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食器調理器具素材の選び方、使い分け目安【素材の物性比較表】

食器と調理器具に傷をつけない無料の方法【素材の硬度一覧】 では、食器類に無自覚な傷をつけないように素材別の硬度を調べました。

本記事ではその補足として、素材の、硬さ以外の大まかな 物性=物質の物理的な性質 を、ざっくりと整理してあります。

例えば、食洗機を回すといつもプラ容器だけヌメヌメが残る。。という理由も、物性で理解できます。

食器素材の選び方、使い分け【素材の物性比較表】

物性を理解すると、割れないとか、熱に強くレンジOK、臭いが残りにくい/残りやすい素材が何なのか分かるようになるため、素材から調理器具を選びたい時や、同じ商品ジャンルで素材が色々選べる時など、選択に有用です。

この記事は、建築材料の使い分けを通して物性の異なる素材が数年単位の長期間でどう劣化していくか、つぶさに見てきた一級建築士の筆者よりお届けします。

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食器素材の物性比較表

各物質に固有の物理的性質は、無限の多岐にわたりいくらでも細分化できます。しかし食器の扱いという目的に絞れば、キッチンのいろんな場面でどういう性質を示すかだけ把握できれば良いので、比較表として大雑把にまとめることができます。

素材耐汚耐臭耐液耐酸耐熱耐衝撃耐レンジ熱伝導率W/mk
×××××0.12
シリコン××0.35
プラ××××0.19
金属××17.00
ガラス×1.00
×××2.91
陶器××1.30
セラミック××組成による
ゴム、エラストマーはシリコンに準じますが耐熱に劣ります

耐汚染・耐臭気:食器の油残り、臭い残り対策

シリコンとプラは油汚れや臭いが残る

陶器とセラミックは段々頑固な汚れがつき易くなる

一見ツルツル滑らかに見えても、シリコンは空隙が、プラは表面に凸凹の多い構造をしており、油汚れや染み、匂いが残りやすいです。他の食器と比べ食洗機を2回まわさないとヌメヌメが落ちきらないなど、差が歴然と出ます。

ジップロックも100均シリコン・プラ容器も、安く簡単便利に見えて、あなたの洗い手間が2倍に増えているということです。

耐汚染・耐臭気:食器の油残り、臭い残り対策

陶磁器やセラミックも同様の構造をしており、本来は焦げやステイン、メタルマークなど粒子が入り込むタイプの汚れが、くっつき残り易い物性です。この問題を解消するために、多くは釉薬などガラス質表面加工によって保護されています。

しかしあくまで表面加工なので、同等以上の硬度のあるもの、すなわち陶器同士の重ね置きなどによって徐々に失われ、粒子汚れが次第に付きやすくなります。

ちなみに韓国やインド料理など臭いの強い料理や、頻繁に食器をこすれ合わせて使用する食堂や給食などプロの現場では、こうした物性への理解から木やプラ、陶器の器が避けられ、金属が好んで用いられます。

臭いの強い料理の皿や保管容器には、プラを避け、金属・ガラスを選ぶ

耐液体含浸:食器の染み汚れ対策

木と、も水が染みて汚れる

まず、単に木や石は液体が含浸するので、汚れを放っておくと染み込んでしまいます。原則として水に濡れた時に表面色の変わって見えるものは、水の染みやすい物です。

石も水が染みやすいものが多いので気をつけましょう。石はキッチン天板や、ビビンパとかステーキの皿とか黒いスレートまな板などで意外とあります。

液体が含浸するものは、冷凍したりドライアイスを置いてはいけません。染みた液体が凍って膨張すると、割れてしまいます。

水の染みない素材は食品の冷凍保管容器として使える

水の染みる素材は濡らして鍋敷に使える

耐酸:保管容器の溶け出し対策

金属と、石も酸に侵される

金属や石材は本来汚れがくっつきにくいですが、酸に弱く、表面が荒れると汚れが残りやすくなります。ちなみにこの特性は、歯も同じです。酸に長時間さらさないよう、食品や雨に浸さない注意が要ります。酸の進行には時間がかかるため、短時間で洗い流すなら問題はありません。

つまり、鍋を食品の長期保管に使用しないでください。ティファール鍋は食品保存に使えるようプラふたが付属しますが、テフロンがハゲてくると加速度的に寿命を縮める結果となるので、使用しないことをお勧めします。

遺跡の天然石

ところで、あなたは雨の街で沢山の木材や石材、金属が建築の表面に使われ、朽ちずにいるのを見たことがあると思いますが、今その多くは木や石、鉄に似せたタイル(陶磁器)や印刷されたシート(広義のプラ)で、耐酸性があります。

例えば遺跡の天然石ならば、物性を免れず酸に侵されていく様子を見ることができます。

酸性の食べ物の保管には金属を避ける。プラ、ガラス、陶器が適する

耐熱・耐レンジ:食器容器の溶け出し対策

プラは高熱がNG。金属はレンジがNG。局所的な急加熱は金属とセラミック以外全部NG

調理器具にとっては耐熱性が、食器にとってはレンジできるかどうかが何より重要なので、本来熱に弱いものも耐熱強化された製品がたくさんあります。

ただ、パッケージのシールを剥がしてしまうとどれが耐熱なのかは分からなくなってしまいます。ですから、各素材本来の物性的に熱に強いかどうか知っておけば、うかつに器具や食器を台無しにしてしまう確率を下げられます。

石油から生まれてきた

石油から生まれてきたプラスチックや樹脂、合成ゴム、ナイロンや化繊はそれ自体熱に弱く、大半は木や木綿よりすら耐熱性に劣ります。燃えないが溶ける。

サラダオイルのプラボトルや、100均で買った壁紙シートをコンロのそばに置かないでください。化繊のふきんやポリエステル布を鍋つかみに使用してはいけません。

サランラップ類とキッチン用シリコン・プラ製品(へらとか容器)は耐熱強化されている確率の方が高いですが、せいぜい200度程度で、火熱にはそう長く耐えられません。耐熱ナイロンオタマを、カレー鍋にさしたまま煮込み続けたら、鍋のヘリに当たっている箇所から溶け出します。

熱に弱く、柔らかくなってやがて溶ける。必ずしも欠陥ではなく、そういう物性です。

合成ゴムの吸盤や柔軟性は、熱湯に1分さらすと回復する

本来熱に強い物性

電気を極めて通しやすい金属は、レンジで食品よりも何よりも真っ先に加熱されてしまいます。薄かったり、形状が複雑だと熱が集中して発火してしまいます。

焼き芋をアルミホイルに包んだままチンしたり、箱の内側がアルミ箔加工された駅弁を安易にチンしてはいけません。

砂や粘土から高温焼成によって生まれました

ガラスと陶器は、元々砂や粘土から高温焼成によって生まれましたから、本来熱に強い物性です。しかし熱が伝わりにくいため、局所的に加熱すると温度差で部分的に熱膨張し、熱割れや爆裂を起こしてしまいます。

ガラスについてこの物性を理解すると、熱に強い本来の物性を活かしながら爆裂を防ぐ使い方が分かるようになります。詳しくは以下をご覧ください。

陶器についてこの物性を理解すると、耐熱仕様でない陶器を、割らずに加熱使用するのに必要なコツが分かるようになります。応用例は下記をご覧下さい。

耐衝撃:食器や道具の割れ対策

硬度の高いものほどもろい

硬度について詳しくは、食器と調理器具に傷をつけない無料の方法【素材の硬度一覧】 をご覧ください。

ダイヤ(硬度10:最硬)を除いて、原則として硬いものほど脆いので、耐衝撃性能も硬度の高いものほどもろくなる傾向です。

硬度一覧を見ると、セラミック(硬度9)は包丁として使うのには最強の材料に見えるかも知れませんが、逆に耐衝撃性能は飛び抜けて低いということになります。もろく、欠けやすい。

割れない食器は硬度の低い素材のもの

熱伝導率:食品の保温と、加熱急冷の伝わり易さ

原則として、熱伝導率が高く熱を伝えやすい物ほど、逆に燃えにくい特徴があります。火熱を逃がしやすいからです。

金属が最も熱を伝えやすいですが、燃えません。木はその逆です。燃えるが熱を遮断する。

つまり、濡れた木のトレーは使い捨ての鍋敷に有効です。木綿や紙は木に準じ、濡らして有効です。

金属が最も熱を伝えやすい物性で、さらに以下のように種類よって加速度的に熱が伝わりやすい物質です。

物質熱伝導率W/mk使用例
アルミ204
295高級カトラリー
418高級カトラリー
372
チタン17アウトドア鍋
鋳鉄48鍋、スキレット
45包丁
ステンレス17包丁

熱が伝わり易い金属は、火にくべて液体を沸かす調理器具に向いており、コストを勘案するとその最たるものはアルミか銅です。また、そうした器具は取っ手が木や耐熱プラなど熱伝導率の低いものになっていないと不便です。

アウトドアでチタンの鍋は軽く丈夫ですが、安物のアルミを持参した仲間に、湯沸かしのとき差をつけられてしまうでしょう。

取っ手が木

逆に金属は食品の保温には向かず、食品の冷気や熱を早く逃がしたい時に最適な物性でもあります。

肉や魚を自然解凍したい時はアルミ製のトレイに乗せると大幅に加速します。ビンビールより缶ビールの方が、早く冷え、早くぬるくなります。

参考

物質熱伝導率W/mk使用例
真空0魔法びん
空気0.02断熱材
0.58溶媒
ダイヤ2000放熱器

物質は、気体、液体、個体の順に熱伝導率は高くなります。流れていない状態の空気は、断熱材になる。プチプチや洋服のダウンなど、空気を複数の小部屋に閉じ込めると応急的な断熱材になります。

ダイヤは固体最高峰の熱伝導率を持ち、金属をも大幅に凌駕します。最高硬度といい、つくづく面白い物性を持っており、コストが高すぎるのが残念で仕方ありません。

物性で使い分けよう

記事では主にキッチン周りで目にする素材に着目して、大まかな物性を整理しました。

食器や調理器具を取り巻く素材がこんなにも多種多様なのは、そのどれもが一長一短あるからです。ですから、物性を理解して、良い物を永く使い分けることが尚更重要なわけです。

素材の物理的な性質=物性は、放射能でも浴びない限り決して変化しない、物の本質です。セールストークやステマ、広告に左右されない、揺るぎない機能を示す確かな指標です。

教養としてスマートにできるようになるあなたの能力

物性を一度理解してしまえば、例えば、同じような鍋商品でもアルミと鉄とチタンと土鍋と素材バリエーションがあった時、売り文句に惑わされず的確に選びとることも、使いこなすことも出来るようになります。迷った時、きっと助けになるでしょう。

キッチン道具の長寿命化にとって最も重要な物性、「硬度=ものの硬さの指標」については、紙面を分けました。より深く、じぶんで考えてみたい人は、下記をご覧ください。