強度試験データがない。
となります。一般に接着剤へ期待される重要部分の性能的にタイトボンド3に優位性があり、今のところ流通の関係で通販ならば価格もタイトボンド3に優位性があるといわざるを得ません。
とはいえどちらも優れた接着剤であることに変わりはありません。
すでにゴリラウッドグルーを持っている方は、屋外で雨ざらしの場所や、あとでドライヤーで剥がしたいなどの要望がないのであれば、性能的にほとんどタイトボンド3と大差ありません。
細かい違いは気にせず便利なボトルキャップ付きのゴリラウッドグルーを、どんどん活用しましょう。
これから汎用性に優れた接着剤を買いたいと思っている方、あるいは使用目的の決まっている方にはどちらも、タイトボンド3をチェックしてみることをお勧めします。
木工以外にもかなり幅広く使え、特にDIYに最適です。タイトボンド3の基本データは タイトボンドⅢ DIYにベストな進化形木工ボンド 、筆者の実験データは 食器に使える接着剤 タイトボンド応用4例 にあるので併せてご利用ください。
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