MacBookAir M1には30W充電器が付属してきますが、実際はより適切な充電器を選べば最大約45Wで高速充電することができます。
問題はその方法が安全なのかどうかです。ここではまず、61Wの上位Apple公式充電器を使って、45W充電に事実上公式に対応しているのかを検証します。
次に、サードパーティー充電器のうちから45W高速充電に対応する、よりコンパクトな物を探していきます。
なお、モバイルバッテリーについては MacBookM1運用記と電力検証 モバイルバッテリーのおすすめ をご覧ください。
45W充電は公式にサポートされた安全なものなのか
Appleは、自社上位充電器を下位の端末に使用しても問題なく使用できると公式にサポートしています。
例えば上位のMacBookPro2020M1に付属してくる61W充電器を、下位のMacBookAir2020M1に使用しても問題ないということです。問題ならリコールものです。
では、接続してみましょう。Pro付属の公式61W充電器と、同じく付属のケーブルを使います。
Apple61W公式充電器を接続すると、45W充電される
接続したところ、20.0V、2.30A、約46Wで充電されることが確認できました。公式61W充電器を使うと、自動的に45Wに低減されて安全に充電されます。
これで、公式の案内通り上位Pro用61W充電器を下位のAirに繋げても問題ないこと、さらにその充電速度は付属の30を超え、45まで高速に対応していることが、公式に担保されていることが確認できました。
MacBookAir M1は45W充電が公式にサポートされている
しかしご存じの通り公式充電器はデカく、重く、高価なものです。そこでサードパーティー製の充電器でより良いものを探し出すために、公式充電器の中身を詳しく見て、どういう条件ならより安全なものを見つけられるのか、調べてみます。
公式充電器を深掘りする
出力は20V3Aまたは20V2.3A付近
どんな充電器にも、それが余程ゴミな品でない限りは、その出力(充電パワー)が明記刻印されています。Apple公式なら尚更です。
今回実験に用いたApple公式61W充電器の場合は、上記写真の通り 20.3V3A、15V3A、5.2V3Aの3種です。最大出力は20.3V×3A=60.9 ・・・約61Wというわけです。電力W(ワット)とは、電圧V(ボルト)×電流A(アンペア)の掛け算で決まります。
いっぽう実際にM1Airをこの公式充電器で充電して流れたのは、測定値で20V2.3A(20×2.3=46 ・・・約45W)でした。
このことから、今から探すべき、公式に準じて安全な充電器の規格的条件は、以下と推定できます。
- 20.3V3A近辺の出力を有するか、20V2.3A近辺の出力を有すること。15V3Aではない。
45W公式充電器ならどうなのか
Apple公式では、2022年現在すでに45W充電器を販売終了してしまっているので検証ができません。あるのはMagSafe用のみです。
端子形状の条件はUSB-C to C
MacBook M1には、USB-Cによる接続と充電が公式にサポートされています。またUSB-C接続による高速充電には、きちんとUSB PDという規格が定められています。
それ以外は言及がありませんから、これが公式に最も安全確実な端子・ケーブル形状と言えるでしょう。
メーカーは公式推奨のサードパーティー
充電器のメーカーは無数にあり、製品は星の数です。口コミは千差万別で、中にはPDOやオシロスコープまで使い電流の波形まで調査している人もいます。
しかしもちろん調査者が全てを調べ尽くすことも新製品に追いつくことも、私たちがそうした調査記事を読み尽くすことも、叶いません。違うアプローチが必要と分かります。
ここではそれを単純に、Apple公式サイトで販売を承認されている充電器メーカーこそが、Appleによって十分確認された安全なメーカーであると定義し、冗長な調査に代えたいと思います。
これで、MacBookAirM1の45W充電を安全に行うために必要な、充電器の条件が以下に出揃いました。それでは、この条件の中からコンパクトで優れた充電器を探していきましょう。
もちろん、この先は読まずにあなたひとりで探し出すのでも構いません。下記の条件さえ守っていれば、きっと安全であなたの意に沿う品を見出せるでしょう。
MacbookAir45W高速充電できる、規格適合コンパクト充電器を探す
20V3Aに対応する安全なコンパクト充電器
最も高出力で安全なコンパクト充電器は、Anker Nano Ⅱ 65W という結果になりました。20V3.25Aの出力を有します。
MacBookAirM1は最大45Wの充電までしか対応していないので、オーバースペックです。
それでもあえて高出力を志向する人は、他に高出力を要するモバイル機器を持っているか、将来高出力のパソコンに買い換えるつもりが明白であるか、さもなくば複数端末を同時充電して電力を分配したい人です。
電力の分配を志向する人でも、安全性とコンパクトから軸足を外さないでください。これは利便性よりも優先させる条件のはずで、以下の最新機種が応えてくれます。
この機種は複数端末同時充電の場合、先に満タンが近くなった端末への無駄な供給を落とし、代わりに他の端末へ自動でパワーを分配してくれます。
Apple製品は充電満タンが近づくと充電速度が下がる
実際のApple製品充電においては、充電パワーが端末側で細かく制御されます。
今回記事冒頭のテストはバッテリー残量5%から開始しましたが、下記のように充電の進行に伴い少しずつ出力を低減し、バッテリーの劣化を防ぎながら充電する仕組みになっていました。
電池残量 | 充電入力 | 通算経過時間 |
5% | 46W(20V2.3A) | 0分 |
↓ | ほぼ一定 ※48%を境に減り始める | ↓ |
50% | 44W(20V2.2A) | 35分 |
↓ | 段々減る | ↓ |
60% | 32W(20V1.6A) | 45分 |
↓ | 段々減る | ↓ |
70% | 29W(20V1.45A) | 55分 |
↓ | 段々減る | ↓ |
80% | 22W(20V1.1A) | 70分 |
↓ | ほぼ一定 | ↓ |
90% | 22W(20V1.1A) | 85分 |
↓ | 段々減る | ↓ |
95% | 17W(20V0.85W) | 95分 |
最初の30分で一気に残量50%まで充電され、残り50%は1時間かけてゆっくり充電され、約1時間半強で概ねマックス充電完了です。
つまり、後半になるほど充電器から供給される電力は少なくて良く、それ以上に供給されてもオーバースペックで無駄になります。
ちなみにiPhoneも似たような制御になっています。最初の50%まで急速充電され、あとはスローダウンします。自分で検証したい時は、充電残量を5%まで減らしてからやってみましょう。
まともなブランドでとにかく安いUSB PDチェッカーも、探せばそれなりにあります。時間経過に伴って電流量が制御されるさまが観察できるので、自分の所持している端末の、前半の高効率な急速充電ができる時間が把握できます。
また、手持ちの他の充電器やモバイルバッテリー、ケーブルに、思わぬ高性能品や危険な電流量がないか見出したりするのに使えます。
20V2.25Aで45Wジャストフィットする安全コンパクト充電器
MacBookAirM1を45W充電するためだけに生まれてきたような、超コンパクトで安全な充電器は唯一つに絞られます。比類はありません。
上記の製品は記事で抽出した安全充電器の3条件に完全に適合し、問題なく45W充電を完了できます。またそれ以上でもそれ以下でもありません。それは余計な機能がなく最小コンパクトであるということを意味します。
NanoとAceの違い
2023年4月より、Anker Nano Ⅱ 45Wとそっくりな機種としてAnker Ace 45Wが発売されました。結論から言うとNanoⅡと同じです。その時のセール状況で好きな方を買うか、実績の安定したNanoを買っておけば良いと思います。
詳しくは下記の詳細比較を御覧ください。ここでは割愛します。
モバイルバッテリー 一体型の最適解
前記の20V2.25A・45Wの充電器に、さらにモバイルバッテリーが一体化した超コンパクトなのを探しているという人には、以下の製品が適します。
モバイルバッテリー部分は、容量5,000mAh、出力18-20Wです。ワイヤレス充電研究記事のとき一覧表化しましたが、18-20Wあると現行の全てのiPhoneに、有線高速充電が可能になります。
一方で5,000mAhという容量はMacBookの充電にはあまりにも少なく、20Wではそもそも遅すぎます。iPhoneも機種によっては満充電に達しません。
筆者は原則としてモバイルバッテリーの容量は、モバイルバッテリー研究記事のときに、多少重くても多ければ多いほど良いと結論した立場ですから、容量が少ない一体型製品は条件に落第です。
しかしながら、普段乗り物などコンセントのない環境に長時間いることが無い、という生活スタイルの場合や、行く先でコンセントを探したり人に借りることを厭わないという考えのある場合は、バッテリー部分は応急処置だけあれば十分という考え方もできます。
その場合は一体型製品が世界一ミニマルな正解となり得ます。リンク先のモバイルバッテリー研究記事もよく読み、あなたに合うスタイルを試してみてください。
45W高速充電に適したケーブルを探す
ケーブル選びは下記の記事にスピンオフし、一覧表で分かり易く時短になるよう整理しました。リンク先記事一覧表のMacBookの行にあるケーブル4種から、好きな転送速度を選んでください。
コストと性能のベストバランスは10Gbpsの転送速度カテゴリにあるケーブルです。MacBookを買った時ついてきたケーブルでも45W高速充電できるのでもちろんOKです。
45W高速充電に適したモバイルバッテリーを探す
モバイルバッテリー選びは下記の記事にスピンオフし、体験記を交えて大幅増強しました。リンク先にただ一つの結論を明示しています。
大差ない似たようなバッテリーの列挙や、無意味なおすすめモバイルバッテリー○選といった時間の無駄はありません。Macbookという用途を限定することにより、唯一至高の結論を導いています。
安全性を高めてから、じぶんに合った充電器を選ぼう
新しいパソコンを買ったら、じぶんの使い方に合った周辺機器を考え、選ぶのも楽しいものです。
しかし充電器の世界はレビュワーが多すぎて情報過多です。中にはレビュワーに直接金銭を提供しているメーカーもあり、いよいよ情報の見極めを難しくしています。そもそも多すぎて見きれません。
一般消費者である私たちの立場としては、目的は充電器の制覇理解でなく安全でじぶんの用途に合った最適な充電器を短時間に探すことです。
この記事ではMacBookAir2020M1が持つ45W充電ポテンシャルを正確に把握した上で、より安全な充電器を探し出す指針となる、公式がサポートしている充電器の条件といったものを抽出しました。
この条件からあなたの志向に合ったものを選べば、マニアックな知識の沼に落ちることを回避して時間を節約し、安全を確保しながらじぶんの使い方に合ったものを手に取れるでしょう。
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