廊下の天井などにある電球ソケットに引掛シーリング照明器具等を取り付けたい場合は、この記事の方法で、特に落下に対する安全に配慮し簡単に変換することができます。
変換だけなら簡単だけれど、器具が重くて抜けてしまうとか、賃貸だし面倒だから天井を加工したくないとか、ソケットと離れた位置に器具を吊りたいといったケースにも対応できます。
古い賃貸などで、天井に電球ソケットしかないけれど、使い慣れたシーリング照明を付けたいとか、ペンダントを吊り下げておしゃれにしたいという場面などに覚えておくと役立つでしょう。
電球ソケットから引掛シーリングに変換する安全簡単な方法
電球ソケットから引掛シーリングに変換するだけなら、E26セパラボディ と コンセントシーリング変換アダプタ を使いますが、これだけでは天井にコンセントが刺さっているだけ状態になるので、そのまま照明器具を吊ると抜けて落下します。
電球ソケットが直径26mm(E26)じゃなかった場合
E17(直径17mm)電球ソケットだった人は、E17凸E26凹変換ソケット、E11(直径11mm)だった人は E11凸E26凹変換ソケット、電球が横とか斜めに刺さっているようなダウンライトだった人は 斜方ソケット を噛ませてから、それぞれ同様に変換できます。
対策は簡単で、器具を吊り下げたい位置の天井に トリプルアンカー を打ち、そこへ コンセントシーリング変換アダプタに付属する8の字フック を掛け、吊りたい器具のケーブルを通して吊るだけです。なお、付属のフックビスは現状復旧できないので原則使いません。トリプルアンカーを用います。
元々の電球ソケットのすぐ隣でも良いですし、5kg引掛シーリング1m延長ケーブル で延長して遠くに吊ることもできます。
8の字フックを通してから吊り下げ照明器具のケーブルで直接吊る方法自体は、パナソニックなど吊りアダプタ製品メーカーが公式サイトに案内している吊り方でもあります。一般に、吊り下げ照明器具の引掛シーリングケーブルは3〜5kg以内で自身の重さを支えられるように設計されています。
トリプルアンカーは9本の押しピンを斜めに刺して垂直落下を防ぐ、天井用に設計された特殊な天井アンカーピンで、メーカー公式の耐荷重は5kgです。
吊りたい照明器具の重さは、未購入なら商品説明にあります。所持品なら手に持って体重計に乗ってから自身の体重を引き算すると簡単に計測できます。
戸建てでもマンションでも、最近の建物は大半の天井が厚さ9mmないし12.5mmの石膏ボードです。ほとんどの人は適用できるでしょう。ボードの厚さだけで重さを分散し耐える設計なので、天井下地を探したり狙う必要はありません。下地探しの道具を買う必要もありません。
抜いた後は押しピン程度の穴しか残らないので、賃貸でも支障なく使えるでしょう。
天井が石膏ボードじゃなさそうな時
壁と同じようなクロスが貼ってある時や、真っ白な塗装の時は、手の甲で叩いてみてください。ポコポコ軽いなら下地は大抵石膏ボードで、OKです。稀にクロス用ベニヤなどで硬すぎた場合は後述の木材天井の案内を参照してください。
叩いてゴツゴツ重いならコンクリートです。コンクリートの場合はコンビスかプラグアンカーが必要になります。トリプルアンカーは通用せず、現状復旧もできなくなります。
ポコポコ軽いけどこんな風に変な模様になっている場合は、脚立を使って模様の奥をよく覗いてください。下地が木の場合は、木部が模様の穴から見えます。古い木造でたまにあります。
木材は石膏より繊維が強く、ピンが貫通しづらくなります。プッシャーを使ってどうにかねじ込むか、完全な復旧は諦めて8の字フックに付属していたビスフックを使うと解決できます。ネジ穴はタイトボンドで茶色に埋め戻せます。
こんな風に明らか木造天井の時も対処は同じです。貫通してみてあまりに薄くもろすぎると感じた場合は、手控える必要があります。
同じように変な模様だけど木部が見えない場合は、岩綿吸音板か化粧石膏ボードです。住宅よりも事務所や倉庫に多い傾向です。どちらでもアンカーピンが通用し、公式の説明書通り設置できます。
引掛シーリング直付け照明器具の場合
吊り下げケーブルがなく、引掛シーリングに直付けで取り付けるような器具、例えば単なる天井シーリング照明などの場合は、5kg引掛シーリング0.5mケーブル を使って強制的にワイヤー化し、あとは前記までと同様にできます。
このショートケーブルはそれ自身が耐荷重5kgあり、照明器具の吊り下げ給電に直接使えます。8の字フックから下げるケーブル長を最短にすれば、天井にほぼピタッと取り付けられます。
引き紐の器具は対策する
引き紐を引っ張るような照明器具は、来客含めて誰も紐を使わないように外すか畳んで隠しておく必要があります。最初だけそっと支えながら引っ張って点灯状態にし、あと紐を外せば以降は壁のスイッチでオンオフ制御はできます。
引っ張り荷重は引き方によって際限なく重くなる上、器具の重さと重複して加わるため天井への負担が大きく、しかも万一落下したとき真下に人がいるからです。
あくまでDIY手法なので、ピン打設の手際や天井の劣化状態によって期待した耐荷重が得られない確率も考慮しておいた方が良いです。どの程度考慮するかはケースバイケースですが、落下の絡む今回のようなケースでは慎重な道をお勧めします。
簡単に天吊りしよう
天井のソケットに電球以外のものを付けたいなと思って検索したり、人に聞いたりすると、重い器具を吊るなとか天井を加工しろとかラブリコディアウォールで支えろとか業者工事せよなどと突き放されて、望みが詰んでしまった人は少なくないでしょう。
確かに、単純にソケット変換するだけでは重さによる抜け落下の問題があり、慎重に取り組まねばなりません。しかし、それは突き放されるほど困難な障害ではなく、記事の通りパターン別に整理してみれば極めて簡単なことです。
問題が解決したら、あるいは何気なく読んだ人も、こうした天吊りのスキルが身についたことを覚えておきましょう。なにか、素敵なアイデアにつながることもあるかも知れませんよ。
いつかあなたの新しい照明と天吊りのアイデアを、当サイトの他の同カテゴリ記事も見つつ、楽しんでみてください。
おまけ:ソケットから引掛シーリングに一発で直接変換する道具は無いの?
記事のようなセパラボディ+コンセント引掛シーリング変換アダプタ+トリプルアンカーフックを用いたDIY方法でなく、電球ソケットに直接挿して真下で引掛シーリングに変換できるようなアイテムは市場に存在しません。それには理由があります。
日本では法令等により引掛シーリングには耐荷重5kg前後が備わっていますが、電球ソケットにそうした法令はほぼなく、文字通り電球を付ける程度の耐荷重しかありません。
耐荷重のない電球ソケットを直結で引掛シーリングに変換して、5kgの重い引掛シーリング器具を真下に直結してしまうと、根元の弱い電球ソケットに直接荷重がかかり、もげて落ちてしまいます。
変換技術的には簡単に作れても、法的物理的に適さないのです。引掛シーリングの耐荷重について詳しくは、近日公開予定の記事 引掛シーリングローゼット耐荷重の法的根拠とDIY注意点 を御覧ください。
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