
Apple Careは高い。なのでこれから買うApple製品に、延長保証であるAppleCareをつけるか否か迷っている。という人もいると思います。
そもそも保証をつけたとして、ちゃんと保証で直してくれるのか?仮にこっちに落ち度はなくても、開けて中をみて判断するのはAppleなので、なんだか不利な取引のような気もします。
などと考えていた矢先、筆者が使っているMacBookが壊れてしまったので製品1年限定保証を使って修理に出してみました。その体験記と、そこから学んだことをお伝えします。
AppleCareをつけるか否か迷っている方の参考になればと思います。
・2022年、米国にてSelf Service Repair開始:Apple公式のDIY修理プログラム。日本では未だ。先行評価例はバッテリー交換が70ドル→50ドル程度となっており、あまり割に合わない模様
MacBook修理体験記

1日目朝:画面が壊れる
筆者が朝いつものように画面を開いたところ、画面下端の映像が乱れる症状に見舞われました。
他の部分は通常通り機能しており、明らかにハードウェアの故障と思われる症状です。
残念ながら焦っていたので故障写真を撮っていないのですが。。その部分だけ壊れたゲームボーイの画面みたいな状態でした。
すぐにチャットサポートに問い合わせると、2、3の質問があり、その後セーフモード再起動を試すよう指示されます。が、やっても治らない。
そこまで来ると、修理に出すよう案内されました。この場合アップルストア等に持ち込むか、配送を選べます。筆者は急いでいたので持ち込みを選択しました。
持ち込みの場合、自分で日時を予約します。今回は運よく当日夜が空いていたので、すぐさま予約し持ち込みました。
重要なヒント:アップルストアと技術料
修理を依頼する際は、直営のアップルストアを使えないか検討してみましょう。アップルストアは2023.2月現在で全国に10店舗しかないので、あくまで可能ならばです。
というのも、Apple Store以外だと修理に「技術料」という追加料金のかかる場合があるからです。この事実はApple公式サイトにも「Apple 正規サービスプロバイダで修理する場合は、これとは料金が異なることがあります。」と記述されています。
例えばビックカメラやカメラのキタムラ、クイックガレージやアンドマーケットといった正規サービスプロバイダと呼ばれる窓口で修理依頼すると、技術料のかかる場合があります。
技術料は直す品と故障の内容によりますが、だいたい4,000円前後程度です。直営アップルストアで修理した場合はこのコストは原則かかりません。部品代のみで済みます。
ですから修理を急がないならば、配送を使ってApple Storeに修理依頼するのも良い方法です。
修理を急ぐとか相談したいとかで窓口を必要としていて、近くにアップルストアがない場合は、素直に技術料は諦めて正規サービスプロバイダのお世話になりましょう。プロバイダも窓口運営に経費がかかるため、名目はどうあれ必要経費です。

修理に出すとき、端末のデータは自己責任で事前にバックアップしておかねばなりません。
データを消さずに直してもらえる場合もありますが、保証はありません。必ずバックアップが必要です。
そう考えると、MacBookを買うときはSSDの容量をどうこう考えるよりも、外付けSSDドライブを真剣に検討しておいた方が良かったかもしれないと思いました。
MacBookのバックアップは、外部デバイスに対してしかできません。そのためです。
普段からデータも断捨離するタイプな人は、バックアップする容量が少なければ、iCloudなどクラウドに移すだけでも済みます。
1日目夜:修理に預ける

店舗のジーニアスバーというところで、チャットサポートの経緯を説明し本体を見せたところ即座にハードウェアの故障と断定されました。
修理に預ける前にデータのバックアップ確認とセキュリティ解除(「Macを探す」の解除)が確認されます。
すごい見積もりを見る
修理費については、一見したところ外部損傷がなく、筆者も特に壊したと思い当たる点がなかったため、保証修理となって無償になるだろうと案内されました。
ただし修理センターに送って中を分解した時、内容によっては有償修理となる場合があるので、その時は連絡がいくとも。
また、修理には1〜2週間かかるので、一旦持ち帰っても良いと言われました。
が、もちろん持ち帰る筈もなく即修理に出す旨伝えます。なお完了時受け取り方法は来店でなく配送を選択しました。
直るのが早いに越したことはないですが、それは他の人も同じです。自分だけ特別扱いしてもらおうと、こんなところでゴネても仕方ありません。割り切って納得し、修理を依頼しました。

だいたいどういう電気製品もメーカー保証は似たり寄ったりで、基本的に自然故障は保証の対象内、事故・過失による故障は対象外です。
Appleの製品1年限定保証も、規約は大雑把にそういう趣旨になっています。
最もよくある過失は、外部損傷と水没です。どちらも歴然とした証拠が残るので、持ち主に身に覚えがなくてもどうにもなりません。
水没は、分解すると分かるようになっており、多くは水分で色の変わるシートが内部封入されているパターンです。
ですから、風呂場など湿気の高すぎる場所で製品を使うのは避けた方が良いです。
水没していなくても、シートの色が変わる可能性がないとは言い切れません。
また、やたら狭いテーブルにコーヒーカップと同居するような使い方、つまりスタバもかなり危険と思われます。
ドヤしていい気分になった矢先、ぶちまけて阿鼻叫喚です。その落差たるやまさに地獄。シャレになりません。
修理見積46,300円の衝撃

最後に、修理見積書を提示されました。内容は画面修理。その金額は46,300円。
ここで取り乱すと猿なので落ち着いて書類を見ていくと、ちゃんと保証によって差し引かれ請求金額は0円になっていました。
紳士にやり取りを終え、店を去ります。
見積もりの意味を考える
ここまでの体験を総合すると、要するに下記のことが言えると思います。
- 修理センターで過失が発見され、保証外の有償修理となった場合、46,300円が請求されると思われる。
とはいえこちらには身に覚えがない以上、もしもこのあと単に何らかの理由で保証外だと修理センターから伝えられても、議論は平行線です。
過失を証明する証拠、すなわち明らかに外力によって物理的に損傷したと分かる写真や、水没シートの写真などが提示されない限りは絶対に妥協できません。
その時が来たら長い時間を覚悟せねばならないと思いました。
2日目:修理状況ステータスが発送になる
預けたあとは、ネットで修理の進捗を確認できます。預けて翌日には、ショップから修理センターへ発送されました。
3日目:修理センターに届く

センターに届くと、修理状況ステータスが検査中に変わります。
ここから、この表示のままずっと変化しませんでした。待つしかありません。
7日目:発送される

7日目の夜、いきなりステータスが発送になりました。もしかしたら見てない間に段階を踏んでいたのかもしれません。
この日は休日でした。休日でも稼働して、休日に発送したということです。なんと殊勝なことか。。
8日目:手元に戻る

発送ステータス通り、発送の翌日には筆者の自宅に修理品が届きました。
総費用は0円、期間は1週間で、この修理体験は終わりました。
製品1年限定保証とAppleCare比較
保証の価値を考える
今回は保証が効いて無償修理になったので、保証の価値はあったといえます。
今回筆者が適用になったのは、Apple製品なら必ず付いてくる、製品1年限定保証というものです。
追加料金を支払ってつける、AppleCareとは別のものです。下記比較表をご覧ください。
保証一覧 | 自然故障 | 事故・過失 | バッテリー交換 | 保証期間 |
Apple製品限定1年保証 | 無償修理 | 有償修理 | 有償交換 | 1年間 |
AppleCare | 無償修理 | 減額修理 | 条件付き無償交換 | 3年間 |
今回の経験を通して分かった、AppleCare最大の価値とは、保証期間が3年間に伸びることです。
事故・過失は減額にすぎない
AppleCareした場合でも事故・過失の場合は修理が減額になるだけで、無償にはなりません。なお、2022.9.7.規約改訂により、回数は無制限になりました。
今回のような画面故障なら12,900円で済むようになります。さっきの見積もりだと保証なしの修理費は46,300円だったので、AppleCareの保険料23,800円と合わせても一撃で元が取れるほど安くなる計算です。
ここまで聞いてじゃあお得なのねと思う人は多そうですが、そういう人はすぐ目を覚ましましょう。
結局この場合でも1回の過失故障に保険料23,800と減額修理費12,900円の合計36,700円も払っていることになるので、別に得でもなんでもありません。錯覚です。正しい理解は、「そもそもの修理費が高すぎる」です。
2023.2月現在、保険料は27,800円に値上げされています

バッテリー交換保証はMacBookの場合微妙
AppleCareのバッテリー保証は3年以内に性能が80%を切った場合、無償交換されます。
容量が少なく充電頻度の高いAirPodsやAppleWatchなら必須の価値ですが、MacBook M1はそもそもバッテリー容量が多く相対的に劣化が遅いので、勝てる賭けかどうか微妙なところです。
参考:バッテリー劣化速度の実体験報告
2023.2月現在で、筆者が所持するMacBookAir2020M1は購入から2年半、iPhoneSE2は3年が経過したので、使用環境と共にバッテリーの劣化状態をご報告します。

MacBookは仕事にプライベートに毎日酷使し続けており、なるべく余計な発熱による劣化を避けるような使い方、充電を心がけていました。
2年半経過後の現在の時点で満充放電回数は398回、最大容量は83%まで低下という結果になっています。回数を逆算すると大体2日に1回満充電に相当するペースです。
現実的には、昔は3日に1回の充電で済んだものが、今は1、2日に1回の充電が必要になったということです。これをどう感じるかは人それぞれですが、筆者はこの充電頻度でも全くストレスを感じず変わらず快適にハードユースできるという感想です。
なお現行及び最近のMacBookは全て、内部的に満充放電回数をカウントしており、その上限値を勝手に1000回と定めています。
公式には、1000回を超えても使えるが、蓄電容量は最大80%に維持され、交換が推奨されるとあります。回りくどくて分かりにくいですが、1000回を超えると蓄電容量は最大でも80%までに制限されるということです。
以上の結果と公式情報をどう考えるかですが、まず1000回の制限については、1000回が過ぎるとそれまでの劣化と制限も相まって急激に頻繁な充電が必要になり、使用に耐えない状態になると思われます。
ハードユース2年半で400回でしたから、逆算すると1000回までは6.25年になりますが、実際は1回満充電あたりの持続時間が劣化により悪化していくので、充電頻度はどんどん加速し、もっと早く1000回に到達することになります。
今2年半で約20%最大容量が低下したことを勘案すると、1000回までには筆者のハードユースで大体4年半ごろまでには達するだろうと思われます。その頃には最大容量が60%、毎日1、2回の充電が必要な状態に陥っているところへ、1000回制限が決定的なトドメを刺しに来ると予想します。
よってバッテリー保証のことだけを考えた場合、MacBookのアップルケアバッテリー保証(3年以内に80%以下なら無償交換)については以下を現時点で結論します。
毎日仕事とプライベート両方にハードユースする場合に限り、AppleCareのバッテリー保証規定も役立つ場面が来る
なおiPhoneですが、こちらも仕事にプライベートに、しかもMacのテザリングにまで酷使して3年目で充電容量は77%に低下し、交換を促される表示が出ました。
買ってすぐの頃は毎日1回の充電で済んだものが、3年目の最後には何度も頻繁に充電が必要な状態に陥り、明らかに体感で残量下落速度が速くなり、しかも残量10%程度で突然落ちるようなこともありました。数値は77%でしたが、体感は半分です。
しかしiPhoneの場合はAppleCareのバッテリー保証は2年以内に80%以下です。よって、iPhoneのAppleCareバッテリー保証は、役に立つ場面は来ないと結論します。
実際は運用状態や環境、機種によって当然異なるので、参考情報としてご活用ください。
AppleCareの核心的利益

AppleCareする肝心要の核心的利益は、保証期間3年間の延長対象が、自然故障の無償修理も含まれる点です。2021.2現在、確かにそういう規約になっています。
事故・過失でない自然故障に限りますが、今回体験記で、無償で助かったあの保証が、1年→3年間に伸びるということです。
不誠実なメーカーであればまるで無意味ですが、その懸念も今回払拭されました。
Appleの修理対応は信頼に値し、ゆえにAppleCareの追加も検討に値する。
その価値が、特に3年間の自然故障無償修理延長にある、と筆者は考えます。
AppleCareすべきか否かの判断基準
コストが価値に見合っているか考える
いくら価値があっても、コストは無視できません。
Apple Careの価格は製品によって異なりますが、筆者のMacBook Airの場合、税別23,800円です。
MacBookAir2020M1本体の最小構成定価は税別104,800円なので、保険料が製品価格の23%近くに達します。高すぎる。。
果たして保険がふっかけてるのか?逆に製品が安すぎるのか?最初はなぜこんなにApple Careが高いのか分からなかったですが、修理に出した体験によって答えが今回よく分かりました。
Apple製品は、そもそもの修理費が異常に高い。それを基準にすると妥当なApple Care価格ということになります。

画面故障で有償修理46,300円だったということは、MacBookAir2020M1なら1回の画面修理費だけで製品価格の約45%に相当するということです。2回直せば1台買い直したのとほとんど変わらない費用がかかります。
これがApple Care有りでも、さっきも述べましたが保険料23,800と減額修理費12,900円の合計に実質なるので、1回の故障修理くらいでは大して変わりません。
つまり何が言いたいかというと、Apple Careのコストと価値自体はトントンだということです。その上でつけるべきか否かは、下記のまとめに照らして判断することになります。
- Apple Careなしの場合、概ね2回過失で壊すと、1台買い直して使い捨てた状態と同じになる
- Apple Careありの場合、概ね4回過失で壊すと、1台買い直して使い捨てた状態と同じになる
- AppleCareをつけても、つけなくても、1度でも壊せばかなり割高なコストがかかる。物質的には直るが、経済的には2-4回以内に使い捨てに近づく
そんなの極論だろと一笑に付すでしょうか?自分自身が壊した時にもそんな風に言えたらどんなに気が楽かと思います。
大切なのは、この事実から目を背けず直視してMacを買うことだと思います。保険をかけても、かけなくても、1度でも壊せばかなり割高なコストがかかる。
そして、自分は3年間で、何回壊す可能性があるだろうか?と考えてみてください。そうすれば、先程のまとめに照らして次のことが言えると思います。
3年間で2回以上過失で壊すと思うなら、AppleCareは付けた方が良い
事前にコストと価値をよく理解していれば、知らずに買った人よりずっと大切に扱えるようにも、適切な選択をできるようにもなるでしょう。筆者の経験をお役立て戴ければ幸いです。
なお購入はAmazonの方がギフト券などが使え得で、AppleCare+も同時購入できますから、以下より構成をチェックしてみてください。
おまけ:MacBookを買ったら
MacBookを買い、AppleCareを判断したらもうこの記事に用はないと思いますが、ブックマークしてまた遊びにきてください。
筆者はMacBookAirM1を買い、自作の鞄で1日中使い込んでいます。どこへ行くにも一緒で、仕事にも記事執筆にも1日10時間くらい酷使しています。ですから、楽しくて新しい、どこにもない有益な情報をきっと提供できます。
Airの場合は隠された高速充電ポテンシャルがあります。解放する方法は下記をご覧ください。
オリジナルPCバッグは下記をご覧ください。筆者のオリジナル製品販売ではなく、あなただけのオリジナルアレンジを自作DIYできるという意味です。
筆者と同じようにこのマシンが気に入ったなら、以下を読んでください。あなたとMacの生産性をきっとさらに30%くらい上昇させてくれます。
楽しいMacライフを!
おまけ2:AppleCareの転売
AppleCareには、一括払いで購入した場合に限り、その権利を1回だけ第三者に譲渡できるという規約(※リンク先10.本プランの譲渡 参照)があります。ちなみにMacだけでなくAirPodsやiPhone、iPad、AppleWatchやHomePodなど主たる他のApple製品にも同様の規約があります。
メルカリなどで売却を考えているなら、リセールバリューの向上に役立ちます。買い手からするとメルカリでApple製品を買う時の大きな不安は、偽物や故障に対する保証です。
公式の保証であるAppleCareが付いてくるのなら、これら買い手の不安は一掃され、本物の証明ともなります。ライバル商品よりも速く優位に売れるばかりか、より高く売ることも可能になるでしょう。
あなたがもしも売却の可能性を考慮しているなら、AppleCareの譲渡が可能であることについても知っておくと有利です。
読者コメント
こんにちは。
M2MacbookAirを購入し人生初Macです。現在21日目です。
そろそろAppleCare+への加入期限が近づいており検討していた所、当記事を拝見しました。
実際の修理費や無償修理期間の延長など、色々参考になりましたので加入することにしました。
WindowsラップトップPCも3年延長保証に加入しています。ラップトップやモバイルPCは壊す・壊れる確率がデスクトップ機より高いので、結果的に使わなかったとしても、やはりかなと判断しました。
こんにちは。
M2ですか良いですね!私もM1Airから人生初Macでした。
この恐るべき修理費の実態こそ、保険検討に必要な情報ですよね。
過失確率は個々人によるので記事では参考にとどめましたが、ツチノコさんの言う通りモバイルの方が据え置きより壊す確率が高くなるのは普遍的で分かりやすいので、きっと他に迷っている読者の参考になる考え方だと思います
ところで話変わりますが、21日目のツチノコさんにお知らせしとくと、お気に入りの音楽をMac本体スピーカーで聴いてみることをお勧めします。きっと、あなたをもっと嬉しい気持ちにさせてくれるでしょう。。楽しんでください