欠けた食器のパテ補修 食品安全性素材でバラバラ食器も再生

欠けた食器のパテ補修 食品安全性のある素材で食洗機電子レンジOK

安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方 の記事では、金継ぎという伝統技法を現代的なやり方に応用して、壊れた食器や100均食器すら骨董品のようにオリジナルで作り変え、修理する方法を紹介しました。

しかし直したい食器が激しく損傷していたり、かけたピースが見つからない場合はパテ補修という技術で穴埋めをしてやる必要があります。

パテ補修に関する情報はネットに溢れていますが、簡単なやり方はエポキシやレジンなど人体に有害な合成樹脂を用いており、食器に適しません。

また伝統技法で用いられる、米粒を練って混ぜる刻苧漆(こくそうるし)といったような方法は手間がかかる上に、漆は手に触れるとかぶれてしまうため手袋を要し作業を難しくしています。余った材料もそうそう使い道がありません。

そこで記事では、食器のための安全性を最優先に、簡単、安価で金継ぎを再現できる現代的なパテ材料と手法をご紹介することにします。食洗機もOKな素材なので、便利に使っていただけると思います。ご参考ください。

食器に使える安全簡単格安な新しいパテ埋め補修材料

パテ作りは模型の世界では一般的ですが、食器は模型と異なり口に触れる物なので、プラモでよく使われるエポキシやレジンのような有害な合成樹脂はいくら便利だからと言っても使用をはばかります。

タイトボンド

記事ではこれに代わるパテ材料としてタイトボンド3セラミックパウダー、そして金継ぎ仕上げ材料としてゴールドライナーを使います。

タイトボンドはFDA(米国食品医薬品局)による食品安全性承認のある接着剤で、固まると強力な耐水性を発揮します。

有機溶剤を用いない水性接着剤で、素手で触れても支障ありません。木工ボンドに近い感覚で使えますが、はるかに強力で便利です。詳しくは 食器に使える接着剤 タイトボンド応用4例 でご紹介していますのでいずれ見てみてください。この製品は粉末を混合しペースト化させて使うことができます。

セラミックパウダーとは、陶器の粉です。もし、あなたが直したい食器の粉々の破片や粉が残っているなら、あるいは代わりに要らない陶器があるなら、セラミックパウダーは購入しなくてもできます。陶器片を自分で粉砕して粉にすれば同じように使えます。

ゴールドライナーはフランス製の画材で、ACMI(米国画材工芸材料協会)によるASTM(米国材料試験協会)基準をクリアしたAPマークが付与されており、人体に無害で安全なものです。

この三つでほぼすべてが事足ります。修理のために元の食器よりお金がかかっては本末転倒でしょうから、まずは少ない投資で始めて見ることにしましょう。

電子レンジ、食洗機OK

筆者が実験したところ、修理後は電子レンジも食洗機もOKでした。最近は記事で作った金継ぎカップでよくコーヒーを飲み、都度食洗機で洗っていますが変わらず支障ありません。

厳密にはタイトボンドの米国公式サイトには耐熱温度情報があり、通常4000psiの強度が65度以上で800psiに落ちます。換算すると1平方cmあたり56kgfの力です。大抵の食器の通常使用には耐えると思われます。

ゴールドライナーは元々150℃以上の高熱に耐える設計です。公式情報のQ&Aでは電子レンジOKの記述が確認できます。

それでは、以降の記事で手順をご紹介していきます。

タイトボンドでパテ補修する

直したい陶器やガラス器の損傷が3㎜以下程度と小さいか、割れた破片のピースが全て揃っているならば、この記事のパテ技術は不要です。冒頭のリンク先から金継ぎ補修のみをトライしてみてください。

欠けた穴が大きいかピースが足りない方は、記事を読み進めてパテで穴を埋め解決してみることにしましょう。

セラミックパウダーを準備する

セラミックパウダーを準備する

壊れた食器の破片のうち、使い物にならない程細かくなってしまった部分がまだ残っているならば、捨ててしまってはいけません。

これをさらに細かく粉砕してセラミックパウダーにすることができます。あなたの元の陶器と完全に同じ素材なので、ある意味補修には最も理想的な材料です。

あるいは、似たような100均陶器や要らない陶器、他の壊れた陶器片を粉砕しても同様に自作することができます。

破片が残っていなければ、セラミックパウダーを購入して用意してください。初めからセラミック(陶器)が粉末状になっている製品なので、以下の粉砕作業は不要です。

粉砕作業はかなり手間を要するので、予算があるならセラミックパウダーの購入を推奨します。粉末のキメが細かく、仕上がりもより綺麗になります。

破片をビニール袋に

まず、破片をビニール袋に入れ、玄関土間など固い床面に置いてトンカチやドライバーの尻など固いものでコツンコツンと叩いて細かくします。

たたいた時袋が破れてこぼしてしまわないよう、床と袋の間に紙皿などを置いておきましょう。 

完全な粉にせずとも、粒が0.5㎜程度になっていれば十分です。陶器はもろいので、粉砕にはそれほど力も時間も必要としません。

ちなみに陶芸用のセラミックペーストという商品がありますが、これは窯で焼くことを前提にしており適しません。

食器を組み、パテ補修したい箇所を特定する

欠けた食器をお持ちの場合で、パテ埋め補修したい箇所がすでにはっきり分かっている場合はここの作業は不要です。

食器を組み、パテ補修したい箇所を特定する

100均食器を金継ぎデザインしようと思い、食器を自力で割ろうとしたものの手元がくるってメチャクチャ粉々になってしまった筆者のような方や、割れた食器の修理からやりたい方は、まずはバラバラのピースを仮組みするところから始めます。

どのピースがどこにはまるのか把握し、分かるように並べ直したら小口両面にタイトボンドを塗っていきます(コンタクト接着)。

仮組
とても塗りやすく安全な道具なので、はじめてでもきっとうまくいきます。
この記事写真は初めて取り組む筆者の母による制作風景です

接着技法は 安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方 を確認し、欠けた箇所を残して補修終了段階まで進めてください。乾燥と洗浄を終え、金継ぎ塗装する手前の段階です。

先に塗布
先にすべての断面小口にタイトボンドを塗り切り、8分まつ(オープンタイム)。あとでパテ埋めする予定の箇所には目印をつけ、塗らないようにする
いっきに組み立てる
塗り切ってから、素手で一気に組み上げる。安全な接着剤なので手袋は不要。素手の方がピースのずれや段差を指で感じられてうまくいく。あとで洗浄できるのではみ出しは気にしなくて良い。
パテを要する箇所以外は先に組み上げる
後でパテで繋げる部分を残し、さらに15分乾燥する(クローズドタイム)

ピースの無い部分やピースが細かすぎる部分はパテつなげて塞ぐので、残しておきます。残す部分には最初の仮組みの時点で、小口に×印を記入しておくなどし、タイトボンドを付けないようにしましょう。付けてしまった場合は、指で拭き取れば良いです。

オープンタイムなど接着の詳細なコツは、冒頭のリンク先よりご確認ください。

安全なパテを調合する

安全なパテを調合する

食器の補修箇所が分かっていれば、補修の穴埋めに必要なパテの量は目分量で分かるはずです。

最初の手順でセラミックパウダーを自作あるいは購入して用意出来たら、タイトボンドと混ぜて必要量のペースト状のパテを作ります。

配合は1:1くらいが適しますが、目分量のおおざっぱで構いません。見た目で、出したボンドの量と混ぜる粉の量が丁度同じくらいになるようにしてください。 

小皿に同量を出し、爪楊枝で混ぜながら調合します。このペーストを後で食器の欠けた部分に盛るわけですから、柔らかすぎると感じたらじぶんで使い易い固さになるまで粉を足して調整しましょう。足しすぎるともろくなるので、あくまで微調整です。

ちなみに余ったペーストは固化する前、だいたい調合から4時間以内くらいなら水で簡単に洗い流せますから、調合小皿はご家庭のしょうゆ皿などでも構いません。

記事の写真はまさにそうしています。安全な材料ですから、洗い流せばそれで済みます。

補修箇所にパテを盛る

補修箇所にパテを盛る

調合出来たら、あなたのオリジナルパテを補修箇所に盛っていきます。混ぜるのに使った爪楊枝ですくい、どんどん盛って行きましょう。ちょっとはみ出しても構いません。

タイトボンドは乾燥すると収縮するので、多少は厚くぷっくりした盛り方でも支障ありません。

盛ったら乾燥
最終乾燥前ならいくらでもあとで洗浄できるので、デロデロになっても気にせず盛る

損傷の大きい箇所や残った破片が小さすぎるために仮組みせず残しておいた箇所も、パテペーストを付けながらじっくり盛って組んでいきます。

小破片が残っていない状態で大きな面積を形成する場合は、パテペーストを何段階かに分けて乾かしながら盛ることでも形成できます。しかし段階盛りは乾燥時間を何回もとるので、面倒かもしれません。

こうしたケースではまったく別の破片を持ってきて埋め込み、つなぎに使うのも一つの手です。大きささえ合えば綺麗なガラス破片や色違いの陶器片でもかまわないどころか、あなたにしか成しえない独創的なデザインにつながる可能性もあります。

埋め込む素材は陶器と近い物性ーーすなわち他の陶器、ガラス、石であれば完成後も引き続きレンジと食洗機が使えるので有利です。

とはいえ物性にこだわらず思い出のかけらやお気に入りの破片を埋め込み、使い方に気を付けるようにするのでもかまいません。大切なのは、あなたが気分よく気に入って使えるものができるかどうかです。

なお金属だけは腐食の恐れがあるため、避けてください。

パテ組み
あまりに小さい破片は盛るとパテに埋まってしまうが、クローズドタイム後に削って表出できるので心配ない

盛ったら15分タイマーして待ちます(クローズドタイム)。15分経ったら、はみ出しを爪で削って除去します。最終的にはゴールドペイントでカバーするので、あまり神経質にこだわらず気になる部分だけ取り除けばよいです。

ジップロックに乾燥材と同封

除去が終わったらジップロックに乾燥材と同封し、2時間ほど乾燥させます。乾燥材は焼きのりの袋などに入っています。なければ、風通しのよい場所に置いて一晩8時間ほど乾かします。

乾かしたらいったん水を入れ、漏水がないかテストしましょう。

漏水した場合は電気スタンドなど手元の照明光源なるべく近くに直接かざして透かし、光の漏れる箇所を探して穴を特定します。

穴を特定したらタイトボンドを爪楊枝ですくってカバーするように塗り埋め、再度乾燥時間をとります。

表面を平滑にする

乾燥したら、今度はセラミックを混ぜていない生のタイトボンドを、パテ盛りした部分の表面に塗っていきます。タイトボンドを適当な小皿に出し、爪楊枝ですくって塗っていきましょう。

この作業は、パテ盛りした部分の表面のデコボコをなくし、滑らかにするために行っています。あとで金色を塗るときの仕上がりにこの手順が効いてきます。

セラミックパウダーのみでパテを調合した場合は、この表面平滑化塗りは不要です。パウダーがきめ細かいため、最初から滑らかに仕上がっているはずです。そのまま最終乾燥に進んでください。

表面に塗り終わったら、再び乾燥材ジップロックに入れるか風通しのよい場所で24時間乾燥させてください。この最終乾燥は極めて重要なため、必ず乾燥時間を十分とってください。乾燥が足りないと、この後の焼成工程でパテが膨張し失敗します。

パテ盛り乾燥終了

最終乾燥が終われば、パテ補修は終了です。

補修箇所を金継ぎする

難しい補修箇所を金継ぎする
筆塗りはけっこう難しい

補修箇所が大きく、面状になっている場合はゴールドペイントを筆で塗って対応します。補修箇所が小さかったり、線形であればゴールドライナーという道具の方が、筆が不要で直接塗れるので楽です。

この記事ではゴールドペイントで筆塗りを実演していますが、実感としてまっすぐな線を引く難易度はゴールドライナーより高く難しいです。初めて金継ぎに取り組む方や、楽に済ませたい方、筆のコストを抑えたい方は、ゴールドライナーの方が適すると思います。

下記の白いカップの写真はゴールドライナーによる筆者の作例なので、仕上がりの違いを参考にしてください。少しラインがぷっくりした風合いになります。

ゴールドライナー作例

ゆくゆく金以外の色を自由に使ったり、広い面に効率良く塗ったり、線の太さを自由に変えたいと思っている人は、ゴールドペイントを練習する価値があるでしょう。

失敗してもこのあとの焼成前なら水を含ませた綿棒などで拭き取って何度もやり直せますから、楽しんで自由に塗ってみましょう。

記事では分かり易く金継ぎを踏襲し金色を選択しましたが、もちろん色はあなたの自由です。

この材料は混色もできますし、メタリックの他の色も沢山ありますから、幻想的なエメラルドグリーンや涼しげなメタリックブルーなどイメージや使途に合わせてアレンジしてみましょう。

オーブン焼成

塗ったら焼成します。安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方 の記事を参考に、乾燥工程を念入りに行い熱割れに気を付けて焼いてください。

焼き上がり、扉を閉じたまま2時間待ってからオーブンから取り出せば完成です。

欠けた100均食器もオリジナルに生まれ変わらせてみよう

100均食器破砕前
100均食器破砕後
オーブン不可でも焼成OK

記事ではあえて見るも無残なほど粉々になった食器を持ち出し、直してお見せしました。この食器は100均ダイソーの品物です。オーブン不可品でも冒頭リンク先記事に記載のコツを押さえれば焼成できます。

この状態からでも復元できるのですから、ちょっと欠けた程度の食器なら初めてのあなたでもじゅうぶん簡単に直せるはずです。

とはいえこんな記事を読んでも、もしかしたら今どき割れた食器をわざわざ直して使おうなどという人はいないのかもしれません。

有明カップ

しかし食器を直す伝統技法で100均食器を骨董品のような風合いで、なおかつ完全にあなたのオリジナルで作り変えられるとしたらどうでしょうか。

そして伝統技法のスキルを現代の道具と技術によって、安く習わず身に付けられるとしたら。。?もちろん食品安全性のお墨付きで。

安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方 の記事と併用し、ぜひ挑戦してみてください。スキルをお友達に教えてあげたり、和風のグッズとして使ってみたり、独創的なスタバマグなどとして持ち出しても面白いかも知れませんよ。

細目

セラミックパウダーは「細目」だけが適合します。他のものは目が粗く、全く適さないので間違えないよう気をつけてください。

この記事をだいぶ前に読んだ人へ。上手に作れましたか?まだ材料が余っているなら、応用技術に挑戦してみては如何でしょう。呼び継ぎの安全格安DIY方法 組替ペア金継ぎを作ろうには、あなたのクラフトをもっと面白くしてくれるアイデアと刺激があります。

Yobitsugi Hi Tech

おまけ 筆者、筆塗りが難しくて道具に頼る

インターロン
インターロンは2号(中太)と長穂(極細)が最適

ゴールドライナーに比べ、筆塗り技術を要するゴールドペイントはきれいな線を引くのに熟練を要します。道具もできれば使い易いものを選ぶことをお勧めします。

線のかたちにこだわる方は塗りと乾燥の後で焼成前に爪かカッターの背を使ってはみ出しを削ると整形できます。これは伝統技法でも同様に行う手順です。

筆者による記事の作例では、ゴールドライナーとゴールドペイントどちらの例でも削り工程は行っていません。写真を仕上がり水準の目安にしてみてください。

有明行灯
インターロンを持ち出せば整形しなくてもそれなりに仕上がる。和風インテリアと相性が良い

ツイッターにお寄せいただいた読者の作例(筆者より上手い)

ゴールドライナーの特殊技術

ゴールドライナーはチューブになっているので、加減によって線の太さが変わります。

その点を逆転の発想で利用し、太いドットによりデザインを描いて作品を完成させた独創的な例を発見しましたので、ご紹介させていただきます。

読者コメント

  1. 奥村 みか より:

    とても参考になりました、ありがとうございます!

    質問させて下さい、欠けた箇所が3mm以下と小さく、金色の着色もしたくない(陶器の白色のままがよい、細かい色のズレは気にしない)のですが

    食洗機や電子レンジには耐えられるようにしたいのです。

    その場合、セラミックパウダー無しで接着剤のみで良いのでしょうか。

    着色、焼き付けの工程に、接着剤やパテをコーティングする意味合いがあるのであれば、白色の着色&焼き付けをする必要があるのかなと思っています。

    おばあちゃんから子供への大切な贈り物で、陶器の丼鉢のヘリが小さく欠けてしまい、破片もないのです。

    急ぎませんので、教えて頂けましたら幸いです、よろしくお願い致します…!

    • デフラグライフ より:

      ご拝読いただき、ありがとうございます!
      欠けた箇所が3mm以下と小さいのであれば、パテ作りは不要で、セラミックパウダーも不要です。
      安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方 の技法のみを使って欠けを修理できます。
      ただ、欠けを埋めた箇所の接着剤が丸見えになりますし、タイトボンドのみで構成した土台は収縮で少し痩せるので、着色工程は必要です。タイトボンド露出は仕上がりが茶色く薄汚くなってしまいます。
      ライナーには黒と金しか無いので、筆を使うペイント系になりますが、アイボリーか、シマーシルバーが近いと思いますので検討してみてはどうでしょう。
      他にもいろんな色があるので、見てみてください。ただパールホワイトは残念ながら現在国内で入手困難のようでした。

      • 藤澤 より:

        お気に入りのマグカップの取っ手がとれてしまったので修理をしたいのですが、修理後、取っ手を持って使用する強度はありますでしょうか?

        • デフラグライフ より:

          一般的なサイズと形状のマグカップに、湯を満載して耐えるだけの数値上必要な強度はあり、筆者も直してコーヒーを飲み、都度食洗機で使っています。
          マグがやたら肉厚で自重がすごいとか、取っ手がメチャ細くて接着面積が少なすぎるとか、そもそもマグが巨大だとか、取っ手の付け根に過剰な荷重が集中する形状でなければ、多くの場合は耐え切ると思います。
          最高の強度を得るため特に重要なのは、記事にある最初の24時間乾燥です。ここをはしょって、一晩(8時間程度)などにしてしまうと崩壊します。
          心配ならここの乾燥時間を長めに取ると磐石です。手順動画も参考に、落ち着いて時間の取れる時、制作にトライしてみてください。

  2. かのかの より:

    もらいものではあったのですが、お気に入りのマグカップ(非売品)が欠けてしまって。
    捨てたくないし直したいなと思ってました。
    ちょうど別のDIYで使った同じTIDEBONDを持っていたので、これで直せそうです!
    乾燥重要!ですね。十分に読み直してチャレンジしてみます。
    素敵な記事、ありがとうございます。

    • デフラグライフ より:

      タイトボンドを初めから持ってるなんてすごい!これノズルが使い易くて便利ですよね。
      素敵な作品が出来たら、おもむろに人前で使ってみても楽しいですよ。非売品なら尚更レアで格好いいかも!?

  3. yrngt より:

    素敵な記事をありがとうございます!
    おかげさまで陶器のマグやお皿など直して使えています。
    質問なのですが、ガラスのコップにヒビが入り、口元だけわずかに欠けた状態なのですが、これも直せるでしょうか?
    ヒビ部分はボンドを上から塗れば大丈夫でしょうか?

    • デフラグライフ より:

      ご利用ありがとうございます!直して実用されているなら、筆者もとても嬉しいです。
      ご質問については兄弟記事のコメント欄で、読者のやきみかんさんからも同様のコメントをいただいています。とても難しい問題です。

      ただ、やきみかんさんに答えた当時より、ガラスの熱伝導物性破壊性状について研究したので、もう少し進んだ技術をご提案します。実験が足りていないので、無駄もあるかも知れません。あくまで参考としてください。

      物性的には、ヒビにボンドを塗ってもほとんど浸透しないのであまり効果を期待できません。念入りに乾燥してから、ヒビに沿ってゴールドライナーを塗り焼成するのみ、とするのが良いと思います。
      欠けは、大きさに応じて記事同様にセラミックパウダーか、ボンドで形成してからゴールドライナーで復元することができます。

      ただし焼成は35度で10分、70度で10分、110度で10分、150度で20分と四段階を連続で実施してみてください。オーブンに入れてからは、決して途中で扉を開けてはいけません。

      35度と70度はオーブンが対応していないかも知れませんが、下記により代替するのが良いでしょう。機種によっては発酵モード等に低音設定が隠れている場合もあります。
      まず35度は人肌です。乾燥剤入りジップロックに入れたまま自分で10分抱いて加熱願います。馬鹿みたいですが重要で、いきなり次工程に行くと割れることがあります。
      例えば冬場にいきなり食洗機の温水でガラスを洗うと、熱割れする実例があります。

      10分抱いたらオーブンに入れ、温風電源ONにしたドライヤーをオーブンに入れてコードを挟んだ隙間の開いたまま扉を極力閉めて10分待ってください。
      コップはできる限り奥に置き、ドライヤーと極力離して温風が直接当たらないよう気をつけてください。それでゆっくり庫内は70度以上になると思います。
      10分ドライヤー暖房したら、扉を最小限開いて素早くドライヤーを抜き取り、すぐ閉じて残りのオーブン110度10分加熱と150度15分加熱を間断なく続け、終了後2時間経つまで途中で扉を開けないでください。

      ヒビたガラスは一気に150度加熱すると熱割れを起こす確率がかなり高くなります。ガラスは陶器より熱伝導率が低く、温度差による熱割れを起こしやすい物性であるためです。
      そこで加熱を四段階に分けて、ゆっくり全体を均一に加熱する方法を取っています。
      条件にもよりますがガラスの熱割れは、温度差60度程度から発生確率が高まるため、四段階とすることで同一ガラス内の温度差を安全をみて40度以内に抑えるための措置です。

  4. yrngt より:

    詳しくご説明をありがとうございます!ぜひトライしてみたいと思います。

  5. nowhappy より:

    カップとか皿の縁が1〜2mmほど欠けてるものがあります。セットのものなのですが他の5客は無傷なので、何とか修復したいと思い、いろいろwebを見てここにたどり着きました。
    大きく割れたものを金継ぎしたことはありますが、上記のようなほんの少しの「欠け」の直し方をご教示ください、またはすでに記述があるならばそれを教えてください。

    • デフラグライフ より:

      3mmにも満たない小さな欠けであれば補修は極めて簡単で、単に欠けにタイトボンドを楊枝などで適量載せるだけで埋められます。乾燥時間や手順は 安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方 を参照ください。パテは不要です。埋めた後はゴールドライナーで金を載せて焼成し、終了です。
      すでにもっと難しい補修と金継ぎの技術をお持ちのようなので、以下に材料の物性を示します。微妙な加減判断を要する場合役に立つかもしれません。
      タイトボンドは乾燥すると体積がわずかに収縮します。焼成による体積変化はほとんどありません。ですから、欠けに対して盛りも痩せも無い、丁度の量にすると乾燥後わずかに痩せて、後の金継ぎ工程がやりやすくなります。
      ゴールドライナーは乾燥、焼成による体積変化はほとんどありません。しかし1mm程度を超える厚塗りをすると、焼成時に気泡が出て仕上がりが劣る確率が上昇します。
      基本的にはこの厚塗り状態を回避し、空気の空洞を潰すためにタイトボンドで下地を穴埋めします。欠けがあまりに小さく、明らかに厚塗りや空洞を回避できるならば、タイトボンドを省略できることもあります。

  6. まつゆ より:

    セラミックパウダーだけでパテを調合する場合、お水で混ぜるのでしょうか?タイトボンドは不要ということでしょうか?ご教示ください。

    • デフラグライフ より:

      セラミックパウダーだけでパテを調合する場合、タイトボンドと1:1で混ぜます。タイトボンドが必要です。
      基本的に湯水は不要ですが、硬すぎる時の調節に混ぜても良いです。

  7. tom より:

    とても素晴らしい方法を編み出して、教えてくださり、感謝です。
    パテを作るのに、セラミックパウダーではなく、小麦粉を混ぜても作れるという情報を他のウェブサイトで見かけました。
    そのような方法と、どちらがより良いのでしょうか?

    • デフラグライフ より:

      こんにちは、そうですね小麦粉は筆者が最初に試した材料です。伝統金継ぎや陶器目止めの技術でも米粒や片栗粉を使ったりするので、色々分析し、試しました。
      小麦粉や片栗粉を混ぜると、グルテンの作用でパテを粘土化できるメリットが生まれます。米の場合は糊化します。
      ただ、耐熱温度と衛生が劣ってしまうデメリットがあります。
      具体的には、焼成するとかなりもろくなってしまうのと、単に食べ物なので使用内容や保管状態が悪いとカビや腐敗の確率が高くなります。
      なので今では耐熱温度が高く腐らない無機物であるセラミックパウダー、つまり元の陶器と同じ粉を最もおすすめしています。
      とはいえ自由なDIYなので、粘土を作って新しいオリジナルな造形を付与するのは先のあるアイデアです。
      使い道に気をつけていれば、即座に失敗ともいえません。例えば風通しの良い場所で、主に飾って使うとか、菓子入れなど乾いた軽い小物入れを作る場合などです。
      そういう目的では、粘土になる食品粉を使うバリエーションにも造形しやすいというメリットが活きます。
      修理とか、用途を定めず一般的オールラウンダーにやりたいならば、セラミックパウダーが無難で失敗がなく、安定した物質なので、お勧めします。

      • 匿名 より:

        詳しいお返事ありがとうございます! 修繕したお皿は食べる時に使いたいので、セラミックパウダーを使ってみたいと思います。

  8. たくみ より:

    木製のコップのヒビはタイトボンドで直せますか?
    完全に割れてないと直せませんか?

    • デフラグライフ より:

      タイトボンドは隙間浸透性がないので、木製コップのヒビに染み込ませるような直し方はできません。ヒビに沿って盛るように直すことはできますが、美しくないです。
      完全に割れていれば、もちろん本来木工用のボンドなので、最適に直すことができます。
      次善の策としては、伝統金継ぎと同様にヒビに沿って溝ほりしてから、面倒な漆でなくタイトボンドで埋め、その後表面に漆を塗り、金色の金属粉をまく伝統金継ぎの手法を併用することで、より簡単に補修を達成できる可能性があります

  9. Sako より:

    購入したばかりの土鍋の蓋のフチが欠けてしまい、修理方法を探してここに辿り着きました、ご教示いただいた方法を試そうとおもうよですが、土鍋の蓋の縁程度であれば、耐熱性は問題ないでしょうか?また何かアドバイスいただけることあれば教えていただけると幸いです。

    • デフラグライフ より:

      土鍋は長時間直火にかけるので、この記事の方法は適さないと思います。伝統金継ぎはなおさらです。
      また、フチが盛り上がってしまうと鍋にフタした時納まりが悪くなってしまいます。
      ただこの記事の方法は食品安全性があるのと、少なくともセラミックは超高熱に耐え切るので、フタのフチ程度なら試してみる価値はあるかも知れません。空焚きは避けてください。

      試す場合、実行する前に電気スタンドなどに透かしてヒビが入っていないか確認してみてください。
      土鍋にヒビがある場合は目止めの処置が先に必要です。目止めについてはすでに沢山の解説がネットにあるので、ここでは省きますが、物性から言って酢および片栗粉を使う方法が最善です。
      その上で、相当念入りに事前乾燥をして取り組んでみてください。

      現時点あまりお力になれずすみません。ただ不謹慎ですが、このテーマ自体は非常に興味深く受け止めています。
      もしも試した場合は経験を共有いただけると他の人や今後の研究に役立つので幸いです。
      私の鍋にもそういう機会が来たら試してみたいと思います。

      • Sako より:

        ご教授ありがとうございます!高温には適さないとのことでしたので、一度、オーブン陶芸用の陶土でトライしてみようと思います!

        • デフラグライフ より:

          ヤコでしょうか、私も昔呼び継ぎの研究過程で取り寄せたことがあります。とても良い素材ですよね
          私の記事上は、組成にポリエチレンがあって食品安全性の公的指標がないので説明が難しく、当時は選択しませんでした。また、土鍋の場合180度を超える耐熱が同様に未知数です。

          けれど食器とはいえフタの、それもわずかな欠けの補修にどこまで安全性をこだわるかは人それぞれ自由です。トライしてみなくっちゃ分からない!部分もあるかも
          形成下地を陶土で行い、仕上げに安全認証のあるゴールドライナーを使ってコーティングするのも、ひとつの道かもしれませんね

  10. 匿名 より:

    元通りに限りなく近く修復したいのですが、そのために色をつけたりする塗料はありますか。
    割れたものの写真を投稿できませんか?

    • デフラグライフ より:

      安全性を保てる範囲では、安全・簡単格安DIY 現代的”金継ぎ”食器修理のやり方にあるゴールドペイントのリンク先から多様な色を選べます。
      実際、当サイトを訪れた方の何人かはゴールドでなくアイボリーを選択して陶器の復元に取り組んでいるようです。
      ただ、納得いく結果となったのかどうかは報告がありません。ライナーと違ってペイントは専用の希釈液もあり混色も可能な仕様ですが、特定の色と合わせるよう調色することは、特に飲食に用いる実用品においては安全性の面で塗料が限られ、調色技術的にも非常に難しいようではあります。
      なお写真の投稿については、方法を探してみたのですがセキュリティ的に良い手法が見つからず、現時点未実装です。ご了承ください。

  11. kana より:

    すみません、焦って名前を記すのを失念してしまい、大変失礼致しまして申し訳ありませんでした。

    同文になりますが、再送信させて頂きます。

    お気に入りのマグ後欠けてしまい、何とか修理出来ぬかと、こちらに辿り着きました。

    早速、タイトボンドとセラミックパウダーを購入し、パテ補修したのはいいのですが、如何せん…ド素人がしたものですから、ポコンと盛り上がり、その部分を滑らかにするにはどうしたものが………と悩んでおります。金継ぎまではせずに、パテ補修のみで使おうかなと思いますが、ヤスリで丁寧に削る位しか思い浮かびません。その場合、お勧めのヤスリはございますか?紙タイプか金属タイプか何方がいいのか迷っております。

    • デフラグライフ より:

      こんにちは、名前は匿名でも構いません。まあ記入した方が記入者本人にとって識別しやすくなる程度の違いです。

      削りはすみません、まだ正解のない最新のDIY領域です。
      現時点で私の経験から推察するに紙よりは棒や固形のものの方が作業効率は良いのではないかと思います。

      また、話変わってしまって恐縮ですが、恐らく削っても金属や陶器みたいにツルピカにはならず、金を継いだ方が良いと感じる状態になるかもしれません。
      金を継いだ場合ポコンとしていてもそれはそれで逆にアリかもと思える、逆転が生じる可能性があります。
      ネットでは薄塗りの伝統画像ばかり出ますが、呼び継ぎの世界では世界中に新進気鋭の芸術家がいるのと、単に段差を解消するために、厚塗りが主流です。

      程度にもよりますが気に入ったらバリ取り程度して削らず塗ると、困難もあると思いますが真の意味であなただけの作品になりえるかもです。欠点が個性になるというか。
      また、成功すれば厚塗りが簡単に実現できたのはあなただけということになります。結果論ですがあえて下地を太く盛って、金を塗ることで、誰でも再現できるようになるかも、という。

      以下、中断した私の削り研究メモを記載します。
      ・家庭のDIYとしてはしんどい
      ・ライナー焼成後の研磨は不可能に近い(硬すぎる)
      ・焼成前の下地は、はみ出しは爪で削りとれた。整形は各種ヤスリが通用したが、大雑把にしかやらなかった
      ・研磨してもツルツルにはならない。荒れる
      ・紙やすりだけでは時間がかかりすぎて無理
      ・駿河炭などの針炭、合成砥石、ダイヤビットを試したが、いずれも対象が黒く汚れる。高コストほどの価値がない
      ・棒でやすって、紙で仕上げるのが定石だと思うが、中断して金を盛った。下地を隠して手間を省けるのが金継ぎの工業的なメリットだと気づいた

      最新の研究テーマとその進捗報告は、Twitterでやってます。今は電工DIYを研究中ですが

      • kana より:

        お忙しい中、ご丁寧に有難うございます。

        金継ぎの方向でやってみよう!と思います。世界に一つ、レアな(笑)マグになりますもんね(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)そう考えるとワクワクして来ました。

        助かりました、有難うございました。

  12. 匿名 より:

    はじめまして、金継ぎを検索していてたどり着きました。
    早速実践してみましたが、接着が悪く隙間ができてしまったようで
    水漏れしてしまいます。
    浸透性がないということなので再度分解、接着する方法を取りたいと思っているのですが、ドライヤーで高温にして剥離させるという方法でしょうか?
    割れを悪化させたくないのでご相談させてください。

    • デフラグライフ より:

      おっとそれは残念ですね、気がかりを早めに解消したいとこだと思います。
      伝統金継ぎの本漆や、他の樹脂や合成接着剤類と異なり、やり直しに対応出来る可能性のあることが、タイトボンドのメリットでもあります。
      具体的な方法については以前に別記事のコメント欄で「ふらり」さんへの回答として記述してますので参考にしてみてください。
      おおむねご推察通りの手順です。

      割れの悪化についての心配ですが、これは今の割れ方によって注意点が異なります。
      完全に割れてたものを接着失敗してやりなおす場合は、再び破片を外せば良いので悪化の確率は低いです。
      長時間高熱で軟化させたボンドを破壊するのに必要な力(通常時4000psiのものが修復用加熱時800psi=5.5MPa)は、健全な陶器自体を破壊するのに必要な力(20Mpa=2900psi※陶器の場合。磁器は30Mpa=4300psi、素地は15Mpa=2100psi)より小さく済むからです。

      次に、ここはパテの記事コメント欄なので該当しないと思いますが、割れでなくヒビの修理失敗であった場合や、他所に未修復の亀裂がある場合など、陶器自体にほかに不健全な箇所のある場合は、当然無用な力をかけると破損しやすくなります。
      ただ、ヒビ亀裂等の場合はそもそも破片を取り外すような力のかけ方はしないはずで、ヒビ埋めに用いたボンドを柔らかくしてこそぎ取るような作業になると思います。時間はかかりますが、過剰な力をかけないよう気をつければ問題の起きる確率は低いと思います。

      接着後2日以内程度などと早ければ早いほど、やり直しはしやすくなります。時間が経つほど接着強度はさらに少しずつ増していくので、やり直しに必要な加熱も長くなってきます。
      ちょっと試してみてあまりにも自分の手に負えないと感じた場合は、やり直しを諦めて再び良く乾燥してから、ライナー焼成によって残りの隙間が埋まる確率に少しの期待を残しつつ、場合によっては観賞用に下げることも覚悟のうえ、次工程に進むのもひとつの選択です。

      やり直しは、本来直したいものを再破壊するという矛盾から勇気と引き際の両方が必要になるので、作業もさることながら判断力が重要な局面です。
      自身と対象の陶器にとって最優先の修復目的がなにか、あらかじめ落ち着いて心のなかで整理しておけば、無理をしすぎず最善の成功確率を得て作業に進めると思います。